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演劇を観て、思ったことを書きます。

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記事一覧

神殺しの五穀姫 台本

 この記事は、「第五品目公演 神殺しの五穀姫」の公開用台本が画像として貼ってある記事です。  この記事がアップされて直ぐ読んで下さっている方へ。  過疎地ですの…

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1か月前
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劣等星でも、相対的に劣っているのであれば、それはそれで、

 何処まで歩いても街が続いてくし何処まで電車に乗っても街が増えていく、なんと都会かと、むやみやたら心躍らせながら歩いて乗り回ったのは2022年の終わり。晴天に恵まれ…

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1か月前
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あと一ヶ月

「一年温めた台本が、あと一ヶ月で上演になりますよ」 稽古帰りに投げられた言葉。 その言葉は半分は間違いで、半分は正解だ。 二品目公演稽古の頃、頭の中に浮かんでいた…

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1か月前
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カクウノ劇団 #0試験的公演の揚力を受けて

7月31日の自ユニットの公演。今回の座組は広島・東広島・呉と相変わらず広範囲で稽古場を広島市の東の端か安芸郡か東広島で設けていたのは、前回の反省点から。 前回の座組…

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1年前
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さめた茶に酔うたふり 台本

広島市青少年センター令和4年度文化発表促進事業 演者unit炊込飯 第四品目作品上演会 さめた茶に酔うたふり 公開用台本です。

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1年前
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クラッシュ・ワルツでおどる

 自身が大学生だった頃東広島に来る機会は皆無で、唯一の記憶は一年生の頃にバスを乗り継ぎ乗り継ぎ広島大学構内へ一度だけ侵入したもの。サークルの行事だったと思う。高…

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2年前

東の風が吹き抜けた冬の頃

 その風は、冬のそれではなかった。  肌寒い春の日、窓際の暖かな光、その真ん中で微睡む。髪を撫でるそよ風。  いや、暴風。  2020年。12月。冬が加速していく頃。 …

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3年前

月を照らし照らされた人に出会った、という物語を観た、という散文

 何かを抱えて、という姿を想像したときに浮かぶのは、腹の辺りに何かを抱えてうずくまる姿ではなく、膝から下が、すねやふくらはぎが、もしくは肘から先が、手首より肘に…

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3年前
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銀河鉄道の夜の通った後に

命からがら、な場面は、人生で二度。 一度目。 小学生の頃。実家から近い、小さな川。高低差50センチほどの小さな滝がいくつか。勢いよく流れている水を触りたくて、川遊…

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4年前
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劇團ぬるま湯 銀雪の足蹟~渡り巫女祈祷伝~を観ている

真っ白な雪原に足蹟が一人分。どちらかが手を伸ばせば触れ合える距離に人間の男と妖怪の女。彼の顔色は悪く。彼女の鼓動は速く。それでも二人は普段の笑顔を絶やさず歩く。…

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4年前
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グンジョーブタイ ロクな死にかたを観た日

雨が降っていた。憂鬱な気持ちで会場へと向かう。 バイクを走らせていると、視界に何かの亡骸が入ってきた。 猫だろうか。狸だろうか。アスファルトに散った薄茶色の毛の塊…

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4年前
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神殺しの五穀姫 台本

 この記事は、「第五品目公演 神殺しの五穀姫」の公開用台本が画像として貼ってある記事です。

 この記事がアップされて直ぐ読んで下さっている方へ。
 過疎地ですのにありがとうございます。この時期に記事をアップしたのは、当日パンフレットにQRコードを載せたいからです。
 ご購入可能です。読後観劇されたい方はどうぞ。
 台本購入だけも大歓迎です。
 当日上演後に受付にて、ほぼ同じ内容を紙媒体でお読み頂

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劣等星でも、相対的に劣っているのであれば、それはそれで、

劣等星でも、相対的に劣っているのであれば、それはそれで、

 何処まで歩いても街が続いてくし何処まで電車に乗っても街が増えていく、なんと都会かと、むやみやたら心躍らせながら歩いて乗り回ったのは2022年の終わり。晴天に恵まれた広い空は高い人工物に遮られても関係なくて、その先に広がる風景は終わりが無くて、あちらこちらに生活や人生、果ては大きな夢までぴりぴりと感じるような。知っていた子達が夢を抱えて飛び出した先の、大きな街。
 東京。
 私はいい歳で芝居に出会

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あと一ヶ月

あと一ヶ月

「一年温めた台本が、あと一ヶ月で上演になりますよ」
稽古帰りに投げられた言葉。
その言葉は半分は間違いで、半分は正解だ。

二品目公演稽古の頃、頭の中に浮かんでいたのは兄弟の姿だった。戦場で敵として出会った兄弟。その表情を描きたい。
そうして三品目を書いたが、ボツにしたプロットが他にあった。ボツにした理由は、面白い面白くない以前に勉強不足。
そしてそのプロットを一から書き直して台本にしたものが今回

