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山本てら
2023年2月2日 17:08
風唸り冬の終はりの足掻きかな鬼やらひの前に疫病神唸る遊ぼとの唸りに目を閉づ風邪の床
2023年2月1日 09:14
頬そめて桜桃かな風邪休みおそらくは頬から頬へ風邪の旅瘋癲の風邪にてんやわんやかな
2023年1月31日 15:58
寒椿枯れそめていざ春もよひ寒中の紅一点や潔しもろもろのつはりて去るは寒椿*つはる=芽がふくらむ。妊娠中の悪阻はこういうことだったのだと一人にやける。
2023年1月30日 16:38
しくじりて心凍てつく拍手かな氷見て遊ぶ子そして涙の子慰むる目尻の皺や日脚伸ぶ
2023年1月29日 10:21
いくたびも臘梅に顔寄するかなその刹那臘梅脳を貫けり臘梅や手折りておらが嫁となす儚さを嘆きし花は蝋固め花うすく香に身を尽くす臘梅や唐梅を万葉の世へ植ゑにゆく*臘梅は江戸時代頃に中国からもたらされたらしい。大昔からあったらどのような歌が生まれたのだろうか。
2023年1月28日 14:35
雪降れと雲のもとにて遊ぶかな冬の暮肥えたる子らのさらに肥ゆゲームより雪への望み勝るかな
2023年1月27日 09:12
君の手の冷たさを知るすべはなし白息を受けとめる手になれたなら君のこと空に浮かぶたび息白し冬の君はくもり眼鏡の彼方かな行き場なき孤独の息や雪消待つ
2023年1月26日 09:19
寒といふはこれのことかと今更に窓の霜とけて青空ひろきかな悴む手なぜに南瓜を選びしか指先を他人と思ふ大寒波手袋や家よりぬくき救ひ主寒の風芳一ねらふ怨霊や 五階まで外套のまま息切らす寒波来て昼はうどんの湯気浴びに
2023年1月25日 09:18
震へつつ笑まざるをえぬ初雪や歩むたび近視にせまる夜の雪ほほ笑みて雪遊びかな眠りの子雪見むと思へど窓は閉ぢしまま星見えて雪なき朝を嘆くかな
2023年1月24日 09:17
北国の魂のせて冬将軍北の将人心離れてあはれかな空飛べば雪は障りにならぬらし
2023年1月23日 09:17
二階にも盛りを告ぐる臘梅や臘梅や水仙と居てなほ清し臘梅の香や昔への扉かな
2023年1月21日 08:46
苦きかな冬の極みに何を待つうらやまし雪を夢みる子のこころ抱きしめてやらうか冷たきその背
2023年1月20日 09:18
雨か雪かおぼろに明くる寒の夜文字面にぞつと歯ぎしり大寒や大寒をひらりと剥けば下萌や襖越しに息の音さがす大寒や梅ほろりふつと手を取る大寒や
2023年1月19日 09:23
部屋に満つ布団のぬくみ朝のあと赤きはな寒さに匂ふ若人や言の葉も鈍き寝覚めの冬の朝*書き終えてから気づきましたが、鼻に「はな」の音を当てたのは、花の香りを嗅ぐ器官だから!? 匂いといえば花、認識する部分も鼻。嗅覚つながり。