ツジ 

'96(28) 震えながら立つ中央線のホームで、あなたの足を止める言葉が、私…

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'96(28) 震えながら立つ中央線のホームで、あなたの足を止める言葉が、私の中にあるように。                              (コメント返信遅くなってしまうことが多いのですが、必ず返しますのでご容赦ください)

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  • スキが100を超えたもの

    スキが100を超えたものだけ集めました。皆さんが読んでくれたこと、ほんとうに嬉しいです。(ほぼ100もいれちゃう)

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    自己紹介代わりの記事5つ。お気に入りのものです。

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生きてるうちに、好きと言え

夜中のコンビニ、スウェットですっぴん眼鏡も慣れたものだ。 びゅーびゅーと吹く風が、火照りを冷ますから、子犬のように身を寄せ合って歩く。 冬は君の手をポケットにお招きできるからいい、とバンプが歌っていたな、と思い出しながら、彼のポケットに手を突っ込む。 あたたかいおでんと一年ぶりに再会して、彼は「柚子胡椒をつけるとうまいんだよ、しってる?」と笑う。 安い缶チューハイに、暖かい部屋で食べると最高なアイスも買っちゃって、急ぎ足で部屋にもどる。 そんな、ありふれた、どこにでも転がっ

    • 海の見える街

      そのお店は海のそば、古いトタン屋根の倉庫街にある。秘密基地のような狭い階段を上がると、建てつけの悪い古めかしいドア。鍵を開ける時は、えのながい大きな鍵でひと回し。まるで物語のはじまりみたいに開くドアの先には、たくさんの夢が詰まった本が並ぶ。美しいポスター、おしゃれな写真集。物語の隙間に挟み込まれる挿絵のようなお店は、ちいさいけれど愛おしい。すみずみまで愛に満たされた、美しい本屋さん。そんな場所で、働くことになった。 * 「ここで働かせてください!」 まるで気分はジブリ映

      • 大人になんかなるなよ、死ぬなよ、

        「大人にならなくていいのに」そう悲しそうに、何気なく先生は言った。少し暑くなった病室に、静かな風が吹く。春の終わりの匂いがした。 * 昨日、初めてのメンタルクリニックへ行った。東京から引っ越したせいで、新しい病院を探していたからだ。「3ヶ月後になっちゃうんですけど…」予約時にそう言われた時は絶望したけれど、なんとか騙し騙しこの日を迎えた。精神科は、ほんとうに空いていない。今日死にたいのに!今日がもう無理なのに!勇気を出して連絡しても断られる日々。いのちの電話なんて繋がった

        • 桜が降る夜に、永遠を想う

          桜が降る街、雨の音は深く胸の中まで降り注ぐ。春は美しく、世界中が活気づいて見える。芽吹くたくさんの命の香りにクラクラしては、自分の生を実感させられるそんな日々。孤独な生きものとして生まれた人間たちは、ただ愛を求めて彷徨う。こんな穏やかな春の日は、そんな自分の孤独と切なさを感じて涙がこぼれ落ちる。 桜は咲いている時より、散っている方が好きだ。歩けば桜の絨毯、舞い落ちる花びらはわたしの肩で微笑みかける。「地面につく前にキャッチしたら、願い叶うんやって!」と叫ぶ通学路の子どもたち

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          星やどりの恋人

          恋人は、夏の星座をからだに宿している。光って見えるちいさな黒子は、わたしだけが知る秘密。抱きしめられた腕の中でこっそり願いをかける。「永遠に隣にいられますように」星に願いを、彼の瞳を見つめながら。 恋人と出会ったのは、本当にありきたりなもの。離婚して、興味本位でいれたマッチングアプリで初日に出会ったのが彼だった。なんとなくお互いのいいねで始まる現代的なラブストーリー。メッセージを何回かやり取りして、電話をした。気づけば4時間も電話していたわたしたちは、きっとその時にもう運命

          星やどりの恋人

          いつか思い出になる前に

          「わたし、神様に抗議する!」そう泣きながら言うその顔が、愛おしくて切なくて、それでいてどうしようもなく可笑しい。二人で泣き笑いの夜、おばあちゃんとハグした今晩の月は今まででいちばん美しかった。 わたしが不妊症だと告げられたのは、数ヶ月前のこと。時間が経つにつれて、自分なりに咀嚼して、理解して、納得した。友人たちは愛と励ましを送ってくれたし、わたしはもう平気!と力強く思っていた。離婚届けが受理されて、東京での解約手続きを終わらせて、ようやく帰ってきた一週間前。正直に言うと、苦

          いつか思い出になる前に

          【お知らせ】ZINEフェスに出展します📚

          【お知らせ】3/23(土)、吉祥寺PARCOにて行われるZINE(自主制作の本)フェスに参加します🕊️ 最近noteを更新できてなくて、寂しい気持ちがありながらも、とにかくイベントのための入稿作業で死にかけていました。こころを込めてたくさん頭を悩ませて作った本が、あなたのもとに届くことを夢見ています。 こういったイベントに参加するのは初めてのことでド緊張かつワクワクしています…!よければ遊びに来てください。他にもたくさんの参加者の方々が、ZINEだけでなく色々なものを売っ

          【お知らせ】ZINEフェスに出展します📚

          知らないひと、きっと顔を見ることは一生ないひと。そんなひとたちがnoteを更新していて、人生を覗かせてくれる。街行くあのひとはもしかしたらフォロワーさんで、すれ違ったあの人にも物語があって。noteがすきだと、シンプルに思う。追い切れてないけれど読ませていただいてます、みんなすき

