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『百年の孤独』を代わりに読む 行商旅日記 九州編(2019年2月 東京〜福岡〜長崎〜東京)
2019年2月8日 遠征前夜
明日は雪が降るのだと予報が言う。果たして明日のトークイベントにたどり着けるだろうか。読書会を開いてもらった時も文フリのようなイベントの時も、せっかく来てもらうのだから何か持ち帰ってほしい。それは私がお話しするわかったような、わからないような、なんの話なんだかよくわからない話の、その可笑しさや本をまた読もうというような気持ちでもいい。もちろんそれでいいのだけれど、物
岡啓輔『バベる! 自力でビルを建てる』 ーそのどうかしている挑戦
港区三田に鉄筋コンクリートのビルを自力で建てようと決心した岡啓輔はこう考えた。
「三年くらいあれば建てられるだろう」
ところがかれこれ建設が始まって十年以上が経過したが、完成には至っていない。岡氏の挑戦を知ったのはたしかほぼ日刊イトイ新聞に掲載された対談だった。以来、私の頭の片隅には建設中のあのビルが聳え立っていた。本書、岡啓輔『バベる! 自力でビルを建てる』(筑摩書房)はそのビル建設を試みる氏の
『『百年の孤独』を代わりに読む』を読む読書会の記憶 ー 2018.8.11(土)
蔵前のH.A.Bookstoreを6月末に改めて訪ねた際に、店主の松井さんから声を掛けてもらったのがきっかけだった。
「読書会って、興味ありませんか?」
私はてっきり松井さんが主催される読書会へのお誘いかと思い、何を読むんだろうかと想像しながら、「いいですね! 時々読書会行きますよ」と答えたのだが、『代わりに読む』の読書会をやりませんか?という提案だった。
8月の上旬、お盆休みに入る土曜日の
友田とんが勝手に東北を歩く DAY2
「友田とんが勝手に東北を歩く」DAY1 のつづきです。
2018.9.2 (日)秋田寝坊してしまった!と目が覚めた。分厚いカーテンの向こう側には高く太陽が登っているのではないかと焦って、iPhoneをひらくとまだ4時だった。少し早いが、起き出して、コップに入れた水を飲む。今朝はドリアの胸焼けはない。
ビジネスホテルを選ぶとき、つい温泉のあるホテル、大浴場のあるホテルを選んでしまう。大きな風呂は
友田とんが勝手に東北を歩く DAY1 (東京-秋田)
2018.9.1 (土)東京目が覚めたら5時だった。今日は午後に秋田へ向かう。昨晩食べた、近所のサイゼリアのミラノ風ドリアで胃がもたれている。ベッドから起き上がり、コップの水を飲む。おもむろに玄関に積み上げられた在庫の段ボールの前に立つ。包みを破いて、『『百年の孤独』を代わりに読む』を20冊くらい検品する。そして、一冊ずつにスリップを挿していく。スリップは自分で印刷してあらかじめ短冊状にカットして
もっとみる書籍版「『百年の孤独』を代わりに読む」をstores.jpで販売開始しました
【お知らせ】BOOTHからstores.jpにネット通販を移転しました。(2019/07/14)
2018年5月6日開催の文学フリマ東京にて頒布いたしました拙著「『百年の孤独』を代わりに読む」をstores.jpで販売開始しました。ガルシア=マルケスの『百年の孤独』を読者の代わりに読むというnoteでの四年にわたる連載(1〜17章)に新たに18〜20章を書き下ろした全20章です。
文フリで「『
第17回 如何にして岡八郎は空手を通信教育で学んだのか?
【前回までのあらすじ】
バナナ農園のストライキが労働争議と駅前での大虐殺という最悪な結果を迎えて以来、マコンドに雨が降り続いた。アウレリャノ・セグンドはペトラ・コテスと愛を交わそうとして、「そんなことしてる時じゃないわ」と拒まれた。屋敷の周りを埋蔵金を求めて掘り返すばかりで、家のことは任せっきりの彼に、フェルナンダは堪忍袋の緒が切れた。代わりに読む「私」は「そんなことしてる時じゃないわ」という言葉
第9回 マコンドいちの無責任男
【『百年の孤独』を代わりに読む】 ※無料で最後まで読めます。
前回までのあらすじ:自由を求めて幾度も戦乱をくぐり抜けてきたアウレリャノ・ブエンディア大佐とマコンドの人たちだったが、二十年近くに及ぶ戦争ですっかり疲弊していた。
「戦いのむなしさを最初に意識したのは、ヘリネルド・マルケス大佐だった」。彼は「市長兼司令官として、…週に二回はアウレリャノ・ブエンディア大佐と電信で話し合った」。最初のう
第2回 彼らが村を出る理由
第1章はマコンドを開拓した若き族長ホセ・アルカディオ・ブエンディアがジプシーたちの持ち込んだ発明品にはまるあまり、妻や子供をほっぽりだして、文明との接触を目指し引越しを画策するも、やがて落ち着いてマコンドに腰を据えるという話だった。第2章は、彼らがもといた村を去らねばならなかったいきさつ、マコンドに住むものがマコンドを出て行く理由を中心に話が進んでいく。今回はこのメインストリームをたどりながら、そ
もっとみる第1回 引越し小説としての『百年の孤独』
ホセ・アルカディオ・ブエンディアの一族が海から遠く離れた内陸の土地にマコンドという村を開拓し、繁栄させ、百年の後に村も一族も滅んでしまう。大雑把に言えば『百年の孤独』はその一族と村の年代記である。しかし、それを知ったところで『百年の孤独』を体験したことにはならない。この文章では、大雑把なあらすじとは対極のこと、細かいところに拘りながら読み進めたいのだ。なにしろ、可笑しなことは細部に宿るのだ。町を繁
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