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俳句

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四季折々
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#冬の俳句

【俳句】冬の唸り3句

【俳句】冬の唸り3句

風唸り冬の終はりの足掻きかな

鬼やらひの前に疫病神唸る

遊ぼとの唸りに目を閉づ風邪の床

【俳句】風邪3句

【俳句】風邪3句

頬そめて桜桃かな風邪休み

おそらくは頬から頬へ風邪の旅

瘋癲の風邪にてんやわんやかな

【俳句】寒椿3句

寒椿枯れそめていざ春もよひ

寒中の紅一点や潔し

もろもろのつはりて去るは寒椿

*つはる=芽がふくらむ。妊娠中の悪阻はこういうことだったのだと一人にやける。

【俳句】冬の失敗3句

【俳句】冬の失敗3句

しくじりて心凍てつく拍手かな

氷見て遊ぶ子そして涙の子

慰むる目尻の皺や日脚伸ぶ

【俳句】再び臘梅6句

【俳句】再び臘梅6句

いくたびも臘梅に顔寄するかな

その刹那臘梅脳を貫けり

臘梅や手折りておらが嫁となす

儚さを嘆きし花は蝋固め

花うすく香に身を尽くす臘梅や

唐梅を万葉の世へ植ゑにゆく

*臘梅は江戸時代頃に中国からもたらされたらしい。大昔からあったらどのような歌が生まれたのだろうか。

【俳句】冬の子3句

【俳句】冬の子3句

雪降れと雲のもとにて遊ぶかな

冬の暮肥えたる子らのさらに肥ゆ

ゲームより雪への望み勝るかな

【俳句】冬の息5句

【俳句】冬の息5句

君の手の冷たさを知るすべはなし

白息を受けとめる手になれたなら

君のこと空に浮かぶたび息白し

冬の君はくもり眼鏡の彼方かな

行き場なき孤独の息や雪消待つ

【俳句】寒中8句

【俳句】寒中8句

寒といふはこれのことかと今更に

窓の霜とけて青空ひろきかな

悴む手なぜに南瓜を選びしか

指先を他人と思ふ大寒波

手袋や家よりぬくき救ひ主

寒の風芳一ねらふ怨霊や 

五階まで外套のまま息切らす

寒波来て昼はうどんの湯気浴びに

【俳句】初雪5句

【俳句】初雪5句

震へつつ笑まざるをえぬ初雪や

歩むたび近視にせまる夜の雪

ほほ笑みて雪遊びかな眠りの子

雪見むと思へど窓は閉ぢしまま

星見えて雪なき朝を嘆くかな

【俳句】冬将軍3句

【俳句】冬将軍3句

北国の魂のせて冬将軍

北の将人心離れてあはれかな

空飛べば雪は障りにならぬらし

【俳句】臘梅の香3句

【俳句】臘梅の香3句

二階にも盛りを告ぐる臘梅や

臘梅や水仙と居てなほ清し

臘梅の香や昔への扉かな

【俳句】冬心3句

【俳句】冬心3句

苦きかな冬の極みに何を待つ

うらやまし雪を夢みる子のこころ

抱きしめてやらうか冷たきその背

【俳句】大寒5句

【俳句】大寒5句

雨か雪かおぼろに明くる寒の夜

文字面にぞつと歯ぎしり大寒や

大寒をひらりと剥けば下萌や

襖越しに息の音さがす大寒や

梅ほろりふつと手を取る大寒や

【俳句】冬の朝3句

【俳句】冬の朝3句

部屋に満つ布団のぬくみ朝のあと

赤きはな寒さに匂ふ若人や

言の葉も鈍き寝覚めの冬の朝

*書き終えてから気づきましたが、鼻に「はな」の音を当てたのは、花の香りを嗅ぐ器官だから!? 匂いといえば花、認識する部分も鼻。嗅覚つながり。