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竹美書評

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読んだ本のレビューまたは感想文です。
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記事一覧

竹美書評 傷つくべきは誰なのか Abigail Shrier著『Irreversible Damage: The Trans…

皆の死者の書 上記の投稿から三か月が過ぎた。やっと英語版で『あの子もトランスジェンダーに…

竹美書評 「思想転向」を訂正する(東浩紀『訂正する力』(2023年)朝日新書)

思想転向。思えば私はこの言葉に30代を支配された気がする。 20代、まだ学生だった私に、左翼…

竹美書評 監督Vivek Agnihotri著『Urban Naxals: making of Buddha in a traffic jam…

前回は、ボリウッドでアグニホトリ監督がキャンセルカルチャーを体験した映画作品『Buddha in …

苦手な部分を突き刺してくる本 池亀彩著『インド残酷物語 世界一たくましい民』集英…

2021年に出版された池亀彩『インド残酷物語』を購入せずに、同年12月インドに移住したことを猛…

我らは如何にしてロマンティックラブに挫折したか(イザベラ・ディオニシオ『女を書け…

勉強嫌いで努力のできない竹美がやり直したいコト 今、高校に戻ってやり直したい科目。私は間…

ネオンの下で花開くゲイ能文化(小針侑起著『浅草芸能とゲイの近代史 文化の伏流を探…

私は、日本からインドに出て1年過ぎたのだが、思想が保守寄りになって来たり、日本の特殊性に…

罪悪感が生み出すホラー

こんな本を読んでいます。 我々はそもそも何故ホラーや怪談を生み出すのか?コリン・ディッキーの『ゴーストランド 幽霊のいるアメリカ史』を読んでいる。実は日本語版は手に入れられなかったので、仕方なく英語版でジリジリしながら読んでいる。 この本が扱っているのは、アメリカ各地の幽霊が出現するとされる場所を訪れ、事実関係と照らし合わせながら、怪談の意味を問うている。 ジョーダンピールの『アス』を思い出す。 我々は、アメリカ人だ! のセリフが全てを物語る。笑わせながら嫌な気分に

読書感想文『An Unsuitable Boy』(不似合いな少年)Karan Johar, Poonam Saxena著2017…

ボリウッドにはネポティズム(身内びいき)が蔓延っている、という話はしばしば聞かれる。テル…

書評と言うより感想文『The Girl in Room 105』Chetan Bhagat著

まだ銀行口座が無いから配信系映画をこの三ヶ月まともに観ていない。そのイライラを埋めるため…

書評『Finding Monju』(文殊を探し求めて)Earle Ernst著1994年?

アール・アーンスト(Earle Ernst)は、GHQの占領期、日本の舞台芸術の検閲にかかわったアメリ …

いつも薄暗い皆へ

この状況で、ゴールデンウイークにも図書館が開いていると知り、行った。たまたまル=グウィン…

書評『エクソシスト・コップ NY心霊事件ファイル』

ホラー映画についての本を書くようにと言われたので、ともかく調べてまとめ始めている。その中…

竹美書評③  カールハート『ドラッグと分断社会アメリカ 神経科学者が語る「依存」…

ドラッグと社会の問題については、二年近く前になる、元彼のコカイン所持逮捕という事件を経て…

韓国図書『文化語授業』の感想  韓国式の大風呂敷の広げ方

2019年~2020年は韓流ブームが世界的にキているということを知って、もはや古い世代の韓国語学習者の私は、今来たか!と驚いている。 2004年~2005年まで韓国にまる2年間住んでいたが、当時は、北朝鮮に融和的な態度を取っていた盧武鉉政権から保守系政党に政権が変わった後に「韓国の政権は北朝鮮に対してはどんな態度をとるだろうか?」というのが皆の関心事だった。「疑いもなく北朝鮮寄りになるだろう」と予想した人もいた。当時の野党ハンナラ党の政権資料を読んでみると、確かに北朝鮮との