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月影

「どの月にお願いしたらいいと思う?」

夜空に浮かぶ三つの月を見上げながら
君は試すようにそう言った

惑わされているのは承知の上で
でもそれが僕には居心地が良くて

その青白い頬に軽く触れると
月灯りで出来た影が二つ消え去り
本物だけが姿を留めた

もしも三人の君がいたのなら
その全てに惚れてしまうんだろう
月の数だけ君を好きになるんだろう

「よくばりめ」

そう言い悪戯っぽく微笑んだ君は
僕の前に幻のように漂って

またいくつもの幻影を作り上げては惑わせた

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