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短編

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ショートショートと短編小説をこちらにまとめさせて頂きます😄自分の思いついた物語を描いております。読みやすい文字数で書いておりますので、良かったら読んでください。スキとかフォロー頂… もっと読む
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「ショートショート」ウィーフィー

「ショートショート」ウィーフィー

「ばーさん!ばーさん!大変じゃ!」

遠くからおじいさんの慌てた声が聞こえて来たので、おばあさんは洗い物をしていた手を止め、エプロンで手を拭きながら「何ね?何ね?朝から慌ただしかね」っと玄関の前に向いました。

すると息を切らせたおじいさんが玄関を開け、背負っていた籠を降ろし、おばあさんが中を見ると丁寧に敷かれた手拭いの真ん中にピリピリと電気を走らせ、肩紐で頑丈に「ラ」の文字を背負った鳥がぐっ

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三日月ファストパス 【毎週ショートショートnote】

三日月ファストパス 【毎週ショートショートnote】

「三日月ファストパスの代わりに貴方の真実の愛を見させて頂きますね」

「三日月って物事の始まりだからプロポーズをする日には持って来いでね。勿論、見せてあげるよ」

「ほほー。では御連れ様が到着次第、月へ参りましょう」

僕は、行列の後ろで待つ彼女に「三日月ファストパスを買ったから並ばなくていいよ」っと伝えると先頭まで行き、月まで伸びるエスカレーターに乗った。

数分で三日月に着くなり子供の様に

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「ショートショート」2人だけの空中庭園に最近、双葉が咲きましたよ。

「ショートショート」2人だけの空中庭園に最近、双葉が咲きましたよ。

みーちゃんは、今日、サクラがたくさんさいている、おかで手が長いロボットにスキっていってみた。そしたらそのロボットは「スキ……?ソレハナンダイ?」ってサクラの花びらをくれた。だから「ありがとう」って言って「手が長くてかっこいいね」ってお母さんがくれた白花タンポポの種をあげた。

「いっしょにうめようよ。ちかくに来てしゃがんでって」いうと、ギガギガ。ギガギガってかっこいい音を鳴らしながら近くに来てし

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「ショートショート」天職活動

「ショートショート」天職活動

「この度はお忙しい中、面接のご機会を頂きまして、ありがとうございます。小林 若菜と申します。志望動機は、以前私の大好きな祖母が亡くなった時に来て頂いた天使の方々が不安になる祖母をしっかりとサポートし、天に連れて行って下さるのを見て、現世で天命を全うされた方の天国での新しい生活の為に全身全霊サポートさせて頂きたく、ご応募させて頂きました」

私は今回、50年1度行われると言われている、天使の採用試

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1(1)LDK 「ショートショート」

1(1)LDK 「ショートショート」

「分かりました。それでは、こちらの話は先方と話を詰めておきますね」

 隣の部屋で妻の甲高い声を出しながらトコトコと音をさせ上司と会議をしている。多分重要な内容をメモをとりながら行なっているんだろう。

 最近僕達は結婚して、僕の転勤も重なった事からこの街にやって来た。結婚式の準備にばたばたした事もあってろくに内見もせずにこのアパートに越して来たのだ。

 安価な家賃の割には綺麗なアパートだったの

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着の身着のままゲーム機【毎週ショートショートnote】

着の身着のままゲーム機【毎週ショートショートnote】

ここは着るゲーム機を売る洋服屋。

「お客様は好きな子を押して物にしたいのですか?」

「そうなんですよ。共通の友達が彼女は押しに弱いって言ってたので……何かおすすめのゲーム機ありませんか?」

 その客は藁にも縋る思いで店員に聞いていた。

んー。っと店員は考え、店の奥から3着のゲーム機を持って来た。

「少し古い型になるんですがね、このファミコンを着ると押しに強くなるんですよ。1秒に16連打で

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【毎週ショートショートnote】火星の別件逮捕。

【毎週ショートショートnote】火星の別件逮捕。

「火星に爆弾を飛ばしやがったな?逮捕だ。逮捕」

 玄関を開けると小石くらいの小さな火星人警察が2人僕に詰め寄ってきた。

 確かに先日、公園で彼女とペットボトルロケットを飛ばして落ちてこないなって事はあったけど、まさか火星まで飛んでいるとは……小さな火星人警察はパンパンっと細いビームを僕に撃ちながら「怪獣だ。怪獣。逮捕だ。逮捕」っとテンションを上げながら僕に攻撃を仕掛けてくる。

