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【球帝マオ】 統失2球男が書いた超ショート小説

2138年、世界はアースエンペラーを名乗るアイザック・ミラーという1人のアメリカ白人の男に支配されていた。ミラーは元はリランドというロボット製造会社の開発責任者で、自国を含む世界中に警官ロボット、兵器ロボット、SEXロボット、労働ロボット等を普及させていたが、2136年7月4日、突如としてそのロボットたちに一斉司令を送り、世界中の全ての政治家、警官、軍人、科学者たちを殺害させて、1日にして世界の支配者となっていた。そんなミラーが次に決行したのは白人顔のユダヤ人、アシュケナージの殲滅作戦だった。アシュケナージは世界中に2千万人以上居たので、作戦遂行までには3日を要した。ミラーは自分の地球支配の妨げとなりそうな人々を抹殺したのだ。ミラーは極めてサディスティックな人間だったが、アシュケナージ以外の白人には寛容な人間で、アジア人とヒスパニックとネイティブアメリカンとアボリジニとポリネシアンと中東人と黒人たちには差別的な人間だった。ミラーの命令で非白人の人々は日々過酷な肉体労働を強いられる様になり苦しんでいた。「ロボットを含む現代機械は全て白人の発明であり、非白人たちがこれらの恩恵を受けるのは分不相応である。非白人たちは例外なく中世以前と同等の生活を送るべきだ」というのが、ミラーの言い分だった。非白人たちからは現代機械だけでなく、現代医療も取り上げられ彼等の生活水準は著しく低下していた。非白人たちの近くには常にミラー配下のロボットがあり、非白人たちは一挙手一投足が監視され、ミラーに逆らう事は不可能だった。ミラーはロボットのカメラを通して非白人たちの苦しい生活を観察しては喜びを覚えていたが、次第にそれだけでは物足りなくなっていった。「非白人の人々は軟弱である。故に我々白人には彼等を監督指導し強靭な人種に改良する責任がある、非白人にはトレーニングが必要だ」ミラーのこの声明は2138年7月4日に発表された。ミラーの言う『トレーニング』とは非白人の10代の少女たちを全裸にし、剣を持たせ闘技場で1対1で戦わせるという極めてサディスティックなイベントの事だった。4分以内に相手を殺さなければ両者共、罰として24時間拷問され続けた挙げ句、首を切断されて処刑される。その為、少女たちは必死で戦った。日本人少女と韓国人少女の戦い、アラブ人少女とペルシャ人少女の戦い、中国人少女とモンゴル人少女の戦い。インド人少女とパキスタン少女の戦い、ナイジェリア人少女とソマリア人少女の戦い、メキシコ人少女とペルー人少女の戦い、北アメリカ先住民少女と南アメリカ先住民少女の戦い、アボリジニ少女とポリネシアン少女の戦い。これ等の戦いにはミラーを始めとする白人の観客たちも歓喜し熱狂するのだった。

マオ・ムーチェンはアメリカに住む中国人の女子大学生だった。マオはミラーが非白人への差別的な政策を発表したのを聞いた瞬間に美容整形外科医である白人の夫に自分の顔を白人の顔に整形させていた。更にIDにも細工を施したので、ミラーが始めた差別的な政策の範囲外での生活が可能となっていた。マオは白人として暮らしながらコンピューターをほぼ独学で学び、数年後には世界有数のハッカーに成長していた。そして2144年
10月1日にリランド社のマスターコンピューターに侵入し、ミラーの支配下にあったロボットたちへの命令権をミラーから奪い取る事に成功すると、ロボットたちにミラーとミラーの一族とその配下たちを殺害させ、数時間の内に世界の支配者まで登り詰めていた。そしてマオはこの革命直後から地球の皇帝を意味する球帝という称号を名乗り始めた。更に中国人を一級球民と定め、その他の人種、民族は皆平等に二級球民と定めた。マオは二級球民にも現代文明の恩恵に預かる事は許した。それまで支配階級に居た白人たちの中には、この革命を快く思わない者も大勢居たが、マオの「私がその気になれば、世界中の白人たちにアシュケナージと同じ運命を与える事が出来る」という声明が発表されると、表立って不満を口にする白人は皆無となった。マオは革命後、昔の中国人の顔が恋しくなり夫に復元手術をして貰ったが、出来栄えが悪かった為に夫を殺害し、別の腕の良い美容整形外科医に手術をさせて元通りの顔を取り戻していた。その一方でマオはミラーとは比べ物にならないくらい柔和な支配者であったので反乱が起こる事はなかった。球帝即位から4年後、32歳になっていたマオは年下の中国人青年を夫に迎えた。そしてマオとその夫の子孫たちは6千年に渡り地球民を優しく支配する事となるのでした。


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