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【こころ #28】ミスコン健康部門でグランプリ受賞の理由

相良 佳那さん


 「MISS PROGRESS INTERNATIONAL」という毎年イタリアで開催されるミスコンテストをご存じだろうか?女性がリーダーシップを発揮しながら社会に貢献し、より良い世界を作り上げていくことを目的として、環境・人権・健康の3つの社会課題を取り上げる。相良さんは日本代表に選ばれ、その健康部門でグランプリを受賞した。

 それには、確かな理由があった。

 相良さんは、小学校時代にいじめを受けていた。「クラスの全員から無視とか、孤立状態でした」。

 その後の人生でも、心無い言葉に傷ついたり、人間関係で悩むことがあったりと、メンタルヘルスの問題を抱えた経験がある。いつの間にか自分の意見も言えなくなっていき、「追い込まれて、人にも相談できなかった」。周囲から大丈夫?と言われても大丈夫と装い、一人になった瞬間に「どうしようと悩んだ」。昔を振り返るように「お昼に愚痴っても、その午後が変わってくれるわけではない」と話されたのが印象的だった。

 誰かに相談すれば、相談したという事実が漏れるのではないかと怖くなった。「人に話すには、とても勇気が必要だった」。


 前述のミスコンテストには、事前のレポート提出も求められる。相良さん自身の経験を交えながら、先進国の中でこれだけ裕福にもかかわらず自殺による死亡率が高い日本の“こころの健康“問題を取り上げた。ご自身の経験があったからこそ、外見だけではなく「内面的な要素でも戦えることに惹かれた」この大会で大きな成果を手にすることができた。

 ご自身でおこがましいとおっしゃりつつ、「暗い過去があっても、それらを乗り越えて世界大会でも受賞できる明るい未来もある」と誰かに伝わればいいと思う。


 相良さんは、メンタルヘルスを病んだ経験を「外から見えない怪我」と表現した。そんな怪我は、「信頼関係がない相手には、話してもらえない」。でも、「同じ経験をしていることが信頼関係につながり、話してもらえるかもしれない」。

 今後、外から見えない同じ経験をした者として、「信頼できる人がいて話せる人がいるよ、というメッセージを発信していければ」と考えている。


 今回、筆者が予想もしない形で“こころの健康”という課題に取り組んでおられる相良さんに出会えた。今“こころの健康”問題を抱える場所を脱して他の誰かに話せる機会があることで、救われる人は多いだろう。相良さんの引き続きのご活躍が、そんな機会の創出や広がりにつながっていってほしい。


▷ ミス・プログレス・ジャパン事務局/相良 佳那(28)



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