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あどけない話(夜のエッセイ)

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日々の暮らしから、あどけない話を綴ります。
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2018年11月の記事一覧

老医師の話 その2

老医師の話 その2

「あんたそりゃ、やけ酒をしたんじゃ、お酒に失礼ですよ」

どうやら老医師は、「あんたそりゃ」が口癖らしい。

勤め先の会社は、お客さんの方を見て仕事をせず、とにかく内向きで、「自分の部署さえ迷惑を被らなければそれで良い」という考えの人が多いため、そんな環境にうんざりしてついやけ酒をしてしまう日々。さすがにこのままでは…と思い、再び老医師を訪ねた次第だ。

「あんた、仮にも物を書いているのでしょう。

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職業病

昨日の仕事中、左手の親指の付け根付近、手のひらがボコッと膨らんでいる部分に痛みを感じた。
あれ、なんだろう。こんなところに痛みを感じるなんてあまりないことだな、と思って調べてみると、どうやら腱鞘炎の症状らしい。
ひとまずストレッチをしてごまかしたが、今日になっても痛みは残ったままだ。

腱鞘炎。職業病の代名詞である。
これまで何年間もパソコンのキーボードを使ってきてもなんともなかったので、自分には

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「はたらく車」も進化する

後ろ乗り・前降りのバスに乗ろうと思ってふと乗車口の脇を観たら、「尿素水」と書いてありました。

「え?なんでバスに尿素水?」と思ってその場ですぐに調べてみると、最近のバスやトラックには尿素水で窒素化合物を浄化するシステムが搭載されているそうですね。
もしかしたらこれは常識なのかもしれませんが、今日まで私は知りませんでした。

思えば、昔はバスやトラックと言えば黒煙をモクモク吐きながら走っていたもの

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福袋が好き

福袋が好き

小さい頃から、福袋が好きだ。
最近よく見かける「はじめから中身が分かっている福袋」ではなくて、「開けるまでは何が入っているか分からない福袋」だ。何と言っても、「何が入っているんだろう」というシンプルなワクワク感が好きなのだろう。

なぜこんなことを突然言い出したかというと、今朝方スターバックスから「福袋2019」の抽選販売に関するメールが来たからだ。

経済的な事情からスターバックスは滅多に行かな

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なぜ外国語を学ぶのか

月に一度、「語学塾こもれび」さんのスタッフブログに寄稿している。
本来は金曜日更新なのだが、私が原稿をすっぽかしたせいで更新が遅れてしまったが、今月も無事に掲載していただけた(関係者の皆様、執筆遅れてごめんなさい…)。

Twitterでも投稿したことなのだが、3回にわたって自分のこれまでの「外国語」との付き合いを振り返ってみて、気づいたことがあった。

初めは、自己紹介の代わりになるかと思って軽

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お1人様映画

お1人様映画

ここ最近、映画を観る時はたいてい1人だ。
noteで報告した範囲でも『未来のミライ』、『CALL ME BY YOUR NAME』、そして『ボヘミアン・ラプソディ』。いずれも1人で観に行った。

いつの頃からか、1人で観る気楽さが心地良くなったのかもしれない。1人なら、どこの劇場で何時に観ようと自由だ。隣の連れを気にして感動の涙を我慢する必要もない。

そんな私ではあるが、中学生・高校生の頃は友人

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特急の名前

特急の名前

レストランで、雷鳥をいただいた。
山鳩など食べたことのない種類の鳥が並ぶ中、店員さんから勧められたのが雷鳥だったのだ。

たくさん並ぶ鳥の名前を見ていたら、JRの特急のことを思い出した。

雷鳥、つばめ、とき、はくたかetc…

特急の名前に鳥の名前が多いのは、疾走する列車を飛翔する鳥のイメージに重ね合わせたからだろうか。
そう考えると、列車に乗ることは空を飛ぶことになる。

今でこそ飛行機には特

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老医師の話 その1

老医師の話 その1

「あんたそりゃ、途中でやめてしまったんじゃ、効くか効かないかなんて分からないですよ」

老医師は手厳しいことを言う。でも、目は笑っている。

冬になると体調が優れない僕は、これまで、「健康に良い」と言われるものをあれこれと試してきた。ビタミン剤、乳酸菌飲料、漢方の入ったお酒等々。でも、どれも一向に効果がなく、すぐに服用をやめてしまっていた。

困り果てて駆け込んだ町医者は、穏やかな老医師が院長先生

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後輩に敬語を使う先輩

後輩に敬語を使う先輩

部活動などで仕込まれなかったからなのかは不明だが、働きはじめてしばらく、「後輩」という存在にどう接してよいのかよく分からなかった。

私自身、「先輩風」を吹かせて偉そうに・馴れ馴れしく接してくる人が苦手なので、自分はそうなるまいと心がけようとする。そうすると気づけば、(特に知り合って間もない)職場の後輩には、敬語を使って話すようになっていた。

「敬語」と言っても、(やや区別は曖昧ながら)「尊敬語

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帳尻が合ったり、合わなかったり

帳尻が合ったり、合わなかったり

今週はとにかく仕事に追われている。
金曜日が祝日だと、毎週の締切が一日前倒しになることを初めて知った。

残業をしても終わらなかった。
帰宅後、入浴と食事を済ませたらもうこんな時間。なんとかこのnoteだけは更新して、これから作業に戻らざるを得ない。

良くも悪くも会社員なので、12時間後には仕上げている状態と、11時間後に定時どおり出社している状態を両立させなくてはならない。

思えば、こんなふ

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花とカメラ

花とカメラ

仕事からの帰りの電車の中、Twitterのタイムラインにそっと顔を出した1枚の写真があった。

咲く花をクローズアップしたこの写真を見て、ふと母方の祖父のことを思い出した。なので、今日は祖父のことを。

祖父はたしか大正11年の生まれで、数年前、91歳を迎える直前で亡くなった。その祖父の性格はと言えば、頑固・こだわりが強い・気性が荒い、そして何より収集癖がある。これらはすべて、母親を経由して私に受

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年下と、年上と。

年下と、年上と。

先ほど投稿した「反省会」という記事。

これがどうやら、180日目の投稿だったらしい。ほぼ半年という節目の投稿がお酒の反省とは、なんともみっともない話だ。

さて、昨日の帰りの電車で朦朧としながら書いたこと。それは、以前も書いたことがあるような気もするが「違う世代の人に助けられて生きている」ということ。

この日の楽しい飲み会は上の世代の方がたくさんと、下の世代の方が数人。「人付き合いに年齢なんて

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反省会

11月17日の夜、15人ほどが集まった楽しい飲み会に参加。楽しく飲みすぎて帰りの電車で意識が朦朧としてきて、前後不覚に陥る。致し方なく途中下車の旅を満喫しながら、それでも「noteを更新しよう…」と殊勝なことを考えてスマートフォンに向かい、それなりにきちんとしたことを書き始めるが、投稿ボタンを押すには至らず。

当然のように激しい二日酔いになり、一日中寝て過ごす。二日酔いは寝ててもしょうがないとい

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古典を復刊するということ

古典を復刊するということ

【2018年11月17日 1時27分 後半追記しました!】

今日も今日とて紀伊國屋書店・新宿本店へ。

私にしては珍しく、「買おうと思っている本」がある状態での訪店で、無事に買い物を済ませる。
が、当然それだけでは終わらない。「偶然の出会い」を求めて書店内を探検する。

たしかTwitterで「外国文学評論」の棚が「外国文学」の棚に統合された、というつぶやきが流れていたな、と思い出し、いそいそと

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