見出し画像

4つのポイント〜キプチョゲのトレーニング〜

Four Takeaways From The Training of Eliud Kipchoge, Marathon 


上記の記事を日本語でまとめてみました。なお、元記事はマイル表示されているので、km換算しています。

0.はじめに

 2022年ベルリンマラソンで世界新記録を再樹立し優勝したキプチョゲ。彼の普段のトレーニング、トレーニングの組み立て方や考え方を学ぶことで、パフォーマンスアップにつながるのではないかで。さらに驚くべきは、彼は38歳でこれを成し遂げたことだ。

 世界一のマラソンランナーは、世界一ハードな練習をして、今現在最強であり続けているのだろうか?

 この記事を読んだ人のトレーニングの改善や、ワークアウトの工夫、怪我や病気などなく歳がとっても走り続けられる体づくりに役立ててもらえればと思う。

1.トレーニングのほとんどは簡単なもの

ジョギング、リカバリーラン(回復走)について

5分17〜26秒からスタート 心拍100~110  Z1レベル

4分2〜21秒で終わる

1週間のうち4日は29km×3回(午前中19km、午後10km)と2時間1回26km〜29kmのEasyランニング(ジョギング)

週3回のワークアウト(ポイント練習)では10kmを2回走る

週208km走る中で、77%(160km程度)は楽に走れるペース(Z1かそれより少し高い)

週のトレーニングの8〜10時間程度がZ1

トップトレイルランナーのキリアンもトレーニングの心拍はZ1の割合が58%も含まれている

楽なペースで走る練習がほとんど


2.他の世界的なアスリートに比べてトレーニング量は多くない

キプチョゲは、週198〜218km走る 

これは、16,17時間程度のランニングに相当

世界クラスのマラソンランナーは160〜218kmなので通常の範囲

強度分布ではほとんどをZ1で純粋に楽に行い、ロングランではZ2、ワークアウトとロングランではZ3のテンポが多く、ワークアウトではZ4の閾値を少量、Z5はほとんど行っていない

キプチョゲは持続可能な有酸素運動を優先することで続けている

簡単なトレーニングで鍛錬することで、量をこなすことができ、ポジティブなフィードバックサイクルを生み出すことができる


3.強度をコントロールし、統制のとれたワークアウトを行う

キプチョゲは100%で走らない

火、木、土は80%でワークアウト 月、水、金、日は50%で楽に走る

レース当日のみ100%の力を発揮する

マラソンとハーフマラソンのペースの間のリラックスしたインターバルと10kmのスピードに近い速いインターバルを組み合わせたワークアウトを行う

標高の高い荒れたダートトラックで1600mを8本4分40秒(2分レスト)

400mを63、64秒で8本、30〜50秒のリカバリー

マイルインターバルはマラソンペース程度

有酸素系のインターバルの後に、スピード/パワーを行うワークアウトは全てのアスリートに効果的

アスリートには1600m×4と200m×6のセッションが同等

中級アスリートのインターバルは10km程度の負荷がベスト

上級アスリートは10kmの負荷(限界に近い)と閾値の負荷(1時間の負荷)の間になる

プロの場合は、ハーフマラソンから閾値までが一般的


4.ほとんどの週で質の高いロングランを行っている

キプチョゲはイージーから始めて適度なハードに終わる長いビルドアップ走で有名

ある週は30km、次の週は40km、丘陵地帯を走る。最初は楽に走り、徐々にペースを上げていき最後には3分前半まで上げる。Z3前後のテンポで走る

ロングランが速いスピード(有酸素性)になることで動力源である脂質酸化に負担がかかり、グリコーゲンの貯蔵量を維持・回復する能力が向上する

全てのアスリートがロングランでもう少し安定したテンポで走ることができる

しかし、レースのようなハードな練習にならないようにする。乳酸閾値を過度に超えてしまうと、有酸素運動の発達を打ち消してしまう

トレランでは上り坂で心拍数が上がるのでさらに複雑

あまりレースに出ていない上級アスリートには50kmの距離で1~2時間のテンポを組んだ練習を課している


5.感想

世界一のマラソンランナーだから、世界一ハードで苦しい練習をしているのだろうかに対する答えは、否。

彼は世界一自分の体のことを考え、無理をしない、合理的にトレーニングをこなしているように感じた。ただ、彼はここに書かれている練習を、ケニアのイテン(標高2000m程度)で行っていることだ。起伏が激しいコースであったり、赤土のトラックだったり、日本のスタジアムやコンクリートと異なる環境である。

自分の練習を振り返り、心拍ゾーンZ1,Z2がどれくらいの割合を占めているかを確認し改善すると、怪我のリスクを大きく下げることができる。

日本人は「我慢・忍耐・根性」でランニングに打ち込む人が多いと思うが、それだとオーバーワークや怪我につながっていく。

世界チャンプのトレーニングや考え方を見習うと良いことがあるかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?