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すきなものに囲まれて

昨日は誕生日ということで、無計画に思いの向くまま、わたしの行きたいところへ同居人がつきあってくれる1日だった。

お昼にラーメンを食べ、『印象派・光の系譜展』へ。同居人は美術に苦手意識がある人で、美術館へはめったに一緒に行かない。でも今回は、コローがよかった、なんでか物凄くなつかしいきもちになって…コローが…としきりにうれしそうに話す姿が、わたしをよころばせる。

見た瞬間心を捉えて離さない絵というのがあって、でもそれがすきな絵かといわれるとそれはまた別で、部屋にかざりたいもの、じっと長く見つめることでだんだんに良さが心に染み渡っていくもの、いろいろあるねぇと話していた。

レッサー・ユリィ『冬のベルリン』

わたしはとにかくレッサー・ユリィでした。みずみずしくまばゆい光の絵たちと並ぶにはどこか暗いユリィの独特のタッチ。とくに『風景』を見たときのきもちたるや。それだけは言っておこう。それだけと言いながら、ゴーギャンのウパウパもよかったなぁ。

レッサー・ユリィ『赤い絨毯』

ミュージアムショップで、ほしいなぁとながめていたユリィの『赤い絨毯』のアートパネルを誕生日だからとかってもらった。誕生日に美術館、行ってみるもんだな。

いつもの体力だとこのくらいで帰るのだけど、近くでレオス・カラックスの新作映画『アネット』がやっていると聞き、そちらへも足をのばす。

これがまたとーってもよかった……ポスターに「愛の大渦に呑み込まれる、ダークファンタジーロックオペラ」と書かれていて、いやいやなにそれ…と半笑いだったけど、ほんとにダークファンタジーロックオペラだったのでたまげた。終始不穏でくるしくて、でもところどころであそびがあって、こんな映画観たことない。なによりアダム・ドライバーがかっこいすぎる。いつも思うのだけど、「怖い」と「色気」はとてもちかいところにある気がする。音楽もとてもよかった。

そして、ふとながめたシネリーブル梅田からの風景、こんなにおもしろい建築だったけかとおもい、そんな発見さえもうれしい日。

帰り道、たのしくなってあのシーンがあーだこーだと話し、めずらしくつかれず終始はしゃいでいるわたしを見て、「すてきな誕生日を過ごせてよかったねぇ」と同居人はかなりつかれた様子。

ありがとうございましたと何度も言い、それぞれの部屋でねむった。と言ってもわたしは興奮冷めやらずで、なかなか眠れず猫にうざ絡みし、しっかりとうざがられ、そのうちつかれて眠ったのだった。

今日は思う存分だらだらして、今は吉田篤弘さんの本を読み直している。29歳、将来のことや仕事のこと、思うことは様々にあるけれど、気負いせず日々の中にたのしいことをできるだけ増やして、ゆるりと生きよう。そんなことを考えている。

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