          知らないひと、きっと顔を見ることは一生ないひと。そんなひとたちがnoteを更新していて、人生を覗かせてくれる。街行くあのひとはもしかしたらフォロワーさんで、すれ違ったあの人にも物語があって。noteがすきだと、シンプルに思う。追い切れてないけれど読ませていただいてます、みんなすき

          "もし僕らの言葉がウイスキーであったなら"

          「これはね、村上春樹が愛したお酒なんだ」そう言って、ウイスキーグラスに注いでくれるカティサーク。帆船に黄色のラベルが目印、ブレンデッドウイスキーと呼ばれるそれをひと口。胸が熱くなって、どきどきするのはお酒のせい?それとも、なんて想いながら見つめ合う瞬間。そんな夜を、愛していた。 * 昨日は越してきて初めて、夜の街へ出かけた。地元のお洒落な場所なんて行き尽くしたと思っていた高校時代。大人になってから歩く街はなんだかきらめいていて、違う街みたいだ。きっと、それは何年も歳を重ね

          "もし僕らの言葉がウイスキーであったなら"

          絶望の夜、抱きしめた憂鬱

          暗闇が手招きしている。やさしい黒は、わたしのことをどこまでも引き込んで、いつのまにか溺れてしまう。苦しみを言葉にするたびに、どうにか息が吸える気がする。鬱は今日も絶好調、治ることなんてありえないんじゃない?と笑えるほど。素敵な言葉ばかりを紡ぎたいのに、そんな風に上手くはいかない。人生ってたぶんこんなもん。憂鬱な夜ばかりを過ごすことにいつまで経っても慣れなくて、毎回新鮮な気持ちで堕ちてしまう。馬鹿みたい、いい加減慣れてくれ。どんなに楽しいことがあっても、どんなに嬉しいことがあっ

          絶望の夜、抱きしめた憂鬱

          birthday

          今日、ひとつ、歳をとった。 立派なアラサー、20代ももうすぐ終わり。「若いねえ」と言われなくなる日はもうすぐだ。ずっと、生き急いできたような気がする。なんでも欲しがり、なんでも捨てた。欲は無限の使い捨て、若さをもてあますうちに消費してしまう。大人が言う「今を大事にね」なんて、聞こえないふりして走ってきた。 けれど、今になるとよく分かる。自分が若さを無駄遣いしていたことや、向こう見ずだったこと。危なっかしくて見てられなかっただろうことも。今思えば恥ずかしいことは、それはもう

          永遠なんてなくても

          さよならを告げたのは、春風が吹くあたたかな夜だった。 つい先日、大好きなひとと離婚した。理由は"方向性の違い"ってやつ。我が家は解散、再結成は未定のまま。どんなバンドも、大体最後には方向性の違いで解散してしまう。昔から不思議でしょうがなかったこの言葉が、今となってはよくわかる。たくさん悩んで、たくさんぶつかって、その先に出た答えはやっぱり"方向性の違い"。 世界で一番、愛していたひとだった。二人で過ごした何年もの時は、深く、果てしなく、潜れば潜るほどきらきら光る宝石が転が

          永遠なんてなくても

          お引越しは旅の予感

          旅がはじまる予感のビートは、胸が高鳴る音がした。 * 愛する友達が手伝いに来てくれた引越し。3泊4日のちょっとした小旅行だ。東京と呼べない片田舎の街に、彼女はわざわざ来てくれた。たぶんわたしの引越しがなければ一生聞くこともなかった街だろう。飛行機とバス、電車を乗り継いで着いた"過去の"我が家は、なんだか知らない家みたいだった。 たくさんの想い出が詰まったこの家を出てゆく。そう思うと、切なさと悲しみで押しつぶされそうになる。ふらふらと膝をついて泣き出してしまいそうな日に、

          お引越しは旅の予感

          さよなら、東京

          東京を捨てた。 懐かしい空港に降り立った瞬間、冷たい風が吹いて前髪を揺らす。きらめく滑走路とは正反対の闇に沈む町。虫の声さえ聞こえない、しんとした静かな夜。「この町で、生きてゆく」そう小さくつぶやいて、夜空を見上げた。冬の大三角が、眩しいくらいに光っていた。 * この町にはなにもない、ずっとそう思っていた。どこへ行くにも車が必要で、行き先は大体イオン。友達と遊ぶのも初デートも、お洒落して出かける先ですらイオン。バカでかい駐車場と、バカでかいスーパー。街灯すらまばらで、そ

          さよなら、東京

          最近全然更新できてなくて寂しく、苦しいです。「明けない夜はない」なんて言葉に絶望するわたしたち。離れていても繋がってるよ、読者のみんながただ生きていてくれれば、それだけで。毎日星に願いをかけています。絶望を抱え孤独と眠ろう。最低な一日がまた始まるから、憂鬱な君を愛で抱きしめるから

          最近全然更新できてなくて寂しく、苦しいです。「明けない夜はない」なんて言葉に絶望するわたしたち。離れていても繋がってるよ、読者のみんながただ生きていてくれれば、それだけで。毎日星に願いをかけています。絶望を抱え孤独と眠ろう。最低な一日がまた始まるから、憂鬱な君を愛で抱きしめるから