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質問085:試合が恐い

実は自分かなりの試合恐怖症で、高校時代のときに6-0で負け続けたことがあって、みんなに「あいつへたくそだな」とか女子にも「ださ」とか言われて相当心にダメージを負い、試合をするのが嫌になってしまったことがあります。
一生懸命球に近づこうとしても球が速すぎて追いつけなかったりなんてことでよく負けていました。
 
周りは楽に打ててるのになんでおれだけ…って思ったりもしました。
だから自分はメンタル以前に過去のトラウマがあって、試合になると異常な恐怖に襲われることがありました。
1ゲームは取らないとヤバいとかスコックだけはせめて免れたいなどと考え、楽しむ余裕もなくなるなんてことざらにありました。
 
もうこの場合ってメンタル鍛える以前にカウンセリングとか行ったほうがいいんでしょうか?
正直もうこんな悪循環な自分をみるのがいやで、試合に勝って周りを見返したいと思っています。
テニスを楽しむことはごもっともなんですが、こんなことがあっては楽しめるはずもないと思います。でも練習のときはやっぱりラリーとかやったり自分の弱さが表に出ないから楽しくプレイできるんです。
周りを気にしすぎとかみんな言ってるくせに、かなりダメだししてくるんです。
試合にかつっていうのはやっぱり難しいことなんでしょうか?

回答


▶テニスは、練習と試合は「別物」

ご相談内容から、練習では比較的いい調子で楽しめるレベルのプレーができていると拝察されます。
 
だけど試合になると、過去のトラウマから、「1ゲームは取らないと」「スコックだけはせめて免れたい」という未来への不安から、恐怖がフラッシュバックされるのだと想像されます。
 
なぜそうなるのでしょうか?
 
試合になるとイメージがズレるんですよ
 
練習では、ポイントを取る意識がない。ミスしても重くない。緊張もしない。
 
一方では試合になると、ポイントを取る意識が出る。ミスすると重い。緊張もする。
 
やっていることといえば、ネットを挟んでボールを打ち合う同じ競技なのに、練習と試合とでは、テニスは「別物」とさえ言えます。
 

▶同じ「1時間」でも、時間の経ち方が違う?
 

一体何が、ご自身のなかで起こっているのでしょうか?
 
たとえば時間の経ち方だって、同じ「1時間」でも勉強しているときと、遊んでいるときとでは、速く感じられたり、遅く感じられたりと、さまざま変わりますよね。
 
これが、現実的な「1時間」に対する、イメージのズレ。
 
その現実に対するイメージのズレが発生すると、テニスはどんなに頑張っても、「絶対にミスする」のです
 
ここがいちばんのポイントです。
 
「周りは楽に打ててるのになんでおれだけ…」って思うでしょう?

それは、周りの人は「運動神経がいい」とか、「テニスセンスがある」とかでは全然なくて、単に「イメージのズレがない」からにすぎません
  

▶いつも「遅刻」する人はこれが原因

 
家から学校まで、30分かかるのが現実なのに、30分についてご自身のイメージが35分にズレていたら、必ず5分遅刻するようなものです。
 
テニスではこのイメージが、たとえば対戦相手の体格だったり、コートがアウトドアかインドアかだったり、サーフェスが砂入り人工芝かカーペットかだったり、風があるかないかだったり、あるいは対戦相手の1本前のショットから受ける印象であったりで、グラグラ揺らぐのですね。
 
「だったら気をつけよう」と頭で意識したところで、上手くいきません
 
このイメージのズレには、あらがえないのです
 
たとえばご自身にとって「苦手なイメージのある人」に対しては、どこか避けたりしたくなるのではないでしょうか?
 
みんなの前では親しそうに振る舞えるとしても、本心は苦手意識を感じるでしょう。
 
イメージには、あらがえないからです。
 
それと同じように試合が恐い現状を、根性や精神論でどうにかしようとすると、余計につらくなります。
 
なので「メンタル鍛える以前にカウンセリングとか行ったほうがいい?」というのは、当てはまりません。
 
カウンセリングを受けても、テニスにおける「現実に対するイメージのズレ」は、直してもらえないからです。
  

▶「イメージがすべて」byアンドレ・アガシ

 
「イメージがすべて」といったのは、アンドレ・アガシでした。
 
本当に、そのとおりなのです。
 
この世は、幸せなイメージがある人は、この世が幸せになる。
 
この世に不幸なイメージがある人は、この世が不幸になります。

 
幸せな現実、不幸な世界が、先にあるわけではありません。
 
幸せなイメージ、不幸なイメージが、イメージどおりの現実を後から作り出すのです。
 
まったく同じ世界を目の当たりにしても、です。
 
「テニスを楽しむことはごもっともなんですが、こんなことがあっては楽しめるはずもない」というのも、ごもっともです。
 
テニスは上手くないと、楽しくないですからね。
  

▶「RAS」は「赤い車」ばかり見つける?

 
脳に備わる「RAS(Reticular Activating System)」と関連づけて、説明できるかもしれません。
 
日本語では、「網様体賦活系(もうようたいふかつけい)」と訳されます。
 
これから購入予定などで「赤い車」に興味のある人は、街中に赤い車をジャンジャカ見るのです。
 
脳はそうやってイメージに基づく情報を私たちにフィルタリングして見せるから、現実世界がイメージどおりになるのです
 
たとえば同じ街の風景を見ていても、シルバーの車に興味のある人は、赤い車が目に入らず、「シルバーだらけの現実世界」を見るのです。
 
ですから、「この世は、幸せなイメージがある人は、この世が幸せになる。この世に不幸なイメージがある人は、この世が不幸になる」というのが現実なのです。
 

▶「フォーム」は原因ではない

 
イメージのズレは「思い込み」のようなものですから、本人にはなかなか気づけません。
 
自分が「思い込んでいる」とすら気づけないのが、思い込みの本質です
 
そのせいで、ご本人にしてみればなぜミスヒットしたのか分からないから、常識的なテニス指導を真に受けて、フォームのまずさに原因を求めてしまう
 
しかしミスする本当の原因は、フォームは関係ないので、一層悩みを深めてしまう「悪化」になるのです。
 

▶ミスするのは「イメージどおり」の結果

 
また、ミスというのは打つ直前に「ネットするかも!」「アウトが恐い!」などという、自分でも気づかないくらい瞬間的なイメージがよぎったときに、生じることが多いのです。
 
「イメージは現実化する」
 
だからミスも、ご自身が瞬間的によぎらせたまさに「イメージどおり」の結果なのですね。
 
「1ゲームは取らないとヤバい」というイメージがある。
 
「スコックだけはせめて免れたい」というイメージがある。
 
すると、どうなるでしょうか?
 
そのイメージが、現実化します


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(テニスゼロ)
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