映画『高沢折々』とその後

熊本県球磨郡にある高沢地区を舞台にしたドキュメンタリー映画『高沢折々』について。また高…

映画『高沢折々』とその後

熊本県球磨郡にある高沢地区を舞台にしたドキュメンタリー映画『高沢折々』について。また高沢地区の近況をお伝えします。お問い合わせはコチラ→takasawaori2@gmail.com

最近の記事

あれから10年②

2日目です。 ちょっと?寝坊した朝。 康成さん宅で朝食をいただきました。 鹿肉のたたきです。 新鮮な生鹿肉はニンニク醤油と合い、朝から贅沢でした。 昨日、雪が降る噂がありましたが、文句なしの快晴。 天気予報も雪の予報はなく、雨具などの対策はせずに安心して集落を散策。 しかし、空気がとても冷たく、イヤな予感……。 結局、すぐに雪が降り出しました。やはりその土地の人の言うことは聞くべきと痛感。 映画本編やnoteでも紹介できていなかった、旧高沢小学校付近にある高沢鍾乳洞で

    • あれから10年①

      皆さんお久しぶりです。 先日、12/16・17に高沢に行ってきました!前回からおよそ2年ぶりとなります。 そして、初めて高沢を訪れてから10年が経ちました。 ************** 1日目。 午前中に人吉に到着。 小雨が降る中、タクシーに乗り高沢へ。 車中で康成さんに電話をすると、ちょうど人吉にいるとのことで、合流することに。 康成と合流して早々、高沢までの道が崖崩れで通行できないとのこと。 この日の朝から、岩が道に落ちて除けながら通っていたそうですが、その後更に

      • 高沢地区へ!②

        ※本ページは2021年12月29日に下記ページにて掲載したものです。 ************** 翌日。集落にある高沢小学校の跡地へ。 校舎はなくなり駐車場に。 体育館は現在はコミュニティセンターとして、被災直後の住民の避難場所となりました。 そして、すっかり整備されたかつての校庭ではなんと、ゲートボールをする人々の姿が! 実はこれ、グラウンド・ゴルフ。ゲートボールとは似て非なるものですが、 少し世代が若くなっても、人々の「集い」の習慣は続いていました。 休

        • 高沢地区へ!①

          ※本ページは2021年12月29日に下記ページにて掲載したものです。 ************** コロナウィルスの影響により予定が延びに延びましたが…… 先日、ようやく高沢へ行くことができました! 球磨川沿いにある高沢の最寄駅・一勝地駅からの道はまだ復旧しておらず、 昨年の被災直後同様、迂回路で高沢へ向かいます。 通常の倍以上、車を走らせてようやく高沢地区へ……と思いきや、集落手前でまたしても通行止めの看板。 11月末より高沢地区を通る県道の復旧工事が始まった

          制作日誌⑦:実りの季節

          ここでは本作の監督がつづった制作日誌を全7回にわたって掲載します。 本作のご鑑賞と併せて、是非ご一読ください! ************** 夏の撮影が終わり、後は秋の撮影を残すのみ。一年かけた撮影もいよいよ大詰めを迎えたのだが、大きな問題が発生した。 編集が進んでいないのだ。完成の締め切りから逆算すると、秋に撮影をするのはありえないと大学の講師陣に言われる。しかし秋の要素がなければ作品として成立しない。締め切りに間に合わなければ卒業できないと言われるも、そんな脅迫に屈

          制作日誌⑦:実りの季節

          制作日誌⑥:祭りのあと

          ここでは本作の監督がつづった制作日誌を全7回にわたって掲載します。 本作のご鑑賞と併せて、是非ご一読ください! ************** 高沢は静かだ。都会の喧騒を忘れさせる静けさと鳥のさえずり。田舎暮らしとか興味を持ったことがなかったがアリかもしれない。高沢に通う中で僕はそんな事を思い始めていた。 ある日、前夜に酔い潰れた翌朝のことだ。宿の外へ出ると喜純さんが自宅の前にいるのが見えた。声をかけて二人で喜純さんの家の縁側に座ることに。その日も静けさが心地よかった。す

          制作日誌⑥:祭りのあと

          制作日誌⑤:山ん太郎に注意

          ここでは本作の監督がつづった制作日誌を全7回にわたって掲載します。 本作のご鑑賞と併せて、是非ご一読ください! ************** 球磨村には「山ん太郎」いう妖怪がいるらしい。山に潜む妖怪で他の高沢の人たちも知っていて、取材中ちょくちょく話題になった。ただの昔話として扱う割には真面目に山ん太郎の話していたのが印象に残っている。 ある日、集落の俯瞰の画を撮ろうと丘へ上がった。集落を見下ろすと高澤浩吉さん(当時54歳)がスタッフの泊まっている宿に来るのが見えた。こ

