芦田 太郎

1985年/テレビ朝日→Amazon Studios(22入社)/演出・プロデューサー…

芦田 太郎

1985年/テレビ朝日→Amazon Studios(22入社)/演出・プロデューサー/AマッソYouTube監修/ラランドYouTube「ニシダ更生プログラム」演出/村上龍と阿部和重と木下古栗と今村夏子と松田青子の小説、フィンチャーとヴィルヌーヴとランティモスの映画が好きです。

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38歳のセブ島1週間英語留学日誌

12月17日(日)〜12月23日(土)までフィリピンのセブ島に1週間の英語留学に行ってきた。 特段自分を探しに行ったわけでもなく、私は2022年の12月18日をもって2008年4月から勤めていたテレビ朝日を退職して、Amazon Studios(Amazonプライムで配信されるオリジナルバラエティを制作する会社)に転職したことによって、私以外の社員は全員が流暢な英語の使い手という環境となり、必要に迫られたことで留学を決めた。 自分がお世話になったのはセブの空港から車で30分

    • アイドルという修羅~乃木坂46秋元真夏卒業コンサート観察日誌~

      乃木坂46秋元真夏さんの卒業コンサートを横浜アリーナで観てきた。 私は乃木坂46には「あざとくて何が悪いの?」という番組で演出をしていた時に大変お世話になった。今や中心メンバーとなった山下美月さんには人気企画となったあざと連ドラ第1弾の主演を務めてもらったし、そのスピンオフには今回卒業となった秋元真夏さんにもスタジオに来ていただき、その後も、与田さんや岩本さんにも色々と力を貸していただいた経緯もあり、僭越ながら拝見させて頂いたわけだ。 さて、今回の主役は、秋元真夏さんであ

      • Mr.Childrenが描く人生の景色

        「あなたの人生の中で、Mr.Childrenはどんな音を鳴らしていますか?」という問いかけから始まるミスチルデビュー30周年ライブと、それを待ち侘びたファン(にとってのミスチル)を追ったドキュメンタリー映画『GIFT for you』を観た。 スラムダンク原理主義者の人は怒らないで欲しいが、結論から言うと私はスラムダンクより泣いた。 と、この書き出しで「ファン用の映画でしょ」と興味を喪失しているそこのあなた、1分だけ待って欲しい。あなたの人生にもMr.Childrenの音

        • テレビ朝日 退社のご報告

          2022年をもってテレビ朝日を退社してAmazon Studiosに転職することを決意しました。 テレビ朝日には大学卒業後の2008年から14年間お世話になり、”感謝”という言葉では表現しきれないほどの素晴らしい経験をさせてもらいました。 今から15年前、就活生として生意気の極みだった自分は総合商社への入社を決断し、テレビ朝日に対して「世の中の仕組みを作りたい」と息巻いて内定の辞退を主張しました。そんな時に人事や後に共に働くこととなるバラエティ現場の大先輩から頂いた言葉で今

        38歳のセブ島1週間英語留学日誌

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        • テレビについて
          11本
        • 映画・ドラマについて
          6本

        記事

          「silent」という名の反抗

          話題のドラマ「silent」最終回まで見た。 スマホながら見、倍速視聴という効率主義が加速しすぎた現代の若者の胸ぐらに真っ向勝負で掴みかかる潔い演出、そしてTwitterやインスタの浸透によって一見"言葉"が重要な時代になったと思いきや、一向にSNS上では"言葉"でわかり合おうとせずにあちこちで衝突が起き続ける現代に「互いの思いを言葉にして、どんなに時間をかけてでも丁寧に伝え合う」ことの大切さを、恋愛や友情を通して、役者陣の素晴らしい演技を通して、美しい映像・音楽演出を通し

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          Netflixドラマ「First Love 初恋」をめぐる冒険

          Netflixドラマ「First Love 初恋」全9話完走。 個人的にこの作品は"テレビドラマでは出来ない恋愛ドラマ(かつヒット作)をどう作るか?"という問いに対する徹底した研究・研磨の末に辿り着いた作品に見えた。 まず恋愛ヒットドラマの潮流とも言える(昨今の大ヒット韓国ドラマ的)壮大な時系列を徹底的に丁寧に美しく描ききるスタイルの完遂。 そして完遂しようとなると、”夏帆”は外せないのか…という夏帆の偉大さを知る全9話。 話を戻し、”壮大な時系列を徹底的に丁寧に美しく

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          あざと連ドラと藤吉夏鈴〜バラエティ番組が本気でドラマを作る意味〜

          9/25(日)に放送された「あざとくて何が悪いの?」で、女優の片山友希さんを主演に迎えた第5弾「あざと連ドラ」が最終回を迎えた。 そして、この記事を書いている10月9日(日)23:55から櫻坂46藤吉夏鈴さんを主演に迎えた「あざと連ドラ第6弾」の放送がスタートする。 そもそも「あざと連ドラ」とは何かというと、2021年1月に第1弾を始動させた「あざとくて」内で放送されるミニドラマ(第1弾は全6話)の名称だ。 その第1弾の主演は、今や朝ドラ女優にまで駆け上がっていった乃木坂

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          弘中綾香という後輩

          私は2008年からテレビ朝日に勤めているが、その5年後2013年に入社してきたのが弘中綾香という後輩アナウンサーだ。 先日、彼女の自身の自伝的エッセイ「アンクールな人生」が発売された。 先に言っておくと、読後「この本は自伝的エッセイという形をとった”教育書”である」と感じた。 考えてみてほしい。「弘中綾香のような人間がどうやったら育つのか?」この疑問に対する答えが示されていると言われれば、多くの人が興味を持たざるを得ないのではないだろうか? その発売日である9/14の夜

