富谷あさひ

親が入る老人ホームを選ぶ前に知っておきたい情報を発信します。 延命、胃瘻、モンスターチ…

富谷あさひ

親が入る老人ホームを選ぶ前に知っておきたい情報を発信します。 延命、胃瘻、モンスターチルドレン、虐待、様々な事故事例、監視カメラ、尊厳とは何か... 何処にでもある普通の老人ホームから、現場ナースが考えている日々のこと、最近の老人ホーム事情。

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私が考える老人ホームの選び方

一般的にまずは立地、そして価格帯、介護サービスの有無、医療行為が必要な場合に対応ができるか(24時間看護師がいる施設もある)、面会や外出の自由度、この辺りが最初の条件だろう。 コロナ禍を引きずって、いまだに面会を制限している病院や施設も多いから、頻回に面会したい場合は確認が必要だ。 もちろん上記の条件は譲れない場合が多いだろうが、本人にとって大事なのは日々の生活を気持ちよくできる事だ。ソフト面で私が考えるチェックポイントを以下にまとめた。 ▫︎食事は美味しいか うちの施

    • 評判の良かった認知症研修

      同じ場面での「認知症の方の視点」と「介護者の視点」の違いを、実在する入居者をモデルにして資料を作ったら、分かりやすいと評価頂いたので共有します。 認知症の人の内的世界の理解 自分の思いや苦悩を適切に自分の言葉で表現できなくなる「認知症」を病む人たちが体験している 世界を、私たちはどの程度理解しているのだろうか。 【事例紹介】 鈴木様:90歳男性、アルツハイマー型認知症、ADL(日常生活動作)的には自立しているが、認知症による記憶力、理解力の低下があり適宜声かけや介助が必

      • 施設への転職を考えているナースへ

        私は病院勤務には戻りたくない、と思っている。 病院の内科系病棟に勤めていた頃は、朝から晩まで動き回り続けて、毎日へとへとだった。 忙しいだけで充実感がなく、虚しくなっていた頃に介護保険制度が始まった。 看護を違う視点から経験したいという思いでケアマネ資格をとり、在宅医療を数年経験し、育休を挟んでデイサービス、有料老人ホームと渡ってきた。 私が勤める施設は、24h看護師がいる体制をとっているので、ある程度の医療行為のある人は受け入れられる。 ただし規定でやってはいけない医療

        • これがキッカケで入居しました

          高齢でも、なんとか在宅生活を続けている方も多い。けれどそれはジェンガみたいに、一カ所でも欠けたら一気に崩れてしまう。独居なら尚更である。 老人ホームに入居するキッカケとなった事由を紹介したい。まだ入居したくない(させたくない)方は参考にどうぞ。 ▪️独居の父親と連絡が取れず、近くの警察に連絡して訪問してもらったら家の中で倒れていた ▪️仲の良かった姪と同居するために家を建てたのに、同居を始めたら追い出されてしまった ▪️団地の5階までの階段昇降が辛くなり、買い物や外出

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        私が考える老人ホームの選び方

          今日の救急搬送は誤嚥性肺炎。胃瘻の方。唾液を飲み込むだけで、いつもゴキュッと音が鳴る。ずっと誤嚥しているんだろうなあ。退院しても繰り返してしまいそう。どうしたものか...

          今日の救急搬送は誤嚥性肺炎。胃瘻の方。唾液を飲み込むだけで、いつもゴキュッと音が鳴る。ずっと誤嚥しているんだろうなあ。退院しても繰り返してしまいそう。どうしたものか...

          個人情報を伏せてインカムを使うとこうなる

          はじめに、インカムとはイヤフォンとマイクを使って会話ができる通信システムで、正式には「インターコミュニケーションシステム」。 インカムは複数の同時接続でありながら、双方向の同時通話が可能できる。また送話者と受話者が同時に発信することができ、それを多人数に同時に届けることができる。 私の勤務する有料老人ホームでは、ネックスピーカー型のインカムを使用している。 首にかけて使用する。当初は面会に来た方から、なんで皆、首にマッサージャーをつけてるんだろうって思ってました、とか言

          個人情報を伏せてインカムを使うとこうなる

          亡くなった事は内緒というルールを変えたい

          何度も改善を提案しているのだが、一向に変わらないことのひとつ。 私の勤める有料老人ホームの「ご逝去された事は他の入居者には言わない。」という社内ルール。 え、なんで?と思うのが普通の感覚だと思う。一緒に生活していた人が亡くなったら教えて欲しいし、体調が悪くて居室から出てこない時点で、周りはなんとなく気付いているだろう。 個人情報云々、というのが会社側の理由。 ある時、元の疾患からの貧血で徐々に衰弱し、もうすぐお別れになりそうな女性がいた。その人は盲目で、よくお世話をして

          亡くなった事は内緒というルールを変えたい

          隣の薬剤師さんに来て頂いて、高齢者と薬をテーマに勉強会をしました。 高齢者は筋肉量や水分が少なくて脂肪の割合が多いから、薬が効きやすく抜けにくいという事でした。 覚えておきまーす♪

          隣の薬剤師さんに来て頂いて、高齢者と薬をテーマに勉強会をしました。 高齢者は筋肉量や水分が少なくて脂肪の割合が多いから、薬が効きやすく抜けにくいという事でした。 覚えておきまーす♪

          私は間違っていた!

