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酒場学 by Syupo

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酒場について、より深く考察した記事です。メンバーシップ「Syupo酒場部」にご入会頂くと、すべて自由にお読みいただけてオトクです。
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骨太コンセプトの酒場が最後は残る~生き残る店の特長

骨太コンセプトの酒場が最後は残る~生き残る店の特長

膨大な軒数の居酒屋を取材したことで、だんだんと「続く店」、「淘汰される店」の傾向が見えてきました。

帝国データバンクによると、2023年の居酒屋・カフェ倒産件数は過去最多。そもそも需要に対して店が多すぎると言われている居酒屋ですが、さらに酒類を含む仕入れコストの高騰、人手不足など、コロナ禍以前よりも経営環境は厳しさを増しています。それでいて利用者は、コロナ前の水準で"コスパ"をみてくるため、増加

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ホンモノの角打ちとは

ホンモノの角打ちとは

私が考える最高の角打ちとは、地域の人のたまり場になっている店です。近所の人が集まり、ちょっとしたコミュニティができている店は、飲みに行く価値があります。

なぜなら、私が酒場や角打ちを選ぶ理由は、その場所が持つ「地域性」にあるからです。

地域性と言っても、アンテナショップが意図的に作り上げた“土地の色”とは異なります。 アンテナショップは、ハイクラスの地酒や地元の珍味を取り揃え、丁寧な接客の店員

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最速で名酒場にたどり着く方法

最速で名酒場にたどり着く方法

口コミ情報サイトの上位掲載の店に向かったら、予約で満席だった。
誰もが一度は経験することです。

インターネットでお店を探すことが当たり前になった今、考えることは皆、同じです。

良いお店をみんなで共有できることはとても良いことですが、その分、お客が集中するようになり、繁盛店とそれ以外の差が開いてきました。その傾向はこれからも続くでしょうが、誰も幸せにならないように思います。

口コミが集まる居酒

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酒場は人なり

酒場は人なり

「文は人なり」は、文章に書き手の人となりがわかるという意味ですが、これは酒場にも当てはまると思いませんか。

几帳面な大将の店は、店先から店内までピシッとしています。醤油差しに入る醤油は常に補充されていて、液垂れなんて皆無。暖簾はアイロンがかけられ、品書きの文字も丁寧です。そうした大将の人柄を感じてか、客層もピシッとしたタイプが多く、全体的に引き締まった雰囲気に包まれていきます。

いい酒場は、い

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初めての酒場の入り方

初めての酒場の入り方

誰だって、初めて入る酒場は緊張します。「気になる店があったけど、勇気がなくて入れなかった」という話をよく聞きますが、当然のことだと思います。

居酒屋はチェーンと個人店で役割が全く違うレンタル会議室的存在

個人経営の居酒屋から漂う"入りにくさ"を徹居的に排除しサービスを均一化したから、チェーン居酒屋は戦後これほどまでに広まったわけです。飲み屋の雰囲気を楽しみたいのではなく、飲食できる"会合場所"

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薄づくりグラスや平盃はなんでも美味しくなるのか

薄づくりグラスや平盃はなんでも美味しくなるのか

東京・銀座にあるサッポロ黒ラベルのアンテナショップでは、比較的薄いグラスで提供され、「これが、私たちサッポロの考えるPERFECTです」というスタンスをとっています。

同じサッポロでも、銀座ライオンは昔ながらの分厚いジョッキで提供し、「これが、伝統のサッポロライオンの生です」と伝えてきます。嗜好品ですし、気分によって印象が変わるお酒は、数学的な「これが一番美味しいグラス」はないと思うので、こうし

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 昭和の酒場は儚い存在 ~時代の変化に無縁ではいられない~

昭和の酒場は儚い存在 ~時代の変化に無縁ではいられない~

長年の続いてきた街に根付く個人系飲食店(居酒屋・酒場・食堂・町中華)の減少に歯止めがかかりません。物価高騰、日本経済の停滞、高齢化、要因は様々ですが、昭和に築かれた日本の外食文化は消滅の危機に瀕しています。

経営者・店主の高齢化と後継者問題最大の問題は、店主の高齢化です。いま、注目を集めている店や、これを読むあなたの行きつけで、後継者候補が店を手伝っている店はどのくらいあるでしょうか。