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          『トゲアリトゲナシトゲトゲ』の歴史と今

          テレビ朝日系列で毎週月曜の深夜2時16分から放送されている「トゲアリトゲナシトゲトゲ」という番組がある。 この番組は2021年4月から放送が始まった3時のヒロイン 福田・Aマッソ 加納・ラランド サーヤ(敬称略)が毎週様々な企画に挑戦するバラエティ番組である。 自分はこの番組にプロデューサーという立場で関わらせてもらっているのだが、この番組の着想→企画書作成→番組立ち上がりまでを自己満足的に振り返ってみようと思う。 遡ること4年前… 現在も特番として放送している「あいつ今

          『トゲアリトゲナシトゲトゲ』の歴史と今

          『THE BATMAN-ザ・バットマン-』でマッド・リーヴスの苦労を勝手に想像したら胸が苦しくなった件

          まずこの感想日誌は、テレビ局のバラエティディレクターという職業病的観点から楽しんでしまった映画素人の戯言だということだけ、先に言い訳しておく。 まず観賞前の時点で拍手を送りたい案件。 それは、”バッドマン”という世界的超人気シリーズの世界観やイメージを根底から覆して大ヒットさせた(&作品性すら高めてしまった)クリストファー・ノーランから引き継ぐというクリエイターとしては絶対に避けたい案件を引き受けたという事実だけで賛辞に値するマット・リーヴス監督。 だって弊社のカリスマ加

          『THE BATMAN-ザ・バットマン-』でマッド・リーヴスの苦労を勝手に想像したら胸が苦しくなった件

          人の才能を見抜く力〜”テレビマンとしての自分の強み”とは?〜

          大げさなタイトルを掲げて書き出してしまったが、本日2/5(土)よる9時55分〜 演出している「あざとくて何が悪いの?」が放送される。 ゲストは音楽プロデューサーの川谷絵音さんだ。 実は川谷さんは、13年の会社員(テレビマン)人生の中で起きた幾つかのターニングポイントの一つに関わる重要な人物でもある。 そして川谷さんとお会いしたのは、そのターニングポイント以来(約6年ぶり)だったので、勝手ながら一方的に感傷的にというか思うところが色々こみ上げてきたので、せっかくなので書き記し

          人の才能を見抜く力〜”テレビマンとしての自分の強み”とは?〜

          映画『花束みたいな恋をした』個人的感想

          「花束みたいな恋をした」観た。 映画館全体がむせび泣く、心揺さぶられる映画だったが、カルチャーで(あの映画ではもはや"サブ”カルチャーでは無い)強固に共鳴し、惹かれあった二人がカルチャーのズレから始まった価値観の歪みによって死んだ(カルチャーでしか繋がっていなかったことが証明されてしまった)のは、カルチャーをハイレベルに司り続ける自身に対する強烈な皮肉なのか?坂元裕二!とか色々考えてしまう坂元裕二な作品だった。 我々(私は85年生まれ)世代にとっ

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          関ジャニ∞と高卒認定企画と。

          本日7/29(水)の「あいつ今何してる?」に関ジャニ∞の横山裕さんが出演する。実は今回の放送は2015年から現在に至るまでの5年半ほどの歳月を凝縮した、自分のディレクター人生を投影した不思議な作品になった。 今回は少し長くなるが、一体それはどういうことなのか書き記しておこうと思う。 そもそも「あいつ今何してる?」は、自分が2015年から企画・演出している番組なのだが、実はこの2015年に幕を閉じた番組がある。 それが「関ジャニの仕分け∞」という関ジャニ∞がMCを務め、毎

          関ジャニ∞と高卒認定企画と。

          映画『メッセージ』を観るべき理由

          正直初見だと全て理解しきれず、でもとにかく最高だったなと言う感覚だけ残っていたので、もう一度噛みしめたら最高すぎる映画だった。 これから「好きな映画監督は?」と聞かれたら 「デビット・フィンチャーとヴィルヌーヴです。」と答えようと思う。 予告動画を見ればというか、ポスタービジュアルを見れば、自動的にこの映画は「SF」というジャンルに区分けされ、「SF」に前のめりになれないある一定層は観賞動機を失うと思うんだけど、ちょっと待って欲しい。 この映画は宇宙人が出てくるのでもち

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          テレビ局に入るために発想力は必要か?

          以前、就活生の方からブログに来た普遍的とも言える質問に答えたものを再編集しました。 以下、太字が質問です。 あなたが御社に入ってやりたいことはなんですか? という質問に対して、どれだけ具体的に答えればよいのでしょうか。 また、そこには、やはり発想力が求められているのでしょうか。 というのも、私はバラエティ制作を志望しています。 もちろん、世の中に笑いを届けたい、それだけ笑いには価値があると信じているのですが、面接ではそういった思いを伝えるべきなのか、それともそこから生ま

          テレビ局に入るために発想力は必要か?

          Netflixドラマ「梨泰院クラス」の極意

          あまりにも語りたくなるドラマだったので特別に記録しておく。 Netflix で話題のドラマ『梨泰院クラス』。 最後急にハードボイルド的展開になったのは個人的には好みでは無かったが、第2話まで耐えると加速度的に面白くなり、終始素晴らしいクオリティだった。 そしてこのドラマを見て改めて、 ”優れたエンタメというのは程よくベタ(展開が読める)でいい” ということを思い知らされた。 我々の暮らすバラエティの世界では、 「いかに結末や見所を(隠して)引っ張って最後まで見せるか

          Netflixドラマ「梨泰院クラス」の極意