          ユマニチュードを学んで、自分は間違いを何年も続けていたと知った。 例えば入浴を嫌がる入居者がいて、毎回断られ続けて数週間...今日こそは入れねば!という時がある。 本人が嫌がっても、諦めない強い意志で突き進む。 脱衣所に連れて行き「やめて〜」と言われても「じゃあ、お着替えだけでも」とか言って脱衣させて、目をつり上がらせて怒っている入居者を「数週間も入浴しない不潔な人」として認識し、「こんなに汚いのだから、本人が嫌がっても入浴させるのが正しい事。」と自分を奮い立たせる。

          私は間違っていた!

          老人ホームの居室に監視カメラをつける夫④

          尿閉、という状態だった。 何らかの原因で尿が排出されない状態だ。本当なら尿道カテーテルを入れて機械的に尿を体外へ排出させる事が必要で、泌尿器科に受診するようになってからはそこの医師もカテーテルを入れる事を勧めた。 しかし夫は様々な理由をつけてカテーテル挿入を拒否し続け、神経因性膀胱薬だけで対応していた。しかし内服だけでは尿は出ない。 施設に対しては、「カテーテルを入れる事は治療にはならない。治療でないことはやりたくない。かえってリスクがある。」と言い、後で発覚したのだが泌尿

          老人ホームの居室に監視カメラをつける夫④

          「人生の先」を見せてもらっている

          私の勤める老人ホームは入居者が130名ほど。入居する際に、その人の生い立ちやどのような人生を歩んできたのかを聴き取り、入居情報としてスタッフは共有する。 例えば、山口県で生まれ育ち、地元の企業に就職して技術職で腕を磨き、30歳で結婚し2人の子供に恵まれて…みたいな情報だ。 その中でインパクトが強かったのは、 「宝くじで高額当選し、それが原因で一家離散」 「有名企業の研究職で特許をとる活躍をしていたのに、母親が亡くなったことでアルコール中毒になりアルコール性の脳症に」

          「人生の先」を見せてもらっている

          認知症ケアが楽しい理由

          私は高齢者が入る有料老人ホームで勤務していて、これまで病院や訪問看護ステーションでの勤務歴を合わせると約25年看護師を続けてきた。 有料老人ホームで勤務を始めたのは、認知症のケアが好きだからだ。認知症の方と話すのは興味深く、適切な対応が出来れば相手の表情が行動が穏やかになるし、自分の力量を測りやすい。 よく問題視されるのが「帰宅願望」が強い人だ。入居した日からやたら大きなバッグや紙袋をいくつも持って歩き、エレベーターの前で扉が開くのを待っている。 認知症の人が生活するフ

          認知症ケアが楽しい理由

          ハレンチは程々に

          陸上自衛隊だったと言われると、なるほどわかるわー、という印象。背は高くないがガッチリ体型で、いつも苦虫を噛み潰したような表情をしている。 奥様を亡くされて数年、一人暮らしをしてきたが息子さんの勧めで入居された。まだまだ自立していて、自身だけで散歩や買い物にも出かける。書道が趣味で師範の腕前。 入居した頃は、書道の腕前を披露することに熱心だった。「一日一善」みたいな標語を半紙に書き、勝手に廊下や共有スペースに貼り付けていた。 初めはスタッフも入居者も褒めていた。周囲の反応が

          ハレンチは程々に

          noteを始めた理由

          自己紹介。私は関東圏にある有料老人ホームに勤務する看護師で、私生活では2人の娘を持つアラフィフのシングルマザー。 病院や訪問看護の経験を経て、自分は高齢者看護や認知症に興味があると気づく。ケアマネジャーや認知症ケア専門士の資格を取得し、ますます高齢者看護に傾倒する。 日々感じている延命や尊厳についての問題、またカスタマーハラスメントや虐待などについて、モヤモヤと思考している事を文章にして、頭の中を整理したいと思ったのがきっかけ。 最近はユマニチュードや、死生観、家族関係

          noteを始めた理由

          最後まで美味しく食べたい人の嚥下の話

          私は酒呑みだし、スイーツも大好きだ。できる事なら死ぬ直前まで美味しいものを楽しみたいと思う。 老人ホームに勤務しているので、これまでたくさんの看取りをしてきた。病院勤務時代も合わせれば、何百人と言う数字になるだろう。 その中で、数は少ないが亡くなる直前まで食事がとれる人がいる。昼食を普通に食べたのに、その日の夜に亡くなる(多分老衰で)、苦しまずにひっそりと。 理想の逝き方を体現している!と私は羨むのだが、ご家族が納得してくれないパターンもあり「あんなに元気だったのに、なぜ

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          老人ホームの居室に監視カメラをつける夫③

          夜勤帯での出来事だ。 ある職員が、全く言うことを聞いてくれないAさんに対してストレスを爆発させた。 居室で排泄の介助をしている途中で本人に向かって「お前なんか死ね!!」と叫んだのだ。 そのスタッフに同情すべき点があったとしても、もちろん許される行為ではない。 そして、もちろん夫も一部始終をレンズ越しに見ていた。翌朝、夫から施設に連絡があり発覚。その職員も事実だと認め、施設を退職した。 この件で、施設は本人と夫に対して再発防止策をあげて謝罪したが、施設と夫との力関係が目に見

          老人ホームの居室に監視カメラをつける夫③