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昨日の本棚

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読書記録、本や書店に関する考察など。 読書記録は月に1回のふりかえりをベースに、おもしろかった本は個別に考察も書きます。
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#読書感想文

最近読んだ本(2022.11〜2023.2)

読書記録を書くのをさぼっているうちに、なんだか外があったかくなってきた。もう春ですね。 目録11月 密やかな結晶(小川洋子) Arc ベスト・オブ・ケン・リュウ(ケン・リュウ) 夜の舞・解毒草(カリージョ・カン、マルティネス・フチン) ディディの傘(ファン・ジョンウン) 気流の鳴る音(真木悠介) 12月 堕落論(坂口安吾) 本のための生涯(イワン・スイチン) 侍女の物語(マーガレット・アトウッド) 東京の生活史(岸政彦 編) ちくま日本文学全集 岡本か

2022年8月の読書記録

9月の…ではなく8月のですが、読んだ本をふりかえります。 今回はたまたま、モノトーン背表紙シリーズです。 目録(5冊) 次の季節が楽しみになる –––『サンドウィッチは銀座で』前から気になっていた平松洋子さんのグルメエッセイ。「何何をどこどこで」のタイトルで他にも数冊刊行されてるが、この「銀座」回が第一号、のはず。 食レポという文化にはあまり馴染みがなく、とりあえずいい店を知りたいという欲望から手に取った一冊。結果として、お店情報は意識の後方に追いやられ、一つ一つの料理

2022年7月の読書記録

7月も8月も一瞬で過ぎる。 先月は、というか先月も、読んだ本より買った本のほうが多かった。本棚を置く場所がないので、もはや書斎がほしい。 目録(5冊)ナチュラル・ウーマン(松浦理英子) Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち(辛島デイヴィッド) ミトンとふびん(吉本ばなな) 海からの贈物(アン・モロウ・リンドバーグ) ウォークス 歩くことの精神史(レベッカ・ソルニット) 自然体を装ったらナチュラルではなくなるのか –––『ナチュラ

2022年4〜6月に読んだ本まとめ

さぼりにさぼった結果、3ヶ月分をまとめて書く事態になりました。 「読書の記録なんてだれも読まないやろ」とぐだぐだしていたら、思わぬところから「まだですか?」という言葉をいただいて、それだけでやる気がでました。ありがとうございます。 4月目録(10冊) 4月は千葉さんの「現代思想入門」の印象。 哲学は素人だけど、先人の頭の中をのぞく感覚だけでなくて、それらが集まった大きな思想の潮流みたいなものにも触れているような感じが面白かった。帯にもあるように、単にひと昔前の哲学者の思

新しいレンズで世界をみよう ––千葉雅也『現代思想入門』

現代思想というカテゴリが、誰のどんな理論によって形作られているのかがわかりやすく解説されている。だけでなく、「思想書をどう読むか」というプロ視点での指南も数多く盛り込まれており、「読むこと」の楽しさを味わえる一冊。 本書を読んで、現代思想というものがちょっと身近になった。それぞれの哲学者の論点だけでなく、それまでの哲学史に対するその人のスタンスを知ったことで、現代思想の生き生きとした感じ、躍動感に触れた気がした。 なぜこんなにわかりやすいのか思想や哲学の本はあまり読まない

2022年2月 読書の記録

すっかりさぼってしまった!!ちょっと形を変えていこうと思ってますが、読書記録は引き続き書いていきます。がんばろう。 今さらだけど2月の分から。 目録海に住む少女(シュペルヴィエル) チャリング・クロス街84番地(ヘレーン・ハンフ) 永い言い訳(西川美和) 哲学の蠅(吉川萬壱) 盆栽/木々の私生活(アレハンドロ・サンブラ) 白痴 1(ドストエフスキー) 暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて(ル=グウィン) 酒場の文化史(海野弘) ここに物語が(梨木

2022年1月 読書の記録

すでに2月も終わろうとしてますが、1月に読んだ本をふりかえります。 目録三体 Ⅲ(劉慈欣) 千個の青(チョン・ソンラン) すばらしい新世界(オルダス・ハクスリー) グレート・ギャツビー(フィッツジェラルド) 世界のすべての朝は(パスカル・キニャール) ショウコの微笑(チェ・ウニョン) 遠い朝の本たち(須賀敦子) ワンダーボーイ(キム・ヨンス) ペスト(カミュ)  選ばれなかった選択肢を読む昨年読んだ「100分de名著」の文章をたまに思い出す。 SF、とく

