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「どう逝くか」は「どう生きるか」

内容は「終末期」「人生会議(アドバンス・ケア・プランニング)」に関するものです。

はじめに


薬剤師として「どう生きるか」に寄り添うことが好きで、お客さんが病気になる前(未病)から介入し「健康のお手伝い」をするために調剤薬局ではたらくことを選び「漢方薬・生薬認定薬剤師」をとった私です。
そんな私ですが、最近「終末期ケア専門士」の資格をとりました。
この資格も「生きる」に寄り添うためのものです。

生まれて死ぬまでの生涯の区分


「厚生労働省の健康日本21」では、生まれて死ぬまでの生涯を6つの区分に分けています。
「幼年期」(育つ)→「少年期」(学ぶ)→「青年期」(巣立つ)→「壮年期」(働く)→「中年期」(熟す)→「老年期」(稔る)
これらは単独で存在するのではなく、前の段階が次の段階を生み出し支える。
ある段階の生き方により、次の段階の内容は大きく変わるとされます。

終末期とは?


「終末期」の定義は以下の通りです。
1.医師が客観的な情報を基に、治療により病気の回復が期待できないと判断すること
2.患者が意識や判断力を失った場合を除き、患者・家族・医師・看護師等の関係者が納得すること
3.患者・家族・医師・看護師等の関係者が死を予測し対応を考えること

終末期とは生涯の区分に関係なく訪れる最後の期間です。
先天性異常、心疾患、悪性腫瘍の疾病や老衰等が原因で訪れます。

「どう生きるか」を考える


死を意識していないとき、自分の未来について「どう生きるか」を考えます。
例えば、
・25歳で結婚したい
・28歳で子供がほしい
・30歳でマンション購入
・46歳のときに子供が大学進学するから、毎月○万円貯金しなきゃ
・55歳で事業をはじめよう
・70歳になったら引退して旅行したいな
人生の目標をたて、どうすれば達成できるか、「生」に向かって物事を考えます。

「どう逝くか」を考える


死を意識したとき、人は「逝き方」考えます。
・痛みは感じたくないし呼吸は楽がいい
・最後は家族がそばにいてほしい
・家族の負担にはなりたくない
・自宅で逝きたい
・病院で逝きたい
・相続の問題を解決しておきたい
・できるだけ最後まで自分でご飯を食べたりトイレに行ったりしたい
・まだ動けるうちに旅行に行きたい
・桜を見に行きたい
安らかに死ぬための希望や、死ぬ前にやり残したこと、「死」に向かって物事を考えます。

「どう逝くか」は「どう生きるか」


「どう生きるか」と「どう逝くか」は、終末に向かってどう生きるかという点において同じです。
違いは、残された時間。
一人で考えることもあれば、ご家族で考えることもあります。
医療や介護が必要である方は医療者関係者を交えて考えることもあります。
元気なうちから「どう逝くか」を考えることは、最後の時間を有意義に活用できたり、冷静な判断を下せない場合に家族の負担を減らすことができたり、自分の逝き方が家族や医療者に影響を与えたりすることができます。
「どう逝くか」を考えるプロセスをアドバンス・ケア・プランニング(ACP)といいます。
医療的措置だけでなく、死を迎えるまでにどう生ききたいかを常日頃から考え、家族に伝えたり文書に残したりすることで、よりより終末を迎えることができると考えられています。
元気なときからACPを気軽に行うことはまだ一般的ではありませんが、きっかけは「親しい人の病気」であることが多いようです。
健康なうちから何度も行うことで、最後まで人生を豊かに過ごす一助になるのではないかと思います。

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