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カクウノ劇団 #0試験的公演の揚力を受けて

カクウノ劇団 #0試験的公演の揚力を受けて

7月31日の自ユニットの公演。今回の座組は広島・東広島・呉と相変わらず広範囲で稽古場を広島市の東の端か安芸郡か東広島で設けていたのは、前回の反省点から。
前回の座組は今回のそれに廿日市を加えた、更に広い範囲であったのにも関わらず割と広島市中心部での稽古を多く組んでしまい、広島組には好評であったが他市組にかなり甘えてしまったと終演後からずっと胸に引っかかっていた。
であるので今回の稽古場大作戦の結果

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さめた茶に酔うたふり 台本

さめた茶に酔うたふり 台本

広島市青少年センター令和4年度文化発表促進事業
演者unit炊込飯 第四品目作品上演会
さめた茶に酔うたふり

公開用台本です。

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クラッシュ・ワルツでおどる

 自身が大学生だった頃東広島に来る機会は皆無で、唯一の記憶は一年生の頃にバスを乗り継ぎ乗り継ぎ広島大学構内へ一度だけ侵入したもの。サークルの行事だったと思う。高速バスに詳しい友人にひっついて、何処をどう歩いたのかさえすっかり霞んでいる。現在では週に一度は訪れている、車さえあれば一足で行ける隣の街。

 沢山の交差点を越えて、行く。

 ある交差点での信号待ち。私は先頭で停車した。対向車は居ない。後

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東の風が吹き抜けた冬の頃

東の風が吹き抜けた冬の頃

 その風は、冬のそれではなかった。
 肌寒い春の日、窓際の暖かな光、その真ん中で微睡む。髪を撫でるそよ風。

 いや、暴風。

 2020年。12月。冬が加速していく頃。

 中旬に向かって、広島市内、といっても私の知る限りというごく一部ではあるが、緊張と諦めが支配していたように思う。連日更新される感染者数は予想だにしない増え方で、市内施設は次々に閉鎖へと向かい、公演・イベントの中止が発表され、何

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月を照らし照らされた人に出会った、という物語を観た、という散文

 何かを抱えて、という姿を想像したときに浮かぶのは、腹の辺りに何かを抱えてうずくまる姿ではなく、膝から下が、すねやふくらはぎが、もしくは肘から先が、手首より肘に近い辺りが、その辺りが傷だらけになっているような、そんな姿。
 日常、運転をしながら朝、街を行き交う人を、歩く、走る、待つ、進んでいく見知らぬ人の、膝から下が、肘から先が、傷だらけのそこらから、赤い液体がひたひたと滴って地面に落ちていく様を

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銀河鉄道の夜の通った後に

命からがら、な場面は、人生で二度。

一度目。

小学生の頃。実家から近い、小さな川。高低差50センチほどの小さな滝がいくつか。勢いよく流れている水を触りたくて、川遊びの最中に一人岩場を渡った。流れが緩やかな浅い所で、幼馴染み達が泳いでいる。川岸から少し階段を上った駐車場に母がいた、気がする。母は小さな女の子の着替えを手伝っていた、と思う。川の中程まで続く岩場を歩きながら、まぁ滑らなければ大丈夫だ

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劇團ぬるま湯 銀雪の足蹟~渡り巫女祈祷伝~を観ている

真っ白な雪原に足蹟が一人分。どちらかが手を伸ばせば触れ合える距離に人間の男と妖怪の女。彼の顔色は悪く。彼女の鼓動は速く。それでも二人は普段の笑顔を絶やさず歩く。

馬鹿な二人だ。二人はふたりぼっちを選んだ。理由なんて一つしかない。きっと進む先にはあの六魔将共が居る。二人はふたりぼっちでこの國を救おうとしている。

馬鹿な二人だ。行くしかない。逝ってしまった者たちは帰ってこないけど、彼らの想いも連れ

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グンジョーブタイ ロクな死にかたを観た日

雨が降っていた。憂鬱な気持ちで会場へと向かう。
バイクを走らせていると、視界に何かの亡骸が入ってきた。
猫だろうか。狸だろうか。アスファルトに散った薄茶色の毛の塊とやたら目立つ黄土色の細長い筒状の何かが見えた。身体からはみ出したであろうそれを横目に大きくハンドルを切って、避けた。

とても好きだった個人ブログがある。
淡々と綴られる文章と独特な風景画像に魅入られて、暇さえあれば覗いた。一つ目から最

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