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じょーじ
2024年1月30日 22:38
16章その頃、一雄とその妻ヒメの間に子はなかった。その頃、イブキが蘇土村の女性と結婚した。その名を空(ソラ)と言った。結婚式は蘇土村、吾村、河南町の三つの村が集まって、盛大に行われた。そしてその一年後、ソラは子どもを身籠った。そのことでヒメは心を痛めた。神の一雄にした約束を知っていたからだ。自分がその約束にふさわしくない者であるように感じた。そのヒメを見て、一雄は心を痛めた
2023年11月17日 20:58
15章激動の数日間が終わった夜、一雄の上に神の言葉が響いた。一雄は幻を見ていた。その声に、心は躍った。「恐れるな。 わたしがお前の盾だ。 お前は大きなものを得る」一雄の目の前には大きな光があった。光に向かって叫んだ。神との対話は初めてのことだった。「神よ!あなたは何をくださるのですか! この財産はなんのためにあるのですか! わたしの子が後を継ぐのでしょうか! それ
2023年11月15日 14:25
14章カイは王国を築いていた。カイが大阪の街を支配していた頃の組織『バビロン』は解散する。それに取って代わる組織は即座に、その領域を奪っていった。結局、人々にとっては、支配される組織が代わり、街が少し物騒になっただけで、大した変化はなかった。カイは蘇土村(そどむら)の長となっていた。村が豊かになったのはカイの商才のおかげだった。カイは村の若者たちを力で従えて、すぐに村を支配し
2023年10月31日 00:05
13章飢饉を乗り越えた村はどんどん豊かになった。家畜も増え、一雄もイブキもそれぞれ牧場を持つようになった。その牧場はどんどん大きくなっていった。村に子どもが増えていった。家族も大きくなっていき、村を広げなければいけないということになった。そこで一雄はイブキに言った。「ここで一度、僕ら、分かれていこう。 村を広げるのに、君の牧場をそこに移動させてくれないか? みんながそこをも
2023年10月17日 22:33
12章bその年、何日も雨が降らない日が続いた。作物が実らず、家畜もバタバタと死んでいった。そこで一雄は大阪の中心部、街の方へ行き、食料を買ってこようということにした。村から送り出されて、何人かの若い衆とヒメ、イブキと共に街に向かった。大阪の街は荒れていた。暴力で支配している者たちがいた。そのことを心配して一雄はヒメに言った。「聞いてほしい。 僕は君が本当に美しいと思う。そ
2023年10月17日 22:29
12章a一雄はまた声を聞いた。「北へ行け。 おまえはおまえの家族を離れて北へ行け」大きく、腹の中で響く声。一雄はすぐに「はい」と言ってヒメとイブキに伝えた。ちょうどその頃、ヒメの両親たちは新たな産業のアイデアとノウハウを得ていた。そこで一雄たちと両親たちは別の道を行くことにした。一雄たちは北、大阪へ、両親たちは南、牧場のあるあの町へ行くこととなった。ノアから与えられた様々
2023年10月7日 23:40
11章c本当に美しいと思う女の子に一雄は出会った。名前をヒメと言った。彼女は面白い絵を描いた。牧場によく足を運び、心を込めて家畜たちの世話をし、たくさんの絵を描いた。その絵を描いている姿を一雄遠くから見ていた。そのうちに一緒に絵を描くようになった。一雄は見たまま忠実に、ヒメは現実とは違うカラフルな絵を描いた。二人は互いを深く知っていき、心惹かれていった。ヒメの両親は鯨を獲
2023年10月7日 23:37
11章b塔が完成に近づいてきた。ここまで2年かかった。莫大な金がかかった。危ない橋も何度か渡った。しかし、その分だけ勢力は拡大していった。悪いことはカイが先頭に立ってした。部下にやらせる前に自分が危ない橋を渡って見せた。カイは賢く、運が良かった。「なぁ、エノ」隣に立って塔を眺めているエノに言った。「はい。カイさん」エノはカイの方を向く。この数年でエノとの関係性もずいぶ
2023年10月7日 23:34
11章aカイ(4章参照)の組織『バビロン』は隆盛を誇っていた。組の構成員も数百になり、幹部は大きな金を動かしていた。幹部は一緒に住んでいた家族たちだ。エノが二番手である。暴力と混沌の世界を生きるカイの日々は、ソラが死んでから何も楽しくなかった。それに反して成功は積まれていった。今や、カイに逆らう者はいない。バビロンよりも前にあった組織も金と力で黙らせた。カイの目は灰色に濁っ
2023年10月3日 20:24
10章それから5年が過ぎた。一雄とイブキは18になった。ノアとアカネには三人の子が生まれた。ノアたちの共同体はどんどん大きくなっていた。牧場も敷地を広げ、また別の場所にも牧場を作った。街は活気を取り戻し、多くの人は仕事を取り戻した。牧場にもたくさんの人が住み、共に過ごした。昼間は子どもたちが家畜と共に遊び、夜は大人たちも加わって共に飲んで食って騒いだ。ノアとアカネは子ども
2023年7月29日 11:05
9章街は少しずつ建て直されていった。牧場を広げ、家畜を増やした。さすがに人々に食糧を与え続けることはできなかったが、ノアには森の知識があった。牧場を囲む森から食糧を得る方法を、ノアはたくさん知っていた。人々に罠の仕掛け方を教え、食べられる野草を教え、果実の調理と保存の方法を教えた。なにもかもを一度失った人々は、喜んでこの新しい生き方に従った。目の前にすることがあり、自分や家族の
2023年5月30日 22:24
1章東京は火の海になった。その後、一帯は茫漠としていた。天は雲に覆われ、地は混沌として何もなかった。闇が街を包んでいた。神は仰せられた。「光、あれ」瓦礫の下にボロボロの雑巾のように横たわっていた少年、一雄はその声を聞いた。すると瓦礫が剥がされ、空の光が一雄の目に差し込んだ。彼は喉が渇いていた。神は仰られた。「水よ、あれ」一雄はその声を聞いた。すると雨が降ってきて、一雄の
2023年5月30日 22:27
創作大賞2023にエントリーしました!そのために小説創世記を名を新たにして、まとめて一つの記事にしました!応援、よろしくお願いしますm(_ _)m
2023年5月20日 23:32
8章雨が止んで、塀の周りの水が引いていった時、鳥たちが飛び立っていった。そしてそれから動物たちが牧場の外に出ていった。それで完全に水が引いたのだとわかった。一雄に声がした。「外に出よ。 街に行き、人々に食を分け与えよ。 家を建て直し、住まわせよ。 動物の衣を着せよ。 すべては私が与える。私がおまえと共にいる。」3人が街に降りたった時、言葉を失った。建物はことごとく壊れ