森野からす

夫(クマヒロ)と猫(トロロ)の、3人暮らしです。 夫がまさかの認知症。備忘録を兼ねて記…

森野からす

夫(クマヒロ)と猫(トロロ)の、3人暮らしです。 夫がまさかの認知症。備忘録を兼ねて記録します。 落ち着いて日々を過ごしたいです。

記事一覧

ささやかな医療ミス。あの医師と私、より性格が悪いのは、どちらだろう?

もう、数年前のことだ。 鼻の調子が悪かった。 なんとなく、グズグズしている。 とうとう、駅近の耳鼻科に行くことにした。 その耳鼻科は、医師が二人体制で、父が院長、…

1

猫用おもちゃのウールボール、遊び方の変遷があるなんて思わなかった

今日は猫のトロロの2歳の誕生日である。 残念ながらケーキでお祝いはできないので、紐のおもちゃを買ってあげた。 まあ、普通、という感じ。 トロロのいちばんお気に入り…

4

猫のトロロよ、仕事を手伝ってくれなくてもいいから、校正紙を踏もうとしないで

我が家の猫、トロロには使命があった。 認知症になり会社を辞めた夫の、ココロを動かして脳を活性化させ、私の精神も癒す。 しかし、以前書いたように、トロロはなかなか…

森野からす
2週間前
5

夫と猫を置いて、夜遊びに出かけた埋め合わせ

平日の夜、友人とジャズクラブ、BLUE NOTE TOKYO に行った。言わず知れた高級ジャズクラブである。 お財布に優しくないお値段の飲み物と料理を頂き、演奏を聴く。最高。か…

森野からす
1か月前
24

落とした魂を拾いに行く、という合理的なシステム

今でも残っている風習なのか? と、ネットで検索すると、出てくる出てくる。現役の風習らしい。沖縄では、驚いたりすると、魂(マブイ)を落としてしまうと言われているら…

森野からす
1か月前
7

猫の胃袋の宇宙

猫のトロロと暮らし始めて以来、繰り返し思い出す、ドラマのセリフがある。 昔、「フードファイト」というドラマで、SMAPの草彅くんが、フードファイター役をやっていたの…

森野からす
1か月前
14

認知症日記(10) 認知症とお金の問題。銀行で「自分、認知症なんですよ」って言わないで、って言ったのに。

お金のことは夫にすっかり任せきりだったけれど、夫が軽度の認知症だと分かり、やっと通帳を見せてもらうことにしました。すると、通帳が10冊! 「なんで10冊?」 驚く私に…

森野からす
1か月前
14

認知症日記(9) 「夕飯は何がいい?」と訊ねて始まった連想ゲーム

毎日、朝昼夕の食事を考えるのは面倒くさいです。 夫に、「今日の夕飯、何が食べたい?」 と訊ねると、珍しく考える様子。 普段は「なんでもいい」で済まされるのに、何か…

森野からす
1か月前
5

認知症日記(8) 自分の生き方を決められるのは、本人だけなのだ

夫はすべり台のてっぺんに座っている。今にも滑りだしそうだ。そんな夫の背後から、夫の服を掴んで、なんとか滑り落ちないように頑張っている私。 それが、しばらく前の私…

森野からす
1か月前
6

認知症日記(7) 地域包括支援センターの人のひと言が、小さな”おまもり”

夫は今、「要介護1」なのですが、 まだ「要支援2」だった頃は、ケアプランの作成などを、市民センター内にある「地域包括支援センター」の方が担当してくださいました。…

森野からす
2か月前
4

認知症日記(6) 認知症家族になって思うこと

認知症関係の本に書いてあったのだと思う。医師に聞いた「なりたくない病気No.1」は、認知症だという。 一方、がん患者の方が「死ぬならがんがいい。死ぬまでに時間がある…

森野からす
2か月前
4

認知症日記(5) 懐かしの、夫の珍妙料理、謎のどんぶり

今は夫もすっかり料理をしなくなったけれど、かつては食事を作ってくれていました。一時期、私が鬱病になって完全ポンコツ状態だったので、家事はほとんど夫任せになり、そ…

