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スコットランド周遊の旅 インヴァネス 最終日編

インヴァネス(Inverness)の旅の山場であったネス湖(Loch Ness)のクルーズも無事終わり、インヴァネス、そしてスコットランド周遊の旅も9日目、残り一日となった。

スコットランド ネス湖 クルーズ編 -

エディンバラ、グラスゴー、ロックローモンドからインヴァネスを周遊したスコットランドの旅の記録はこちらをご覧ください -

最終日はどこへ行こうかと考えた挙句、いくつかある観光スポットで私の好みに合うものをピックアップし、ゆるめに過ごすことにした。インヴァネスは人も穏やかでゆったりと時間が流れる街。そんな場所で、せかせかと急いで歩き回るのは似合わない。

リーキーズ ブックショップ(Leakey's Bookshop)

この日、最初に訪れたのはスコットランド最大の古本屋さんという “リーキーズ ブックショップ”。

私は本屋さんも図書館も例に漏れず好きだけれど…とにかくすごかった。何がすごいかと言えば、本の数。雑然と置かれたその配置、にも関わらず醸し出される英国的でクラシックな雰囲気。そしてまるでハリーポッターの世界から出てきたかのような年配のご主人。ご親切にも試し読みのための椅子も所々に配置されている。

雑然と置かれた数多くの本。この古本屋さんには10万冊以上の本があるという(公式ウェブサイトより)。
好みの書籍を探し、静かに読みふける訪問客たち。本に囲まれる幸せは、ここスコットランドでも変わらないようだ。

なるほど観光地化していることにも納得がいく。そして一見さんとして訪問したことをどこか心の片隅で申し訳ないと感じつつ、いつもの通り私の中では盛大な好奇心がり勝ち、隅々まで見させていただいた。

日本語の書籍を発見。日本でさえ入手が難しそうなものに、ここスコットランドで出会えるのも膨大な蔵書を持つ古本屋さんのたのしみの一つ。
カフェのようなくつろげるスペースも。

古い図書館にありがちなあの臭いはなく、雑然としている一方で整然とした雰囲気も放つ古本屋さん。これはもうただの "ショップ" ではなく文化の香り漂う "遺産" ではないか、と。

想像以上に広い店内に比べて、入り口はあまり目立たないので、訪れる方は見逃さないように。

そして小さなエピソードを一つ。一見さんとして何の買い物もせずにこのお店に来たことに、やはり私は一抹の申し訳なさを感じてしまい、帰り際、お会計所にいたあのイギリス紳士然としたご主人にお礼の意味を込めてごく軽く会釈をした。そうしたらこのご主人、真摯に会釈を返してくださったのだ。観光地化していることをもちろん理解した上なのだろうが、人となりもすばらしいご主人だと感じた瞬間だった。

Leakey's Bookshop
Church Street, Inverness
IV1 1EY, United Kingdom
https://leakeysbookshop.com/
(ウェブサイトも美しい構成です)

市中心部を通り抜けてインヴァネス城へ向かう。お天気のせいか人通りもいつもより若干多い。

インヴァネス城(Inverness Castle)からの景観

再びインヴァネス城に立ち寄り、高台から市内を望む。相変わらず晴れたり曇ったりを繰り返しているお天気だが、ここでは晴れ間が覗き、眺望ちょうぼうはとても爽快なものだった。

ネス川沿いをハイキング

今度はネス川(River Ness)を上流に向かってハイキングをすることに。この日もやはり風は強く、ウインドブレーカーとストールで風をしのぎつつ、時々立ち止まってはその土地の香りをいでみる。

インヴァネスの最初の印象でも書いた通り、ここは私の郷里とは文化も景色も全く違う…にもかかわらず、人の密度の具合やお天気、この雰囲気が何ともそれを思い起こさせるもので、懐かしいような、癒されるような…そんな気分で時折り強くなる風に身をちぢこめながら、サクサクとテンポ良く歩いた。

風は強いものの、子どもの声、キラキラした水面みなも、ネス川の穏やかな時間に心癒されたひと時。

緑深まる上流へ。水が美しく豊富なところは、日本にも似ている点だろう。写真を見ているだけで水の音が聞こえてきそうなネス川沿いの林。

ロックローモンドと同じ、ここでも鏡面のように水面に景色が映っている。スコットランドの田舎は、本当に水が美しい。

まるでヘビのような倒木も。驚いてつい撮ってしまった一枚。

インヴァネス大聖堂(Inverness Cathedral)

Inverness Cathedral
Ardross St, Inverness IV3 5NN, United Kingdom
https://invernesscathedral.org/

スコットランド出身の友人は「イングランドの冬は暖かいと思ったわ」と言っていたことを思い出す。そんなスコットランド・インヴァネスの冬は東京に比べてさらに厳しい。そんな寒冷地の人々は温かく優しく、心なしか静かで口数も少ないように感じられ、この地の自然を通してインヴァネスを、自分の郷里と重ね合わせた自分がいた。

こうして私は、スコットランドでの実質的な最終日を無事終えた。

この翌日(2019年7月2日)、インヴァネス空港からイングランドのブリストル(Bristol)まで一気に飛んで、スコットランド周遊の旅を終えることになる。

空港でもスコットランドらしいものをいくつか見つけたので、ここでもご紹介しよう。

インヴァネス空港(Inverness Airport)

小さな空港で見つけたスコットランドのタータンチェックの書籍(スコットランドでは “タータン” と呼ぶ)。

タータン(英: tartan、スコットランド・ゲール語: breacan)とは多色の糸で綾織りにした格子柄の織物である。また格子柄そのものもタータンと呼ばれ、特に日本ではタータン・チェックと呼称される。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

タータンチェックはスコットランドオリジナルのもので、それぞれは微妙に異なり、日本で言えば家紋のようにその一族の由来を表すもの。あなたにスコットランド出身の友人がいれば、ここで彼らの名字を見つけられるかもしれない。

グラスゴー(Glasgow)のライトハウス(The Lighthouse)でも見かけたトイレのユニークなサイン(マーク)をここインヴァネスでも発見。これはスコットランドオリジナルのものなのだろうか(私はイングランドではこのサインを見たことはない)。どなたかご存知の方がいらっしゃれば是非教えてほしい。

10日間のスコットランドの旅はあっという間に終わり、その後無事ブリストル (Bristol)空港に帰着した。私は渡英前から思い描いていたスコットランドの旅を実現できて、充実感にあふれていた。

きっとまたスコットランドに来ることはあるだろう。けれど今回のこの周遊の旅は、私にとって生涯忘れ得ぬ、特別なものとなるだろう。現地でお世話になったスコットランドの方々に、ありがとうと心からお礼を申し述べたい。

※ 挿入されている写真及び画像、動画コンテンツはすべて筆者によるものです。また、施設等の情報は、当記事執筆時点(2022年6月)のものとなります。

(Inverness 1-2 July 2019)

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