タバブックス
記事一覧
男には簡単な仕事/ニイマリコ 第6回 相応と美学と「アップデート」(仕事文脈vol.23)
39歳になった。来年ついに四十路に突入する。それでここ数年うっすら考えてきたことは「破れたジーパンをいつまで穿くのか」ということである。
いくつになってもご飯や酒席、たまには温泉でも行こうよ、と誘ってくれる音楽関係以外の友人たちは、流行りものを教えてくれたり、それぞれ違う観点からのアドバイスをくれたりと、ありがたい存在だ。まったく安定しない私でも彼女たちとの縁は保っていたいし、何より声をかけてく
【寄稿】台湾のナイトクラブで婚姻平等を体験する・後編/燈里(仕事文脈vol.23)
クラブ文化及びダンスミュージックは、70年代のNYで有色人種のLGBTQコミュニティから生まれた。当時は同性愛者の権利を守る制度はなく、同性愛を禁じるソドミー法の下、警察がゲイバーに踏み込み捜査を行い、クィアの人々の逮捕と暴行を繰り返していた。特に警察の目の敵にされたのは、アフリカ系・ラテン系のトランスジェンダーの人々やセックスワーカー、ホームレスだった。この性、人種、階級の複合的な差別に反対して
もっとみる【寄稿】台湾のナイトクラブで婚姻平等を体験する・前編/燈里(仕事文脈vol.23)
クィアで病人で外国人として2017年から2022年の5年間を台湾で過ごした。
子供の頃、女の体に自分の肉体が近付いていくことが怖かった。思春期、男の体を受け付けないのはどうしてなのだろうと思った。成人してすぐ慢性疾患に罹り、何年も寛解状態に至れず焦った。障害や教育環境によって物心ついた時からいつも口籠もり、自分の言葉が他者に通じない恥ずかしさと自意識に囚われた。性や体の不安や違和感を人に相談する
【連載】「聞く」という仕事 第10回「取材における“時間”を考える」/辻本力(仕事文脈vol.23)
ごく稀にだが、非常に短い時間内で取材をしなければならないことがある。
ある時、某エンタメ映像作品に関するインタビュー仕事の依頼を受けた。取材対象者は二人で、もらえた時間は三十五分。そして、これはトータルで、である。写真撮影なども含めた上での時間なので、話を聞けるのは正味二十五分程か、と当たりをつけて臨んだ。
これまでの経験から、三十分あれば、なんとか一通り話は聞ける、という感覚はあった(理想を
【連載】虹色眼鏡 第15回「君は雨を見たことがあるか」チサ/さようならアーティスト(仕事文脈vol.23)
ロンドンに来て間も無くの頃は、拙い語学をもう少し高い水準まで習得するために、毎日公園などに出向いてはランダムに他人に話しかけていたが、それもしばらくすると他人の境界に踏み入れるという行為に必要な勇気を出し続けるのにも疲れ、2ヶ月が過ぎる頃には一歩も部屋の外に出られ無くなっていた。ホステルの人たちとも初めの頃は毎日話をしていたけれど、私はだんだんと笑顔を浮かべることが少なくなって、怒りっぽくなった。
もっとみる【特別公開!】『仕事文脈vol.24』企画会議・その2(後編)
仕事文脈vol.24の企画会議第2回公開、後編です。特集2:住まい、どうですか?について、団地、立ち退き、家がなくなる、などの話題は出てくるけど、インテリア、すてきな暮らしのような話題が出ないのはなぜだろう。そしてていねいな暮らしが接続するものは、など企画を広げていく様子です。
参加者:編集チーフ・小沼さん、編集スタッフ・浪花さん、丹野さん、発行人・宮川
#団地 、家がなくなる
小沼 団地、結
【座談会】堂々巡りの対話ー「社会課題にのりきれない」背景にあるもの・後編(仕事文脈vol.23)
社会構造につなげる回路がない
宮川 うちのフェミニズム・ジェンダー系の本も数ページで挫折するそうで。
椋本 そうなんですよね……。
小沼 挫折するのはどういう感覚なんですか? わからないのか、責められている感じがしてやめちゃうのか。
椋本 いや、責められている感じは……まあたまに思い当たる節はもちろんあるんですけど、どっちかっていうと興味を持って読み進められないというか。
宮川 自分のこ
【座談会】堂々巡りの対話ー「社会課題にのりきれない」背景にあるもの・前編(仕事文脈vol.23)
「社会課題にのりきれない」のはなぜか
椋本 ジェンダー問題、気候変動、人権など、たくさん社会問題があるじゃないですか。僕のまわりにはそうした問題に声を上げたり、具体的な活動をしたりしている人が多いんですけど、自分はそれを重要だと認識しているのに自分ごととして動くことはできていないんですね。
それで、このことを新しい企画にしてみるのはどうかと思って『自分ごと』というZINEの企画書を書きました。