森野からす
2か月前
1

認知症日記(4) 夫の歩き方がおかしくなったと思ったら、軽い脳梗塞でした。鍼灸院に行ってよかった。

2年ほど前、夫と一緒に近所の定食屋で夕食を済ませた帰りに、夫が急に、ととととっと早足で歩き始めたのでした。 普段は、歩くのがむしろ遅いのに、つんのめるような早足…

森野からす
2か月前
1

認知症日記(3) デイサービスを受けるまでの、制度的な道のりは、けっこう未知のものでした

夫の認知症がわかり、会社を辞めたタイミングで、彼が昼間、通う場所を作らねば! と思いました。 ともかく夫は、やることがないと、ぼんやりしています。 筆ペンでなぞ…

森野からす
2か月前
5

認知症日記(2) きっかけは「車を盗まれた」だった、物忘れ外来の受診

夫は会社を早期退職したあと、週3日勤務のアルバイトをしていました。 手先の仕事で、性格に合っていたみたいです。家にいても、ぼんやりテレビを観ていることが多いので…

森野からす
2か月前
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認知症日記(1) 親より先に、夫が認知症になるとは、思わなかった。

夫は私よりも20歳ちかく、年上なのです。 出会った頃、まさかそんなに年上だとは思わなかった。 結婚するときは、年の差のことは考えたものの、まあ、もっと歳をとれば気…

森野からす
2か月前
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ささやかな医療ミス。あの医師と私、より性格が悪いのは、どちらだろう?

ささやかな医療ミス。あの医師と私、より性格が悪いのは、どちらだろう?

もう、数年前のことだ。

鼻の調子が悪かった。
なんとなく、グズグズしている。
とうとう、駅近の耳鼻科に行くことにした。

その耳鼻科は、医師が二人体制で、父が院長、息子が副院長だった。どちらの医師に当たるか選ぶことはできず、運次第だと後で知った。
そして私が当たったのは、院長だった。

院長は、ちょっと心配になるようなご高齢だが、それだけ経験豊富なのだと思うことにする。
私が鼻の不調を訴えると、

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猫用おもちゃのウールボール、遊び方の変遷があるなんて思わなかった

猫用おもちゃのウールボール、遊び方の変遷があるなんて思わなかった

今日は猫のトロロの2歳の誕生日である。
残念ながらケーキでお祝いはできないので、紐のおもちゃを買ってあげた。
まあ、普通、という感じ。

トロロのいちばんお気に入りのおもちゃは、直径3センチほどのウールでできたボールだ。一個一個、色が違い、インテリアとしてもかわいい。

トロロがうちに来たのは生後半年のときだった。
丸めた紙を投げてあげると、嬉々として追いかけ、咥えて持ってくる。これは「褒めて欲し

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猫のトロロよ、仕事を手伝ってくれなくてもいいから、校正紙を踏もうとしないで

猫のトロロよ、仕事を手伝ってくれなくてもいいから、校正紙を踏もうとしないで

我が家の猫、トロロには使命があった。
認知症になり会社を辞めた夫の、ココロを動かして脳を活性化させ、私の精神も癒す。

しかし、以前書いたように、トロロはなかなか手の掛かる猫であった。
しかも、ものすごい「かまってちゃん」。

私は二十年くらいまえから、ときどき校正の仕事を頂いて、ほそぼそとやっている。私が読んでいる取説は、数百ページに及ぶもので、納期に余裕をもらっていても、けっこうきつい。(歳を

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夫と猫を置いて、夜遊びに出かけた埋め合わせ

夫と猫を置いて、夜遊びに出かけた埋め合わせ

平日の夜、友人とジャズクラブ、BLUE NOTE TOKYO に行った。言わず知れた高級ジャズクラブである。
お財布に優しくないお値段の飲み物と料理を頂き、演奏を聴く。最高。かっこいい。こういうとき、日々のバイトで稼いだささやかなお金は、ぱあっと使いましょう。家で留守番の夫には、コンビニ弁当を置いてきた。