          制作日誌⑤:山ん太郎に注意

          制作日誌④:後悔先に立たず

          ここでは本作の監督がつづった制作日誌を全7回にわたって掲載します。 本作のご鑑賞と併せて、是非ご一読ください! ************** 春。桜が満開に咲き、緑も豊かで心地よい陽気。冬に比べ高沢の雰囲気はガラッと変わっていた。 春は撮影項目が多く、気合いは入っていたが1つ不安なことがあった。忠男さんのことだ。 高澤忠男さん(当時82歳)は集落の一番奥の場所に暮らしている。前年の秋。二度目に高沢を取材した日はあいにくに雨だった。できるだけ多くの人に出会って、撮影対象

          制作日誌④:後悔先に立たず

          制作日誌③:腹ごしらえ

          ここでは本作の監督がつづった制作日誌を全7回にわたって掲載します。 本作のご鑑賞と併せて、是非ご一読ください! ************** 2014年1月。山の木々を覆う濃い霧。足音を際立たせる霜。高沢は冬の寒さが本格的になっていた。これから2週間かけて冬の高沢を撮影する。 作品のコンセプトは集落の四季を通して、人々の暮らしと文化をみつめる。この時期は年明けということもあり、集落の行事も多い。今回の目玉は集落にある説教所で行われる「御文章起こし」。 集落のお堂の上方

          制作日誌③:腹ごしらえ

          制作日誌②:ゲートボール

          ここでは本作の監督がつづった制作日誌を全7回にわたって掲載します。 本作のご鑑賞と併せて、是非ご一読ください! ************** 「高沢に行く人を乗せるなんていつぶりだろ」 タクシーの運転手さんがつぶやく。熊本県八代市の八代駅から鹿児島県霧島市をつなぐJR肥薩線の一勝地駅から車で15分。山道を上った先に高沢地区がある。都会で生活してきた僕にとっては、この時点で不便な場所だと思った。さらに進むと道路脇に立てられた「ケータイ利用できます FOMA」の看板が視界に

          制作日誌②:ゲートボール

          制作日誌①:毛の生えた坊主

          ここでは本作の監督がつづった制作日誌を全7回にわたって掲載します。 本作のご鑑賞と併せて、是非ご一読ください! ************** 大学3年の夏休みが終わった。日本映画大学のドキュメンタリーコースに在籍している僕は、来年の卒業制作の企画を考えねばならなかった。企画提出は強制でもなかったが、どうしても在学中に1本、監督と名乗った作品を残したかった。 そんな折に、ある記事を読んだ。糸井重里さんと中沢新一さん、そして本木雅弘さんの対談。映画「おくりびと」が公開された

          制作日誌①:毛の生えた坊主

          『高沢折々』オンライン視聴について

          ■視聴方法  鑑賞料金/1000円(振込手数料別)  ※鑑賞料は高沢地区がこれからも共同体として  持続するために必要な経費として、  全額支援金を充てたいと思います。  ご視聴いただく際のプラットフォームはVIMEOです。 ◾️振込方法  横浜銀行 百合ヶ丘支店 827-6020594 普通  名義:イマムラハナ 上記口座に鑑賞料をお振込みの際は、 高沢折々制作チーム(takasawaori2★gmail.com)まで 必要事項を明記のうえ、ご連絡下さい。 ★を@

          『高沢折々』オンライン視聴について

          令和2年7月豪雨による被害

          令和2年(2020年)7月。九州地方は激しい雨が降り続き、この豪雨により熊本県の球磨川流域では甚大な災害が発生しました。 高沢も地区の中心を流れる川が氾濫。住民の方々は集落の丘にある旧高沢小学校で五日間の避難生活を余儀なくされました。 地区内の被害は甚大で、全世帯が床上浸水。一部家屋の全壊、ガードレールや電柱など公共物の損壊。高沢地区は変わり果てており、住民の方々は集落から離れた生活をを余儀なくされました。 被災からおよぞ1年半。地区を通る県道の復旧工事がよう

          令和2年7月豪雨による被害

          ドキュメンタリー映画『高沢折々』とその後

          熊本県にある高沢地区を舞台にドキュメンタリー映画『高沢折々』について。そして、高沢地区その後を発信していきます! 皆さんどうぞよろしくお願いいたします! ■高沢地区について 熊本県球磨郡球磨村の山間に位置する、人口約100人、40世帯ほどの集落。高沢は真宗への信仰が深く、江戸時代の真宗禁制の時代に権力の目を逃れ、信仰を続けた 「隠れ念仏」の歴史があります。 集落の中心にある説教所では、毎日住民が出入りお仏飯を供えるなど、信仰は現在も受け継がれており、高沢は「隠

          ドキュメンタリー映画『高沢折々』とその後