試合結果

スタメン

マッチレポート

攻守にアクティブな岡山。充実の3-0で白星発進

前へ、ゴールへ、勝利へ。岡山の勢いが栃木を飲み込んだ。

開始早々の3分、抜け出した木村が勢いそのままにGKのパスをカットしてシュートを放つと、5分には岩渕が右サイドのスペースに走り込んで裏を突いた。ボールを奪ったら、ショートパスをつないで落ち着かせるのではなく、縦に早くゴールに向かう。チームコンセプトの浸透を感じさせる上々の入りを見せる。

岡山の1トップ2シャドーは能動的にアクションを起こして攻撃をリードしつつ、守備もけん引していく。グレイソンが相手アンカーを背中で消し、木村と岩渕がフルスプリントのプレスで相手3バックに襲い掛かる。それに連動してWBが前に出てサイドにフタをし、ディフェンスラインが全体を押し上げて栃木に自由を与えない。末吉と柳貴が縦に突破して深い位置に進入し、阿部、鈴木も果敢に攻め上がり、ボランチも前線に飛び出す。全員が攻守両面で前への矢印を強く打ち出す中、36分、岡山が先制に成功する。岩渕、藤田、田部井が攻→守の素早い切り替えを発揮して相手陣内で即時奪回すると、岩渕のパスを左サイドで受けた木村がカットイン。相手選手の間を縫う鋭いシュートをニアに突き刺さした。

後半も開始直後に岩渕がクロスバーを叩くロングシュートでゴールを強襲し、激しいプレスと縦に早い攻撃を仕掛けていく。54分には相手陣内で阿部が競り勝ち、田部井が右サイドへスルーパス。これに抜け出した柳貴のクロスをグレイソンが冷静に流し込んだ。背番号9がショートカウンターを完結させ、Jリーグデビューに花を添えた。

2点ビハインドの栃木は前線に高さのあるイスマイラと矢野を投入するも、田上が統率する岡山の守備陣が力強く跳ね返して反撃を許さず。栃木のクロスボールには新守護神のブローダーセンが得意のハイボールキャッチで対応し、81分には森のミドルシュートを難なく防いだ。試合終了間際にはセットプレーから途中出場の柳育が体で押し込んでダメ押しの3点目。Cスタのボルテージが最高潮に達し、歓喜と熱狂に包まれながら開幕戦勝利を告げるタイムアップの笛を迎えた。

タイトに守り、能動的に攻めて栃木を圧倒した岡山。攻守にアクティブなサッカーと戦力の融合という準備してきたことを存分に発揮し、自分たちのサッカーに自信を深める会心の勝利を収めた。

コラム

チームを思う行動が終了間際の得点に。
見逃せない柳育崇の献身性

チームのために戦う姿勢が、終了間際に最高の形となって返ってきた。

2022年に岡山に加入した柳育崇は、不動のCBとしてどんな時もピッチに立ち続け、熱いプレーでチームを引っ張ってきた。だからこそ、2年連続で達成できなかった昇格を今度こそ成し遂げる、と強い気持ちで2024シーズンに臨んだ。しかし、新戦力が加わったことでポジション争いが激化。在籍3年目は開幕スタメンに名を連ねることができなかった。

昇格への熱い思いと今季に懸ける覚悟を最初からピッチ内で表現できないことは悔しく、もどかしかっただろう。それでも、決して心は折れなかった。気持ちを整理して今節を迎えると、チームのために動き続ける。大きな声で盛り上げ、監督の指示を受ける選手のもとへ駆け寄ってボトルを渡し、得点を決めたグレイソンを真っ先に迎えて祝福した。

90＋7分、ピッチインから3分後に献身性が実を結ぶ。田中のFKが密集する相手選手の間をすり抜けていき、ファーサイドで待っていた背番号5が体で押し込んだ。意地とらしさが詰まったゴールを決めると、満面の笑みを浮かべながら一目散にベンチへ。チームメイトから手荒い祝福を受け、最後は苦楽を共にしてきた堀田にヘッドロックされながら喜びを爆発させた。

どんな立場であろうともチームの勝利に全力を尽くす。献身的な姿勢を貫き通したからこそ、試合終了間際にサッカーの神様がほほ笑んだに違いない。全ファジサポが“ヤナ”のゴールに涙した。