認知症で要介護1であっても、一人暮らしをしている方もいらっしゃるみたいだけど、夫は電子レン

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落とした魂を拾いに行く、という合理的なシステム

落とした魂を拾いに行く、という合理的なシステム

今でも残っている風習なのか? と、ネットで検索すると、出てくる出てくる。現役の風習らしい。沖縄では、驚いたりすると、魂(マブイ)を落としてしまうと言われているらしい。

昔、私が読んだのは雑誌のエッセイか何かだったと思う。
沖縄在住の若い著者は、交通事故に遭った。幸いすぐに退院できたが、退院するなり年長者に、
「事故のとき、魂を落としているから、すぐに事故現場に魂を拾いに行きなさい」と、言われたそ

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猫の胃袋の宇宙

猫の胃袋の宇宙

猫のトロロと暮らし始めて以来、繰り返し思い出す、ドラマのセリフがある。
昔、「フードファイト」というドラマで、SMAPの草彅くんが、フードファイター役をやっていたのだが、その決め台詞。「俺の胃袋は宇宙だ」である。

夫が仕事を辞めたとき、猫を招聘することにした。
うちは子どもがいない。一日中、夫と二人では気づまりだし、夫は猫が好きなので、認知症にも良いのではないかと思った。

想定外だったのが、譲

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認知症日記(10) 認知症とお金の問題。銀行で「自分、認知症なんですよ」って言わないで、って言ったのに。

認知症日記(10) 認知症とお金の問題。銀行で「自分、認知症なんですよ」って言わないで、って言ったのに。

お金のことは夫にすっかり任せきりだったけれど、夫が軽度の認知症だと分かり、やっと通帳を見せてもらうことにしました。すると、通帳が10冊!
「なんで10冊?」
驚く私に、
「だって、銀行が潰れたら、保証されるのは一千万円までだから」
と、夫。
しかし、残高を見ると………。要するに、解約が面倒だったんだなあ、と了解しました。とんでもなく昔の、そして遠い土地の、微妙な残高の通帳たち。

保険関係はさらに

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認知症日記(9) 「夕飯は何がいい?」と訊ねて始まった連想ゲーム

認知症日記(9) 「夕飯は何がいい?」と訊ねて始まった連想ゲーム

毎日、朝昼夕の食事を考えるのは面倒くさいです。
夫に、「今日の夕飯、何が食べたい?」
と訊ねると、珍しく考える様子。
普段は「なんでもいい」で済まされるのに、何か思いついた様子です。

「あれがいいよ、台形の。ときどき作るやつ」
台形? 
「うん。だいたい台形。うーん」
素材は? 肉? 魚?
「うーん」
それじゃあ、どんな味? 甘辛とか。
「甘辛」
じゃ、色は?
「白。茶色。わからなくなってきた。

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認知症日記(8) 自分の生き方を決められるのは、本人だけなのだ

認知症日記(8) 自分の生き方を決められるのは、本人だけなのだ

夫はすべり台のてっぺんに座っている。今にも滑りだしそうだ。そんな夫の背後から、夫の服を掴んで、なんとか滑り落ちないように頑張っている私。
それが、しばらく前の私の心象風景だった。

夫の認知症が進まないように、いろいろと試した。まだ認知症とは診断されず、簡易検査で医師から「グレー、というところでしょう」と言われたときから。
彼は本も漫画も読まないし、自分から音楽を聴くこともない。趣味はテディベア作

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認知症日記(7) 地域包括支援センターの人のひと言が、小さな”おまもり”

認知症日記(7) 地域包括支援センターの人のひと言が、小さな”おまもり”

夫は今、「要介護1」なのですが、
まだ「要支援2」だった頃は、ケアプランの作成などを、市民センター内にある「地域包括支援センター」の方が担当してくださいました。仮に、Dさんとしておきましょう。このDさんが、前回、認知症日記(6)で書いた「夫に対して、子ども相手のような話し方をしなかった人」なのです。

