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読書77 『どうしても生きてる』

    朝井リョウ著

・健やかな論理
佑希子が唯一安心感を得られるのは、ニュースで知った死亡者のSNSのアカウントを、特定できたときだった。

・流転
恋人が妊娠したことを口実に、夢を諦めた豊川。築き上げた歴史を裏切ることを繰り返し、結局は何の技術も宿らなかった。「一体、何を目の前にすれば、この後ろめたさを拭えるのだろうか」

・七分二十四秒めへ
依里子は四年前から、今の会社に派遣社員として勤めている。新しい人が補充されることが決まった途端、自分の雇用が切られるとは思っていなかった。

・風が吹いたとて
パート従業員の由布子。「出世コースなんておだてられて、上の言う嘘がまかり通るように調整させられるだけ」と囁かれる上司。
しかし、由布子にとって大事なのは、自分の半径五メートルを守ることだけだった。

・そんなの痛いに決まってる
良大が前の職場にいたときに、尊敬していた上司が退職した。その理由を聞いたとき、いつも「大丈夫」と言いながら、元上司がどれほどの痛みを感じていたのかを知る。

・籤
みのりは、胎児の出世前診断を受ける。
アルバイトが休んだ代わりに出勤して、大震災が起こる。スタッフとして、顧客の安全を担うことになった。

(公開されている部分から抜粋しました)
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それぞれの主人公が持つ、紆余曲折の人生にまつわる話です。タイトルの『どうしても生きてる』を彷彿とさせます。

目を逸らしたり、裏切ったり、逃げたり、嫌ーな気持ちになりますが、「あるかもしれない」日常の話で、どの話もおもしろかったです。

印象に残ったところは、最後の「籤」で、みのりはくじ運が悪い。というより、ずっと理不尽な思いをしてきました。
でも、終盤で、「あのときのおかげで、料理のレパートリーが増えた」「あのときあんなことがあったから、メイクが上手くなった」など、そのときに受けた、つらさやくやしさを、プラスに変換していて、そこがとても気持ちがよかったです。
しかし、ある場面で「自分はとても意地悪な人間だ」「自分は、とても意地悪な人間」と、句読点を入れたり一語を変えて、わざわざリピートしていました。
朝井さんのこういうところ!です🤭

映画も公開されて『正欲』も未読なので、早く読みたいです。

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