#1334 オンタリオを旅行するぶんせいむ親子
それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。
「早朝に北方諸州遊覧に出発する。ただし結婚申し込みには差支えなし。ぶんせいむ家宰しんぷる宛に申し込むべし」という新聞広告を載せて、ぶんせいむはるびなと六七人のお供を連れて旅行へむかいます。ぶんせいむは、るびなに言います。「どんな婿が来るだろう。圧政のおやじが人の心も知らないで、などと考え込んでるかもしれないが、それはおまえの愚だ……人の一生はみな愉快の生活をしたいというばかりだから、お前とおれとを面白く生活させる男を見付けさえすればよいではないか」
オンタリオ湖のコーバーグですね。
オタワもトロントもオンタリオ州ですね。
「うォるづうおすの詩集」とは、イギリスのロマン派の詩人ウィリアム・ワーズワス(1770-1850)が、友人で詩人のサミュエル・テイラー・コールリッジ(1772-1834)と著した『抒情民謡集』のことかもしれません。ワーズワスは北西イングランドの湖水地方に生まれ、この場所をこよなく愛しました。のちにコールリッジと、友人で詩人のロバート・サウジー(1774-1843)も湖水地方に転居したため、三人は「湖水詩人」と呼ばれます。オンタリオ湖で読むにはぴったりの本ですね。
「相思花」とはヒガンバナの異称です。しかし、「forget me not」といえば「忘れな草」のことです。ドイツ騎士のルドルフが恋人ベルタのためにドナウ川近くに咲く花を摘もうとしたところ、川に転落し溺死してしまいます。そのときルドルフは最後の力を振り絞って「私のことを忘れないで!(forget me not……)」と言いました。その後ベルタはルドルフを忘れないために、ルドルフが摘もうとした花を髪に飾りつけたとされています。それが「忘れな草」の語源といわれています。
ということで、この続きは……
また明日、近代でお会いしましょう!
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