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古本屋を営んでいます。本を読むのが好きです。

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マガジン

  • ちょっとだけ明治はじまり雑学集

    いま身の回りにある、あんな物もこんな言葉も、すべては明治時代に原点がありました!当ブログ連載中にちょっとだけ紹介した雑学を一挙に集めてみました!

  • 坪内逍遥の『小説神髄』に挑戦だ!

    この国に「小説」を根付かせる!では一体「小説」とは何なのか!「小説」の性質と意義を理論的に紹介したのが坪内逍遥の『小説神髄』です!近代文学を読む上で避けては通れない理論書をはたして読破できるのか、挑戦しました!

  • 『中国小説史略』読書奮闘記

    「小説」という語源の『荘子』から20世紀に至るまで、中国小説の歴史を初めて学問的にまとめたのは小説家の魯迅でした!「小説って、なんで小説なんだ?」という疑問から始まった魯迅の『中国小説史略』の読書日記です!

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    ※ この商品はClubTが発送いたします。商品画像はclubTで生成した完成イメージのため、実物と異なる場合があります。
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こんな始まりかたでもいいんじゃないかな

気がつけば… ぼくは立派なおやじになり、 気がつけば… ぼくは古本屋の店主になっていました。 歳というものは、生きていれば勝手に取るものですから、致し方ありません。しかし、よりにもよって、21世紀というデジタルまっ盛りの時代に、どうしてぼくは古本屋の店主になったのでしょうか。 古本屋の店主になるくらいですから、当然、本が好きなわけですが、それなら新刊書店の店員でも図書館の職員でもよかったわけですが、なぜか古本屋の店主になってしまいました。 思い返してみると、ぼ

    • #1338 第九回は、中国から新たな登場人物が現れるところから……

      それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 今日から「第九回」に入ります!それでは早速読んでいきましょう! ということで、この続きは…… また明日、近代でお会いしましょう!

      • #1337 恋知り、情け知り、あはれ知り……

        それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 「早朝に北方諸州遊覧に出発する。ただし結婚申し込みには差支えなし。ぶんせいむ家宰しんぷる宛に申し込むべし」という新聞広告を載せて、ぶんせいむはるびなと六七人のお供を連れて旅行へむかいます。ぶんせいむは、るびなに言います。「どんな婿が来るだろう。圧政のおやじが人の心も知らないで、などと考え込んでるかもしれないが、それはおまえの愚だ……人の一生はみな愉快の生活をしたいというばかりだから、お前とお

        • #1336 小を捨て大を取るは当然のこと

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 「早朝に北方諸州遊覧に出発する。ただし結婚申し込みには差支えなし。ぶんせいむ家宰しんぷる宛に申し込むべし」という新聞広告を載せて、ぶんせいむはるびなと六七人のお供を連れて旅行へむかいます。ぶんせいむは、るびなに言います。「どんな婿が来るだろう。圧政のおやじが人の心も知らないで、などと考え込んでるかもしれないが、それはおまえの愚だ……人の一生はみな愉快の生活をしたいというばかりだから、お前とお

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          #1335 カナダに届くちぇりぃからの手紙

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 「早朝に北方諸州遊覧に出発する。ただし結婚申し込みには差支えなし。ぶんせいむ家宰しんぷる宛に申し込むべし」という新聞広告を載せて、ぶんせいむはるびなと六七人のお供を連れて旅行へむかいます。ぶんせいむは、るびなに言います。「どんな婿が来るだろう。圧政のおやじが人の心も知らないで、などと考え込んでるかもしれないが、それはおまえの愚だ……人の一生はみな愉快の生活をしたいというばかりだから、お前とお

          #1335 カナダに届くちぇりぃからの手紙

          #1334 オンタリオを旅行するぶんせいむ親子

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 「早朝に北方諸州遊覧に出発する。ただし結婚申し込みには差支えなし。ぶんせいむ家宰しんぷる宛に申し込むべし」という新聞広告を載せて、ぶんせいむはるびなと六七人のお供を連れて旅行へむかいます。ぶんせいむは、るびなに言います。「どんな婿が来るだろう。圧政のおやじが人の心も知らないで、などと考え込んでるかもしれないが、それはおまえの愚だ……人の一生はみな愉快の生活をしたいというばかりだから、お前とお

          #1334 オンタリオを旅行するぶんせいむ親子

          #1333 第八回は、ぶんせいむがるびなと共に旅行するところから……

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 今日から「第八回」に入りますよ!それでは早速読んでいきましょう! 王昭君(前51-前15)は、前漢時代を代表する美女で、宮中で官女として仕えます。のちに外交相手として唯一の対等国である匈奴の君主である呼韓邪単于[コカンヤゼンウ](?-前31)の妻となります。『世説新語』賢媛篇によると、官女たちは自分の似顔絵を美しく描いてもらうために、似顔絵師に賄賂を贈っていたが、王昭君はただ一人賄賂を贈

          #1333 第八回は、ぶんせいむがるびなと共に旅行するところから……

          #1332 知っているはずはありませんが……いいえ、知っているはずですよ……知らぬはずはありませんよ

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 青木よき程に茂って、暑さも小川の水泡とともに流れ去る景色。庭には、イタリア製の寒水石の大亀の噴水、蔓草をからませて屋根としたる東屋、ここは5万坪の広大なぶんせいむの下屋敷。戸の外からじやくそん夫人がるびな嬢に声をかけます。「お嬢様、蒸しますのにご書見ですか」「絵を描いていたのさ」「墨絵の枯木に鳥ですか」「枯木ではないよ。新橋色という顔料で葉が描いてあるのだよ。高窓の日除けがただの白い紗じゃ面

          #1332 知っているはずはありませんが……いいえ、知っているはずですよ……知らぬはずはありませんよ

          #1331 おれが最も良い婿を取ってやる!

