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茶道とは何か?②

画像:「和敬清寂」茶の精神を四規として唱えた語。
The essential spirit of "chadō" is expressed in the concepts of Wa,Kei,Sei,Jaku(Harmony,Respect,Purity,Tranquility) as taught by Sen Rikyū.


裏千家十五世鵬雲斎宗匠は、茶道について、次のように述べている。

修行得道といい、仏道修行と言うのも、現実を世俗とみて、これからの離脱を求めての実践であって、一碗の茶を喫するという行為は、この究極の理想実現のための手段だったのである。…(中略)…茶を喫するという極めて日常茶飯の行為を通じて、他界的な世界への超脱を意図するという特有の文化を形成したのが茶道であった。

千宗室『「茶経」と我が国茶道の歴史的意義』1983年,淡交社

露地の中門にあたる枝折戸は、同じ露地の延長上にありながら枝折戸を境にして、次元を異にした世界として意識させる。
茶室の前の蹲踞では、客が手水をつかい世塵を払う。
席中の床には墨蹟、釜は松籟の音、香のにおい、極めて狭い空間に、世俗的な世界とは違い、異質な世界を構成している。また、茶室は簡素な素材で造られ、装飾品は無く、壁は粗壁で、苆がみえ、土目は粗い、荒削りの柱、窓は不定型、壁下地もみせる、贅を凝らさず、限りなく世俗的な夾雑物を払いのけ、必要最小限の空間を構成している。それは、脱俗の境地の設定であり、超俗的な境地への飛躍を意図している。

日常茶飯の茶を喫することであっても、茶の湯となれば、それが仏教修行に通じるという観念。佗びた簡素な狭いしつらえであっても、茶室となった時、いかなる金殿玉楼よりも尊厳な仏道修行の場となるのだという認識。それがあるからこそ茶が文化となるのであった。

千宗室『「茶経」と我が国茶道の歴史的意義』1983年,淡交社


参考文献
千玄室・千宗室監修『Urasenke Chadō Textbook [英文]裏千家 茶道文化
    入門』裏千家インターナショナルアソシエーション(UIA)訳,淡交社,2011年千宗室『「茶経」と我が国茶道の歴史的意義』淡交社,1983年


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