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『第三の説』(超短編小説/550字)


「空が回っているんだぞ」
「違う。地面が回っているんだよ。僕たちは丸い地面の上にいるんだ」
「嘘つくなよ!コッペ君」
「プット君こそデタラメだろう」

   プットとコッペは、朝から、天動説と地動説で言い争っていた。それを見つけたロズウェ先生は、二人に向かって言い放った。

「はははっ、プットもコッペも間違っているぞ」
「えっ?」
「先生までデタラメ言わないでよ」
「本当だ。お前たちが話しているのは、宇宙図鑑13718巻の第211章に載っている太陽系にある地球というチッポケな星の話だ」

   プットとコッペはキョトンとしている。

「お前たちももうすぐ10歳になるから教えてやろう。この星もこの星の周辺も全く動いていないんだ」
「そんなのおかしい!」
「そうだ、絶対おかしい!」
「何がおかしいっていうんだ」
「じゃあ、なんで、この星には昼と夜があるの?」

   ロズウェ先生は、大きな空を見上げて、微笑んだ。

「いいか、よく聞け。この星で回転しているのは、天でも、地でもない」
「じゃ何が?」
「眼球だ」
「眼球って、目のこと?」
「そうだ。眼球っていうのはまんまるの形をしている。夜は瞳が体の内側を向いているから暗いんだ。昼は瞳が外に出ているから明るいんだよ。24時間で一周するようになっているんだよ」
「マジでっ!」
「それはヤバいっ!」
「俺たちは宇宙でも唯一の“眼球自転星人”なんだよ」
「うわあ〜」
「ビックリして目玉が飛び出そうだ〜」

(了)



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