 プチ。眠くて

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「ショートショート」バンドワゴン香果

「ショートショート」バンドワゴン香果

「上崎動物園からヒグマが脱走してまもなく1ヶ月が経とうとしています……」

 テレビから流れる女性アナウンサーの声を聞きながら僕は仕事へ行く準備をしていた。

 あまりパッとしない大学生活を終えて、パッとしない中小企業に就職した僕は今日も上司に怒られる為に仕事の支度をし、コーヒーを飲みながらスマホでYouTubeを眺めた。

 登録者数100万人以上で人から注目を浴びているカッコイイ男性に綺麗な女

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「ショートショート」【作文】おばあちゃんのシャボン玉。

「ショートショート」【作文】おばあちゃんのシャボン玉。

【おばあちゃんのシャボン玉】 
                  高岡莉

 わたしは、この小学校にてん校してくる前に小さな島の小さな小学校にかよっていて、おばあちゃんのお家でお父さんとお母さんとおばあちゃんとわたしの4人ですんでいました。

 ゲームセンターもゆうえんちもなかったので、おばあちゃんはわたしのために、おかし屋さんで、シャボン玉をかって来てくれました。

 おばあちゃんは、わたしが

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「ショートショート」こんなに星がいっぱい。

「ショートショート」こんなに星がいっぱい。

「あまり贅沢もさせてあげれないけれど、どうか僕と結婚してほしい」

 男としてはあまりにも情けないプロポーズ。しかし、奈緒は涙を浮かべながら、うんうん。っと2度返事した。

 *   *   *   *   *  *

 親族と特に仲の良い友達だけを呼んだ、小さな教会の小さな結婚式。僕は奈緒を今まで以上……いや……奈緒の中では世界一幸せだって思える様ににしようって心に決めて菜緒の震える唇に口づけを

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「短編」天獄島内覧ツアー   (下)

「短編」天獄島内覧ツアー   (下)

 食事を済ませるとラギュエルはサッとテーブルセットを片付け「歩くのは疲れましたね。それにまだまだ道なりは遠いですし、馬車でもご用意しますか」っとステッキをクルリと回し、白と黒一頭づつ合わせて2頭の馬に繋がれた白と金のラインが入った立派な馬車を出した。

 馬車に乗り暫く荒野の畦道を行くと、右側に湖が見えて来て、湖と地面を隔てる様に丘があるのだが、そこには一面綺麗な花で埋め尽くされており、1人の男が

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「短編」天獄島内覧ツアー  (上)

「短編」天獄島内覧ツアー  (上)

「サイトの中で見ていただけたと思いますが、この国はね、想像したことがなんでも現実になる国なんですよ。天獄島住居権の当選おめでとうございます」

 目を覚ますと、小綺麗なスーツに蝶ネクタイ。縦に長いテンガローハットを浅く被った男が一人立っていた。身長は俺より少し高めでスーツからはひょろりと長い手足が伸びており、どこか品さえ感じる佇まいである。

 俺は確か……日本の人口を遥かに超える倍率の中から選ば

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「ショートショート」知らない声のパラドックス。

「ショートショート」知らない声のパラドックス。

「君は今日死ぬよ。でもね、どうやって死ぬかを今日君が死ぬまでに僕に示したら、君の残りの寿命を保証してあげるよ」

 俺の目の前に突然現れたそいつは僕にそう言うと「じゃ、楽しみにしてるからね」っと子供の様に不敵に笑いスッとクローゼットの背景に溶け込み消えて行った。輪郭だけはっきりしているそいつは声は幼いが体型は俺にそっくりだった。

 朝食にとトーストを作りかぶりついていた時に急に現れたものだからト

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「ショートショート」袋メン。

「ショートショート」袋メン。

 お腹が空いた。確かこの前買って置いた袋麺があったはずだ。私はキッチンの乾麺とかお菓子とかお菓子とか入ってある引き出しから、『袋メン』を取り出すと、夜食には少し重いかな?でも、夜中に食べるラーメンは背徳感が心地よいから良き良きっと鍋に水を入れ火をつけた。

 袋メン九州醬油味の袋を開け袋の中の様子を伺う。背脂コッテリなんて書いてあるからきっと濃ゆいスープが待っているに違いない。しかし、除くとそこに

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