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首都圏梯子ライン ベスト10(後編)4位~1位

首都圏梯子ライン ベスト10(後編)4位~1位

おまたせしました。一日券を買って各駅を飲み歩きたくなる、首都圏梯子ラインランキング、いよいよ4位から1位をご紹介します。このランキングは、駅前の酒類提供飲食店の軒数に、50年以上続く老舗酒場のようなランドマーク級飲食店の存在を加味してまとめています。

4,常磐線(首都圏)4位は常磐線。上野からはじまり、北千住や松戸、柏、取手とベッドタウンを経由し、郊外や土浦、水戸、さらには日立、いわき、仙台まで

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酒場カウンター図鑑

酒場カウンター図鑑

一般的な飲食店は純粋に食事の美味しさやコストパフォーマンスが評価軸になりますが、酒場の場合は情緒感が加わります。ここで言う情緒感は、そこにいて「あぁ、いいなぁ」と心を動かすなにか。

「emotional(エモーショナル)」のひとつだと思うものの、最近の"エモい"とは違います。いまの"エモい"は、新海誠アニメやジブリアニメ的な画や、レトロ感、黄昏的なものを表しますが、酒場で感じる情緒感は、そこに人

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首都圏梯子ライン ベスト10(中編)

首都圏梯子ライン ベスト10(中編)

前回に続き、首都圏で人気の酒場が連なる「ハシゴ酒」向きの路線をご紹介します。

鉄道路線には、その路線特有の雰囲気があり、駅周辺に広がる酒場も路線ごとに特長があるものです。今度の休日は、一日券を買って次々下車して酒場を訪ねてみませんか。

6位,京浜東北線東北線や東海道線を補うように細かく停車する京浜東北線。蒲田や鶴見のように、並行する路線が通過するものの駅前には巨大な繁華街があるような街が沿線に

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首都圏梯子ライン ベスト10(前編)

首都圏梯子ライン ベスト10(前編)

鉄道路線と酒場の色は関連性があると思いませんか。旧宿場町や漁港をつなぐ静岡の東海道本線は海鮮酒場の名店ぞろいですし、工場地帯を走る鶴見線沿線にはいぶし銀の大衆食堂が数多。酒場は街を映す鏡ですし、鉄道路線はそこで暮らす人々を結んでいる――、関連があることは間違いないでしょう。

今回は沿線酒場の特徴から、今度の休みの日に「ハシゴ酒」で使いたくなる首都圏の鉄道路線をランキング形式でご紹介します。

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奮闘する地方酒場

奮闘する地方酒場

世界的な自粛が終わり、再び街・観光地・飲食店がにぎやかになってきました。代々受け継がれてきた老舗が多数店を畳むなど、不可逆的な出来事が続きましたが、やっと少しずつ外食産業は安定を取り戻してきています。

さて、首都圏にいると、感じないことがあります。東京は元々人が多すぎますし、店も飽和状態でした。インバウンド需要が回復し、再び、「立地よければ人が来る」というパンデミック以前に戻りつつありますが、地

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家飲みの3倍高くても酒場へ行く理由

家飲みの3倍高くても酒場へ行く理由

突然ですが、一人で酒場へ行く理由はなんでしょう。
誰かと行くなら、会食・交流場所としての役割がありますが、一人で飲むならば、なにも外食しなくてよいわけです。

例えば、仕事帰りにオンをオフに切り替える場所として使うことはありますよね。出張先で郷土料理と地酒を味わいたいというのも、よくある利用動機です。

では、わざわざ電車に乗って飲みに行く理由とはなんでしょう。

本記事をご覧の酒場好きの皆さんも

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酒場好きにとって、一番良い街はどこか

酒場好きにとって、一番良い街はどこか

物価高騰だけでなく、光熱費や人件費も上がり続ける昨今。2019年と比べ、2~3割ほど居酒屋の相場は上がったように思います。それでも、びっくりするほど安い街があります。それは大阪。いまだに大瓶が500円未満の店が山ほどあって、それはもう楽園のように思います。では、大阪が酒場愛好家にとって、一番良い街なのでしょうか。

今回は、各地の特長を整理しつつ、酒場好きにとって一番良い街はどこなのか、文章で整理

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