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児童虐待と複雑性PTSD

こんにちは!!
丘咲 つぐみです。

6回目の記事になります。


虐待サバイバーとは、虐待を受け成長し、無事に成人した人のこと。

虐待を生き延びた人、です。


「生きている人」ではなく、「生き延びた人」のことです。

「生き延びた」とは、辞書を引いてみると、


失うはずの生命を生き長らえる

生き残る

死に損なう


との意味が出てきます。

まさに、そういうことです。


虐待サバイバーは、

生きててよかったね、

なんてことを簡単に思うことができない方が多いのです。


私もそうでした。

生きてて良かったなんて、飛んでもない!!

むしろ逆です。

毎日、毎日、いつ死のう、、、今日死のうか、、、と本気で考え続けていました。

時には、それを実行しようとしていました。

それも、物心の付いた4,5歳くらいの頃からずーーっと考えていました。


3年前までの私は、生れてから一度も「生きていたい」と思えたことがありませんでした。


その考えは、

どんなに楽しいことがあっても、

どんなに嬉しいことがあっても、

変わることは無く、


世界一愛する我が子を授かってからも、

そうでした。

もしかしたら、多くの方は、子どもがいながら死ぬことを考えるなんて、どうしようもない親だと思うかも知れませんね。

でも、愛しい愛しい我が子が居てくれても、消えない程に「死」への願望を強く抱いていました。


なぜ、これほどに私が「死」に囚われてしまっていたのか。。。

その原因は、私の抱える病の一つ、複雑性PTSDにあります。


虐待によって、複雑性PTSDを発症する確率は21%~55%です。

この割合は、大災害や事故によって発症する率よりも格段に高い数値です。

例えば、阪神大震災による被災現場経験者による複雑性PTSDの発症率は、9.3%でした。


では、複雑性PTSDは、どんな場合に発症するのか。


生きていれば、どんな人でも苦痛を経験したり、嫌な思いをします。そういうことがあった時、人に愚痴を言って聞いてもらったり、何か好きなことをして気分を紛らわせたり、もしかしたら、ただ単純に時間が流れるだけで嫌な気持ちが和らいだりと、事が起こる毎に克服する努力をして、人は乗り越えていくのではないでしょうか。
こうすることで、トラウマにはなりません。


しかし、通常の範囲を超えた極端なストレス(例えば、戦争、犯罪被害、虐待、交通事故、災害、など)を体験すると、「心」がそれらを受け入れられなくなってしまい、長期に渡って、「トラウマ」として心に残ってしまします。

これが、複雑性PTSD発症の始まりです。


複雑性PTSDを発症すると、どんなことが起こるのか。


・    日常的に強い恐怖感や戦慄を感じる

・    侵入体験(トラウマ場面を急に思い出してしまうこと(「フラッシュバック」と言います。)更には、記憶が蘇るだけでなく、実際にその出来事を再び体験しているような感覚に陥り、状況が認識できなくなることもある。)

・    回避(トラウマに遭遇した場所や場面に近付けない。トラウマを想起するような出来事を避ける)

・    否定的な思考(罪悪感、疎外感、自分を過剰に責める、悪いことばかり考える)

・    麻痺・無気力感(感情が死んでしまう、何も感じない、何もできない、意識が遠のく、人を受け入れられない)

・    過覚醒(自律神経の内の交感神経が過剰に高くなることで、過呼吸、不安、不眠、動悸、頭痛、吐き気、悪夢を繰り返し見る、集中出来ないなどの症状が表れる。)

・    感情のコントロールができない(ちょっとしたことに驚く、怒る、涙ぐむ、落ち着かない)


このうちの複数の一症状が一定以上出現し、かつ、一定以上の長期間続き、日常生活にも支障をきたすようになると、「複雑性PTSD」の診断がつきます。

このような症状は、トラウマに遭遇した直後から起こることもあれば、数か月後、数年後、時には数十年後に突然起こる場合もあります。


複雑性PTSDを治す方法は?


複雑性PTSDを治す方法として、次のようなものがあります。

・    EMDR(眼球運動脱感作療法)

・    認知行動療法

・    精神分析的心理療法

・    カウンセリング

・    薬物治療(抗うつ薬、抗不安薬、気分安定薬などの投与)

・    グループ療法(当事者同士で語り合う)、など


これらのうち、特に「EMDR」は、複雑性PTSDの治療に特に効果的な心理療法として、1989年にアメリカの臨床心理士によって提唱された治療法です。

他の治療方法に比して、効果は大きいと評価されています。


EMDR治療の問題点


複雑性PTSDを発症している多くの虐待サバイバーの方たちにぜひ、この治療を受けてもらいたい!!

そして、完治しないまでも、少しでも現状よりも楽な状態で日常を送れるようになって欲しい、と思っています。

でも、EMDRの治療には、2つの大きな壁があります。


1. EMDRの治療を行うことができる精神科医の数が、圧倒的に少ない。

2. 治療費が高額(保険適用外)

EMDRによる治療方法が日本に根付いておらず、治療を行うことのできる精神科医が圧倒的に少ないのです。
(専門医については、次のリンク先を参照)
https://www.emdr.jp/emdr%E6%B2%BB%E7%99%82%E8%80%85%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88/


また、その治療費は高額です。

1回60分程度で、20,000円程度が相場であり、治療回数も少なくとも10回以上必要です。

そして、保険適用外のため、全額自己負担となります。


複雑性PTSDを抱えていて、生き難く窮屈な日常を送っている虐待サバイバーのうち、どれほどの人が、このEMDRの治療に辿り着けて、症状が改善されるところまで至れるのか。。。とても疑問です。


虐待サバイバーや虐待経験者が、
このような複雑性PTSDを抱えていて、
この治療にはEMDRが有効であることが認知され、
そして、
この治療のために、国や行政が動くよう、協力して下さる精神科医の先生が増えるよう、
働きかけを続けていきます!!

児童虐待に関するすべての人が、

主体的に行動して生きる社会の実現を目指します

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