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 青木よき程に茂って、暑さも小川の水泡とともに流れ去る景色。庭には、イタリア製の寒水石の大亀の噴水、蔓草をからませて屋根としたる東屋、ここは5万坪の広大なぶんせいむの下屋敷。戸の外からじやくそん夫人がるびな嬢に声をかけます。「お嬢様、蒸しますのにご書見ですか」「絵を描いていたのさ」「墨絵の枯木に鳥ですか」「枯木ではないよ。新橋色という顔料で葉が描いてあるのだよ。高窓の日除けがただの白い紗じゃ面

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          #1330 世の中の多くの夫婦がなぜ不幸に終わるのか

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 青木よき程に茂って、暑さも小川の水泡とともに流れ去る景色。庭には、イタリア製の寒水石の大亀の噴水、蔓草をからませて屋根としたる東屋、ここは5万坪の広大なぶんせいむの下屋敷。戸の外からじやくそん夫人がるびな嬢に声をかけます。「お嬢様、蒸しますのにご書見ですか」「絵を描いていたのさ」「墨絵の枯木に鳥ですか」「枯木ではないよ。新橋色という顔料で葉が描いてあるのだよ。高窓の日除けがただの白い紗じゃ面

          #1330 世の中の多くの夫婦がなぜ不幸に終わるのか

          #1329 おやおや似た者夫婦ですかね

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 青木よき程に茂って、暑さも小川の水泡とともに流れ去る景色。庭には、イタリア製の寒水石の大亀の噴水、蔓草をからませて屋根としたる東屋、ここは5万坪の広大なぶんせいむの下屋敷。戸の外からじやくそん夫人がるびな嬢に声をかけます。「お嬢様、蒸しますのにご書見ですか」「絵を描いていたのさ」「墨絵の枯木に鳥ですか」「枯木ではないよ。新橋色という顔料で葉が描いてあるのだよ。高窓の日除けがただの白い紗じゃ面

          #1329 おやおや似た者夫婦ですかね

          #1328 「第七回」は、るびな嬢のもとをじやくそん夫人が訪れるところから……

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 今日から「第七回」に入ります!それでは早速読んでいきましょう! 磁凳とは、陶磁製で太鼓形の庭園に置く腰掛けのことです。 「有感顔料[シンパジチックインキ]」とは、「sympathetic ink」のことでしょうね。 というところで、この続きは…… また明日、近代でお会いしましょう!

          #1328 「第七回」は、るびな嬢のもとをじやくそん夫人が訪れるところから……

          #1327 忘れられない、忘れまい、忘れるべきでない……

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 真珠取りは海に苦しみ、金掘りは山に疲れると言う老人も、孫を喜ばすために雷おこしを購入し、政治家うるさし、軍人危うしと言う作家も、文を売るために万巻の書を噛み砕いて吐き出します。しんじあはおとなしい男、激しい恋はしないけれども、煩悩の迷いの雲に覆われて、弦の切れた弓の如く甲斐なく孤独の世を過ごします。しかし、岩から洩れる水の色は澄んで見えないように、しんじあの心も……。「るびな嬢……あの美しく

          #1327 忘れられない、忘れまい、忘れるべきでない……

          #1326 なぜ恋しいのだろう……ただ恋しい……

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 真珠取りは海に苦しみ、金掘りは山に疲れると言う老人も、孫を喜ばすために雷おこしを購入し、政治家うるさし、軍人危うしと言う作家も、文を売るために万巻の書を噛み砕いて吐き出します。しんじあはおとなしい男、激しい恋はしないけれども、煩悩の迷いの雲に覆われて、弦の切れた弓の如く甲斐なく孤独の世を過ごします。しかし、岩から洩れる水の色は澄んで見えないように、しんじあの心も…… 数珠掛鳩は、飼養品種の

          #1326 なぜ恋しいのだろう……ただ恋しい……

          #1325 第六回は、しんじあが独り身である理由を説明するところから……

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 今日から「第六回」に入ります!それでは早速読んでいきましょう! 絹は蚕が繭を作るために自分の口から吐き出す繊維ですが、その主食は桑の葉です。 かわうそは互いに食い合うまで戯れるという俗説から、男女の愛の戯れのことを「獺[オソ]の戯[タワ]れ」といいます。 「小男鹿」は、角に枝がない小形のオスの鹿のことです。 『古今和歌集』には「秋風の 吹き裏返す くずの葉の うらみてもなほ うらめし

          #1325 第六回は、しんじあが独り身である理由を説明するところから……

          #1324 到底不安不定ではいけません!よく御決断なさい!

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 恋は盲目の天女とは良い例えで、この情の趣きの美しくして哀れ深く、尊くして面白いのは、霞の中で乙女が遊ぶごとく、苔なめらかなる架け橋を盲者が辿るごとし。恋とは偽りのない心の白絹に描く模様の色々、とても理屈で推せないのが人情。四年程前、しんじあはぶんせいむに招かれて、ぶんせいむの製鉄所で演説したとき、はじめてるびな嬢に会い、美しい乙女だと思い、その後しばしば往来し、慣れるにつけ、ともに昔や今を語

          #1324 到底不安不定ではいけません!よく御決断なさい!