やがて、介護認定の更新。
Dさんから電話があり、「12月から『要介護1』になります」と、告げられ

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認知症日記(6) 認知症家族になって思うこと

認知症日記(6) 認知症家族になって思うこと

認知症関係の本に書いてあったのだと思う。医師に聞いた「なりたくない病気No.1」は、認知症だという。
一方、がん患者の方が「死ぬならがんがいい。死ぬまでに時間があるからいろいろ準備ができる」と、書いていたのを読んで、なるほどなあ、と思った。

認知症というのは、認知機能が失われていくので、かなり早い段階で「自分が死ぬまでにしておきたいこと」をやらないと、厳しい気がする。家族は毎日顔を合わせているか

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認知症日記(5) 懐かしの、夫の珍妙料理、謎のどんぶり

認知症日記(5) 懐かしの、夫の珍妙料理、謎のどんぶり

今は夫もすっかり料理をしなくなったけれど、かつては食事を作ってくれていました。一時期、私が鬱病になって完全ポンコツ状態だったので、家事はほとんど夫任せになり、そのまま食事を作ってもらっていました。

料理って、センスが大事らしい、と聞いたことがあるけれど、夫は残念ながら、センスなし。

栄養という概念がないらしく、肉の付け合わせが魚料理だったり、
ハンバーグの付け合わせが、豆腐ハンバーグ、とか。

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認知症日記(4) 夫の歩き方がおかしくなったと思ったら、軽い脳梗塞でした。鍼灸院に行ってよかった。

認知症日記(4) 夫の歩き方がおかしくなったと思ったら、軽い脳梗塞でした。鍼灸院に行ってよかった。

2年ほど前、夫と一緒に近所の定食屋で夕食を済ませた帰りに、夫が急に、ととととっと早足で歩き始めたのでした。
普段は、歩くのがむしろ遅いのに、つんのめるような早足。
「どうしたの?」
「わからない」

以来、ときどき歩き方がおかしくなった。

かかり付けの内科に行って、医師に訴えたら、
「舞踏病っていうのは、あるけどねえ」
と、とりあってもらえませんでした。

ならば。
いきなり大きな病院に行ってし

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認知症日記(3) デイサービスを受けるまでの、制度的な道のりは、けっこう未知のものでした

認知症日記(3) デイサービスを受けるまでの、制度的な道のりは、けっこう未知のものでした

夫の認知症がわかり、会社を辞めたタイミングで、彼が昼間、通う場所を作らねば! と思いました。

ともかく夫は、やることがないと、ぼんやりしています。
筆ペンでなぞる写経セットを取り寄せたり、ダイソーのスクラッチアートを買って勧めて、簡単なペン習字のテキストを買って渡しても、どうも続かない。
けっこう、私は必死だったのだけど、やはり、本人のかわりに趣味を見つける、というのは無理なのだなあ、と思いまし

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認知症日記(2) きっかけは「車を盗まれた」だった、物忘れ外来の受診

認知症日記(2) きっかけは「車を盗まれた」だった、物忘れ外来の受診

夫は会社を早期退職したあと、週3日勤務のアルバイトをしていました。
手先の仕事で、性格に合っていたみたいです。家にいても、ぼんやりテレビを観ていることが多いので、なるべく長く勤めてほしいなあ、と思っていました。
しかし一昨年、72歳で仕事を辞めたのでした。

会社に向かったはずの夫が、
「車が盗まれた」
と、駐車場から戻ってきました。
「えっ? だって、盗まれるような車じゃないのに」
我が家はマン

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認知症日記(1) 親より先に、夫が認知症になるとは、思わなかった。

認知症日記(1) 親より先に、夫が認知症になるとは、思わなかった。

夫は私よりも20歳ちかく、年上なのです。

出会った頃、まさかそんなに年上だとは思わなかった。
結婚するときは、年の差のことは考えたものの、まあ、もっと歳をとれば気にならないかな? と思ったのでした。生後1歳と7歳では全然違うけど、41歳と47歳なら、もう似たようなものだろう、という原理で。

ところが、夫が72歳で正式に(?)認知症発症。早い、早すぎる。私の両親なんて、80代でまだ働いてるんです

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