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短編小説まとめ

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自分の作った小説の中で4千字~1万字程度の話をまとめたものです。明るい話、暗い話はバラバラですが手軽に読める程度の短い話ばかり集めました
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記事一覧

【短編小説】石の心臓

ああ、やっと見つけました。探しましたよ。 謎の石と不吉なナニカを書き綴ったとあるノートの…

鳥野 小川
2週間前
27

【短編小説】涙空トーストのはじまり

いつか骸も花のための養分となる。 どうしても小春ちゃんに救いある展開を与えたくて…。上記…

鳥野 小川
3週間前
68

【短編小説】桜の樹の下には初恋が埋まっている

埋めても埋めてもまた芽吹く。 初恋を桜の下に埋めた少女の話。  桜が嫌いだ。いかにも春代…

鳥野 小川
1か月前
32

【短編小説】記憶の置き傘

あなたが忘れたものはなんですか? 男と何度も現れる赤い傘の話。  それを見つけたのは小雨…

鳥野 小川
2か月前
32

【短編小説】氷と炎の国より贈り物を

グレイリヨール!(アイスランド語でメリークリスマスの意) 常夜の国の大烏がアイスランドの…

鳥野 小川
4か月前
30

【短編小説】黒猫のシロ

自分にないからこそ好きになる。 白を愛する黒猫を飼っている男の話。  うちには「シロ」と…

鳥野 小川
4か月前
34

【短編小説】仏に非ず

無邪気な悪が最も恐ろしい。 おぞましい像とそれに魅入られた男。苦労人の店主を添えて。 以前書いた上記の話と同じ世界線の話ですが、読まなくても読めます。  重苦しい空気が店内を覆っている。いつもの喧騒は噓のように遠ざかり、一種の緊張感がぴんと糸を張っていた。皆、それに目をつけられないようにただただ息をひそめているのだ。  店主の口から嘆息が落ちた。ああ、これで本日何度目だろうか。吐く息は埃のように鬱屈を積もらせていく。  原因はわかっているが、どうにもならなかった。もう店主

【短編小説】クラゲの押し花

硝子板にはまった海の花。 老女と好色なクラゲ。クラゲに振り回される店主を添えて。 上記の…

鳥野 小川
5か月前
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【短編小説】未亡人

ひとりは寂しい。 「ぼく」が隣の「おばあちゃん」の最後を見届ける話。  ぼくのとなりには…

鳥野 小川
5か月前
30

【短編小説】お菓子をもらいに

Trick or Treat! お化けが主役の祭りには、人の世であっても本物が紛れているかも? 駄菓子屋…

鳥野 小川
6か月前
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【短編小説】夜を食べる

トラウマも腹に収めてしまえば怖くない。 夜恐怖症を克服するために夜を食べる男の話。  そ…

鳥野 小川
6か月前
30

【短編小説】涙空トースト

たまには子どものように泣きじゃくってもいいのでは。 喫茶店の店主と泣きたい女とハニートー…

鳥野 小川
7か月前
39

【短編小説】極北の秋

どんなに遠く離れても世界はつながっている。 ある男と北極と紅葉の話。  どこまでも見渡せ…

鳥野 小川
7か月前
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【短編小説】曙鳥と御し手

元気が良すぎるのも考えもの。 朝を呼ぶ鶏とその世話役の話。 下記にある前回書いた「告夜鳥と癒し手」と同じ世界の話ですが、読まなくても読めます。  ドタドタドタと騒がしい足音が響きわたる。空に純白の羽が舞い上がった。 「曙鳥さまー! だからそっち行っちゃだめですって!」  街を駆け回るのは一人の青年と一羽の大きな鶏であった。  鶏は混じりけのない白い羽毛、目が覚めるような真っ赤な鶏冠、さらには人の腰ほどはある、鶏にしては大柄な体をもっていた。人々に鮮烈な印象を焼きつけなが