2021年12月 読書の記録

毎月読み終わった本をふりかえっています。 のんびりしていたらもう1月も下旬になっていてびっくりした。先月は三体シリーズとともに過ぎていき、でもそれ以外もいろいろと読めたのでよかった。 目録(8冊)戦争と平和 6(トルストイ) コンビニ人間(村田沙耶香) ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと(奥野克己) 収容所のプルースト(ジョゼフ・チャプスキ) 三体 Ⅰ・Ⅱ(劉慈欣) 女が死ぬ(松田青子) サンライト(永井宏) 『戦争と平和

2021年に読んで印象に残った本をふりかえる

あけましておめでとうございます。 年末、お題企画「買ってよかったもの2021」のレポートが発表されました。 お題が出たときに、「今年買ってよかったもの…本棚かな?あとはあの本か…いやこの本もよかったな…」というふうに、買ってよかったものがだいたい本に集中していることに気づいた。 ここのところ毎回一年のふりかえり的なことをしそびれて新年を迎えてるし、今年はがんばってたくさん読んだし、2021年のうちにふりかえろうと思い筆を執る。 といいつつ、結局間に合いませんでした!!

2021年11月 読書の記録

11月に読み終わったのは3冊…少な! いま同時並行で読みすすめている本は、数えたら6冊あった。ばらけすぎです。 今回の『反穀物の人類史』が質・量ともにちょっとヘビーで、ここのところ読むスピードも捗々しくなかったのですが…先週末から「読みたい欲」が復活し、12月でもう3冊読んだ。この勢いで年内残りの時間もたくさん読みたい。 目録(3冊)ギケイキ2(町田康) 反穀物の人類史(ジェームズ・C・スコット) マンゴー通り、ときどきさよなら(サンドラ・シスネロス) ギケイキ2

2021年10月の読書記録

年初に「年間80冊読む」という目標を立てたが、気づいたらすでに100冊近く読んでいた。 週末はほとんどアクティブな活動をせず、家か本屋にばかりいた気もするので当然かもしれない。冊数が大事というわけではないけれど、なんかうれしい。 目録(14冊)フィフティ・ピープル(チョン・セラン) ゴリオ爺さん(バルザック) 世界が生まれた朝に(エマニュエル・ドンガラ) インド夜想曲(アントニオ・タブッキ) のどがかわいた(大阿久佳乃) 迷うことについて(レベッカ・ソルニット)

沙漠の民は飛行機乗りの夢を見るか? ––『人間の土地へ』読書感想文

社内の有志で読書感想文を一緒に書くという企画に参加した。運営メンバーが作ってくれたおすすめ本リストをなんとなしに見ていたら、ある本のタイトルが目に飛び込んできた。 『人間の土地へ』。 目が引き寄せられたのは、サン=テグジュペリの『人間の土地』かと、一瞬思ったから。 『人間の土地』は数年来ずっと手元に置いて時々読み返す、私にとってはバイブルのような本。もし無人島に一冊だけ本を持っていけるとしたら、迷いなくこの本を選ぶ。 今回読んだ『人間の土地へ』は、サン=テグジュペリにオ

2021年9月の読書記録

先月(正確には8月)はいろんな本を読んだ。そのぶん読書記録を書くのにたいへんな時間がかかったので、9月はインプットにそこまで時間をさけず。進みかたはゆっくりだったけど、それでもどの本も面白かった。 目録(7冊)本のリストの本(南陀楼綾繁、書物蔵、鈴木 潤、林 哲夫、正木 香子) 取材・執筆・推敲(古賀史健) チェルノブイリの祈り(スヴェトラーナ・アレクシェーヴィチ) 辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦(高野秀行・清水克行) 終わりの感覚(ジュリアン・バーンズ)

2021年8月の読書記録

ふだんは遅くても月の前半に読書記録を書き上げてたのに、今回はいろいろ考えていたら9月も下旬にさしかかってしまった。まあ、読んだものの消化に時間がかかったということで… 本を読むことの楽しみは、一冊から未知の世界を知れるだけでなく過去に読んだ本とのつながりが見えてくることだと思っているのだけど、今回はそういうつながりがいくつも見えたので、大変だけど楽しかった。 目録(13冊)地下世界をめぐる冒険(ウィル・ハント) <責任>の生成 中動態と当事者研究(國分功一郎・熊谷晋一郎)