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クラウドサービスは、なぜ旧世代のサーバを安くしないのか?

↓こちらに転載しました

オンラインサービスを提供するのにクラウドを使うようになって約10年。手軽に試せるので、Amazon Web Services(AWS), Google Cloud Platform (GCP), Nifty Cloud, IBM Bluemix, Microsoft Azure...と多々触っている。業務で初めてAWS使ったのが2012年3月で、今ではオンプレミスでコストを最適化されてきていない限り、物理サーバを調達することはない。

既にクラウドサービスは歴史があり、毎年新しいCPUを搭載したインスタンス(仮想マシン)がリリースされ、値段も下がり続けている。新しい世代がリリースされても、しばらくは旧世代のインスタンスが値段を変えずに提供され続けるので、高性能で安いという逆転現象が常態化している。

手元で使うPCなら、古いのは安くなるのが当たり前なのに、あえて値段を変えない理由があるはずなので考察。

概観

値段が安くて性能いいなら、動作検証などのコストはあるものの、新しいのに載せ替えたくなるのは当たり前。クラウド事業者としては積極的に新しい世代に乗り換えさせたい理由があると考えるのが妥当。

バスタブ曲線 (故障率曲線)

機械や装置は一般的には、導入当初は初期不良に故障が多く(初期故障期)、最終的にはガタが来て使えなくなる(摩耗故障期)。
コンピュータが摩耗するというのは一見想像しにくいが、CPU等を冷却するためのファンがあるし、微細化されたCPU内部回路は電子の移動に伴うエレクトロマイグレーションによる断線も発生する。
故障交換によって予備部品が減っていく際に、わざわざ古い保守パーツを高い値段で確保するよりは、新しいのを使ってもらう方が合理的。

電力供給

クラウド事業者は、サーバを大量に収納することに特化した、データセンター(IDC)を利用している。IDCには万が一の停電に備えてUPS(無停電電源装置)やガスタービン発電機などの非常用電源が設置されている。
IDCでは大量のサーバと、それらを冷却するための冷房に電力を消費する。冷房コストを下げる為に、北海道に建設したり、海底への設置が実験されている。とはいえ、供給される電力自体も有限なので、Googleに至っては原子力発電所を検討する程だ。
供給電力や非常用電源設備の制約を考慮すると、電力効率がよい(処理能力あたりの電力消費量が少ない)新しい世代に積極的に乗り換えるのが合理的。

追記

■その1 「いつ落としてもいいスポットインスタンス(AWSの場合)なら安いよ」という御指摘
→ いつ壊れてもいい前提での運用で、旧世代の台数を保証する範囲を限定できる上に、無稼動で遊ばせずに済むということで考察とも一致

■その2「 古い仮想化タイプを使いたい人向けに残しておいてるってことも」という御指摘
→ 仮想化タイプの変更を伴うインスタンス変更は、再インストールが必要なので旧世代を使う方がトータルで安くつく。OSまるごと更新しなくちゃいけないタイミングは定期的にあるので、その時に世代も更新するのが合理的。

というわけで

電気を大切にね by でんこちゃん

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書いてたならなんとなく欲しくなったモノたち

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