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【失敗から学んだ】参加者を置き去りにしない、ワークショップデザイン

リサーチ、アプリマーケティング、ブランディングなど多岐に渡って経験した当チーム若手のホープである【かずき】くんが、様々なプロジェクトを進める中で得た気づきと、デザイナーとしての展望を語ってもらいました。

<経歴> 
大学で人間工学デザインの研究室に所属し、リサーチに基づくデザインを学んだのち、TISに新卒で入社。
ヘルスケアアプリチームにて新機能企画、マーケ、UI/UXデザイン等を経験。現在はUXデザイナーとして、生活者リサーチ、コンセプトデザイン、ワークショップデザインを得意領域に、デジタルプロダクトを起点とするデザイン案件をリードしている。
サッカーのヨーロッパリーグが大好き。ユニフォームデザインの話が止まらない。

私たちが定義する【ワークショップデザイナー】とは


すごく端的に言うと”ワークショップの設計者”です

<ワークショップデザイナーの役割>
1.目標とするアウトプットを出すための“問い”を立てる(←重要!)
2.参画者が手を動かしやすくなる、ワークショップ体験を作り込む

ワークショップデザイナーの役割は、ただ単に雰囲気作りをしてコミュニケーションを円滑にすることだけでなく、ワークショップにおける“問い”とプログラムの設計をします。さまざまな制約(組織、期限、予算、etc)があるプロジェクトにおいて、デザインプロセスを1歩進めるための最良のアウトプットを出すことがミッションです。

🌀今直面している、ワークショップの課題点
ワークショップという形式の構造上、参画者の合意も取りやすい上に多角的な視点でプロジェクトを遂行できるのですが、やはり大人数が関わるということは突き抜けたアイデアが出にくいようにも感じています。


これまでのキャリアの中で、ワークショップに助けられる局面が多かった


Q.そもそも、どうしてワークショップデザイナーを?

実体験として、一人で何かを考えるよりも多様な視点から物事を捉えることで自分では想像できないようなアイデアに辿り着いたことがあったんです。このプロセスの質を高めることで、さらに良いアウトプットができると思いました。

また、決定したアイデアに対して参画者の納得感が高い状態でプロジェクトを進められることもワークショップをやるメリットの1つだと感じています。

自分自身の特性としても、人からアイデアを引き出してそれを形にする収束的な思考は得意なのですが、一人で0→1をする発散的な思考は少し苦手です。
そんな中、ワークショップを実施することで、助けられる局面が多いように感じます。


失敗談:ワークショップの細かいプロセスにこだわりすぎた結果


Q.アイデアを発散させるワークは比較的盛り上がる場面も多く、チームが活発になるプロセスだと思います。 その中でも難しかった経験はありますか?

はい、昨年経験しました。京都大学で毎年実施されているサマーデザインスクールに参加したときの話なんですけど、、

京都大学サマーデザインスクールは、2011年から開催されている集中型のデザインワークショップ。大学生や研究者などを対象に、さまざまな分野からの参加者と実施者がテーマに分かれて、社会の実問題に取り組むことが目的。


私たちは「スポーツエンタメ×Z世代の新たな楽しみ方をデザインする」というテーマを掲げ、興味のある学生さんや社会人の方に参加いただきました。(参加者は当日初対面)

準備:特にこだわったのが、フレームワークの作り込み
日頃の案件とは異なり、アウトプット期日までに十分な時間があったので、汎用的に使われているようなブレストのフレームを採用せず、独自のフレームワークを作成したんです。日頃の業務で取り扱っているフレームをもっと作り込めば質の高いアウトプットができるような気がしていました。

Day1:好調に思えた滑り出しだが・・・(先行き☁️)
チームとしては完璧なフレームを持って挑んだものの、実際取り組んでみると参加者の顔が曇っていき、モヤモヤしたまま1日が終了してしまいました。

Day2:”問い”の質を疎かにしてしまったことが参加者を置き去りに☂️
このままではアウトプットがまとまらないと思い、翌日参加者の1人1人と対話をしてみると
「どこに向かっているか分からないので、どんな意見を言えばいいか分からない、、」
という声が上がりました。フレームを作り込む以前の“問い”の立て方に問題があったのです。

Day3:対話することで信頼を構築、最終日に体制を立て直す☀️
参加者のモヤモヤを汲み取り、協力することでなんとか体制を立て直し最終日の発表をすることができました。反省点は山のように見つかりましたが、やり切ってよかったと思っています。


デザインのお仕事をいただけることに


そして、サマーデザインスクールをやりきったことで胸が踊る出来事もありました。
前述の通り、スポーツエンタメに関する理解が深まったことを活かして、同業界からのデザインのお仕事をいただくことがあったのです。上流工程からUXを作り込んでいく大規模なプロジェクトであり、当然ワークショップも実施することになりました。

結果的に25名を超える参画者の合意を取り、プロジェクトをさらに進めることに成功
サマーデザインスクールから紆余曲折しましたが、ワークショップを作り込んで大型クライアントと共創していくことはデザイナーキャリアで大きな経験値になっているように思います。


【失敗から学んだ】ワークショップを成功させる3つの教訓


  • 「問い」の質を高めることにとにかくこだわる
    どこに向かってどんなアウトプットを出していくのかを明確にすること。問いの質を高めるために先方が持っている情報の収集、フィールドワークなどのリサーチも行いました。

  • 参加者が迷わないワークショップ体験を作り込む
    意見が出しやすいワークを作り込むことも重要ですが、最終的にはそれを発表してもらうことまで考えます。意見を収束させる上で参加者が作業に迷わないことも重要です。

  • 参加者のスキルセットに応じて、プロセスを軌道修正する
    参画者の特色や職種によって、意見の出し方や得意なまとめ方は異なるので適宜アジャストします。(対面がいい、ホワイトボードツールがいい、文字より絵の方が表現しやすい 等)


今後は、さらに突き抜けたアイデアを出せるワークショップを考えなければいけない


Q.将来的に、ワークショップデザイナーとしてどんなことに取り組んでいきたいですか?

まず、ワークショップの体系的な考え方をさまざまな企業に届けたいです。ワークショップはアイデア出しだけではなく、チームビルディングにも活用できますよね。複数人で集まる時間の質を高める需要は様々な企業にあると思うんです。

それと並行して、もっと突き抜けたアイデアが生まれるワークショップの形を考えたいです。

ワークショップは多様な視点が入るメリットの反面、多くの人が関わる特性上、凡なアイデアに収束してしまうこともあります。
クライアントのニーズを充足すると同時に、その取り組みが社会に拡がっていくような話題性のあるアイデアを出すにはもっと自分もレベルアップしないといけないですし、今のプロセスでは不十分だと思っています。

  • 収束工程は、ある専門分野に精通した人間が1人で行うべきか

  • もっと個人の価値観を入れるにはどうするべきか

  • またその合意をどうやって取るのか

考えるべきことはたくさんありますが、学んだことはすぐに業務に活かして楽しみながら答えを出していきたいです。


ともに、成長できる仲間を探しています


最後までお読みいただきありがとうございました。

本記事のかずきくんのように、私たちDXクリエイティブデザイン部では、専門性を持った若いデザイナーが業務の中で日々試行錯誤しながら成長をしています。ともに成長を楽しんでいただける方は、こちらからぜひお声掛けください。


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