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折口信夫門下の国文学者・高崎正秀も土俗趣味ネットワークに所属?

 先日、某研究会で加賀紫水『土の香』のことを紹介する場をいただいた。発表後にいくつも有益なアドバイスをいただくことができたが、その中のひとつに折口信夫の関係者が『土の香』に投稿しているというご指摘をいただいた。たとえば、高崎正秀が『土の香』第12巻第1号(1934年5月)に「お正月を歌った童謡」を投稿している。以下の記事で紹介されているように、高崎正秀は折口門下の国文学者として知られている。

 このことは私も『土の香』総目次を作成した際に気が付いていたが、『土の香』に投稿している高崎が折口門下の人物と同一であるかの確証がなかった。ご教示いただいた方によれば、高崎は愛知県の学校に勤めていたことがあったので、その縁で接点があったのではないかという。国会図書館デジコレ(個人配信)で「高崎正秀博士略年譜」『日本文學研究』第二十冊(國學院大學國文學會、1961年)を確認すると、1925年に愛知県第一高等女学校の講師になり、役職や学校を変えて1934年まで愛知県で勤めていたであろうことが分かった。この時期に高崎は『土の香』を読んでいたのだろうか。「お正月を歌った童謡」は、本文によれば、1934年1月24日夜JOCKに放送されたものの速記であるという。この放送を聞いた加賀が高崎に連絡を取って掲載の許可を得たのだろうか。

 調査趣味誌『深夜の調べ』第1号の解題で紹介したように、加賀は柳田国男とは一定の距離を置き、独自のネットワークの中で活動していたことが分かっていたが、このネットワークの中に折口の関係者がいたということはご指摘をいただくまであまり気にしていなかった点であった。このように『土の香』の総目次は私が気が付いていないだけで、まだまだ発見があると思われるのがおもしろい。

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