振り返る(少年期、作文)|HSS型HSPから見える世界 #6

担任の先生が喜んでくれた。
僕も嬉しかった。
でも僕にはわかった。
副担任は疑っていた。

図鑑を眺めるのが僕の日課だった。
家には兄のために用意された図鑑があった。
動物図鑑と昆虫図鑑が特別にお気に入りだった。

小学校低学年の宿題といえば、作文は定番だ。
テーマは自由、原稿用紙1枚書くこと。
先生がそれだけ言い渡す。

下校して家に着く。
最近ハマっていることでも書いてみようかな。
気楽にかまえて原稿用紙に向かう。
思いの外、ペンが走る。

あっという間に原稿用紙3枚の作文が完成した。
これでよし。


数日後の国語の授業。
なぜだか僕の作文を、僕が朗読していた。
先生が解説を加える。どうやら手本に選んだようだ。
悪いことじゃないけど、とても恥ずかしいよ。先生。

また数日後、今度は副担任からの頼まれ事だ。
先日の作文を、新しい原稿用紙に清書しろとのことだ。
校内紙に載せるから、と。

でも、手元には原本が無いし、今日中に学校に残って書けという。

どうもおかしい。。

副担任の気配というか、オーラというか、そこから感じられるのは[疑い]の念だ。
副担任は、作文を書いたのが僕ではなく、親や兄ではないかと疑っていたのだ。

今振り返ってみれば、仕方ないことだったかも知れない。
作文の内容は、当時僕のお気に入りだった爬虫類の生態について詳しく解説し、その生態に至った進化の過程についての独自考察まで書かれたものだ。
小学2年生が書く内容・文章か、疑われても仕方ないのかも知れない。

でも僕は、ひどく傷ついた。
何も悪いことはしてない。
そもそも、校内紙への掲載は僕が望んだことじゃないのに。

結局、作文は隔離された教室のなかで、明らかに僕一人で再現された。
生物の生態は完全に頭に入っているし、考察は日頃想いふけっていた内容そのままだから。
ただ紙に書くだけのことだった。

副担任は、ただ不思議そうに、書き終えた原稿用紙を持って教員室へ向かった。


ーーーーー

夢中になると加減が分からなくなる。
探究心が勝ってしまい、周りに合わせることを失念してしまうのだ。

また、相対する人の考えている事が、テレパシーのように入り込んでくる体験をするようになる。
特に負の感情には敏感なようだ。

この頃から、【子供とはどう在らねばならないのか】について気にし始める。



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