辻原僚(短歌)

ファンタジー短歌ジャンルを作りたい。スキ❤️が投稿の励みになっています。引き続きよろしく…

辻原僚(短歌)

ファンタジー短歌ジャンルを作りたい。スキ❤️が投稿の励みになっています。引き続きよろしくお願いします。 短歌作品: https://mypage.syosetu.com/2502871/

マガジン

  • 美術館吟行

    美術館で短歌を詠んだ吟行の記録です。

  • 短歌の基礎研究

    短歌の基礎研究をまとめています。初心者向け。

  • ファンタジー短歌

    ファンタジー短歌記事のまとめ。ただいまファンタジー短歌ジャンルの草案を作っている段階です。ある程度完成したら整理する予定。

最近の記事

  • 固定された記事

ファンタジー短歌とは?+参考文献メモ

ファンタジー短歌とは? 「ファンタジー短歌」とは妖精や魔法等のファンタジーの要素を扱い、現実世界(私たちが活動する生活世界)では経験できない現象、景色や思考を描写する短歌であると定義できます。ただし、「ファンタジー」自体の意味が流動的なため、「ファンタジー短歌」の範囲も変動することに注意が必要です。本記事では「ファンタジー」の語の使われ方と、「ファンタジー短歌」の考え方について概要を書きます。また、参考となる文献も紹介します。 「ファンタジー」の語について Online

    • 【美術館吟行】渋谷区立松濤美術館(没後120年 エミール・ガレ展 奇想のガラス作家)にて

      吟行とは?吟行とは、短歌や俳句をつくるために外に出かけていくことです。グループで吟行にいったあとは合評会を行うこともあります。美術館に行ってもぼんやりと鑑賞して終わってしまうことが多いため、短歌を詠んで記録することにしました。 展示概要場所 :渋谷区立松濤美術館 会期 :2024年4月6日(土曜日)~2024年6月9日(日曜日) 展示名:没後120年 エミール・ガレ展 奇想のガラス作家 展示についてエミール・ガレは20世紀初頭の「アール・ヌーヴォー」と呼ばれる芸術運動で有

      • 【美術館吟行】板橋区立美術館(『シュルレアリスム宣言』100年 シュルレアリスムと日本)にて

        吟行とは?吟行とは、短歌や俳句をつくるために外に出かけていくことです。グループで吟行にいったあとは合評会を行うこともあります。美術館に行ってもぼんやりと鑑賞して終わってしまうことが多いため、短歌を詠んで記録することにしました。 展示概要場所 :板橋区立美術館 会期 :2024年3月2日(土曜日)〜4月14日(日曜日) 展示名:『シュルレアリスム宣言』100年 シュルレアリスムと日本 展示について今年はアンドレ・ブルトンが『シュルレアリスム宣言』を発表した1924年から10

        • 【美術館吟行】東京都美術館(印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵)にて

          吟行とは?吟行とは、短歌や俳句をつくるために外に出かけていくことです。グループで吟行にいったあとは合評会を行うこともあります。美術館に行ってもぼんやりと鑑賞して終わってしまうことが多いため、短歌を詠んで記録することにしました。 展示概要場所 :東京都美術館 会期 :2024年1月27日(土)~4月7日(日) 展示名:印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵 展示について印象派といえばフランスのモネのイメージが強いですが、その手法は19世紀後半にアメリカにも広がってい

        • 固定された記事

        ファンタジー短歌とは?+参考文献メモ

        マガジン

        • 美術館吟行
          3本
        • 短歌の基礎研究
          5本
        • ファンタジー短歌
          7本

        記事

          【短歌】イメージへの「抵抗」を考える

          はじめに今回はまず「頭で作っている」という評の言葉から、短歌で課題になりやすい点を探ります。次に、文字を読んで何かをイメージする際に発生する「抵抗」について取り上げます。 本記事は、以下の記事の続きです。理解しやすくなるので、可能であれば先にご一読ください。 「頭で作っている」とは?「頭で作っている」という表現は、作品中の表現がイメージしにくく、読者にとって実感を伴わないように思われ、作者が現実世界を観察せず、想像に頼り歌を作ったと感じさせるぐらいの意味です。時々、歌会や

          【短歌】イメージへの「抵抗」を考える

          【短歌】なぜフィクションの歌を信じられるのか?

          はじめにフィクションの短歌作品でも、描写を自然と信じて読めてしまうのはなぜでしょうか?今回はその理由を探るために「不信の自発的停止」という現象を取り上げます。 まず、このキーワードに関する説明から始め、短歌における「不信の自発的停止」の実例を見ていきます。 「不信の自発的停止」について「不信の自発的停止(willing suspension of disbelief)」とは、イギリスの詩人サミュエル・テイラー・コーリッジが述べたアイデアで、読者や観客が品の非現実的な要素

          【短歌】なぜフィクションの歌を信じられるのか?

          ファンタジー短歌の方法④世界観構築

          前回のあらすじと今回のテーマ 前回は「異世界」を表現する際の方向性と、その意味について検討しました。未読の方は以下をご一読ください。 今回は世界観の作り方を考えてみましょう。本記事では、小説で使われる世界観の構築方法を短歌に応用できるか検討してみます。ファンタジージャンルに焦点を当てた説明になりますが、その点はご容赦ください。 世界観の基本的な考え方世界観とは、個人や集団が、世界を理解し解釈するかを決定する枠組みです。この枠組みには、宇宙観や人生観、歴史観など、世界に対す

          ファンタジー短歌の方法④世界観構築

          BFC5応募作『オルフェウスⅠ』

          以下、BFC5の応募作を投稿します。

          BFC5応募作『オルフェウスⅠ』

          読み書きの「モード」とファンタジー短歌

          はじめに今回の記事のメインテーマは、穂村弘が『短歌の友人』(2011)で触れた「モード」の考え方です。 本記事では、まず「モード」の定義と利用方法から検討を始めます。続いて、別の記事で触れた「生々しさ」の概念と「モード」がどのように繋がるのか検証します。最後に筆者が展開しようとしているファンタジー短歌で「モード」をどのように使っていくのか簡単に述べます。 読み書きのモード穂村弘「モードの多様化について」 穂村は「モードの多様化について」の論で、短歌のモードについて触れ

          読み書きの「モード」とファンタジー短歌

          短歌の「生々しさ」について

          はじめに本記事では、斉藤斎藤(2014)の論を引きながら、短歌における「事実らしさ」に焦点を当てます。さらに、「事実らしさ」を「生々しさ」と読み換えて、その特性を分析します。この記事を通じて、短歌を詠む際のコツのようなものが掴めると思います。 読者から見た「事実らしさ」?斉藤斎藤は現代短歌における「事実」を「事実らしさ」として捉え、以下のように解説しています。 「事実らしさ」は、「現実感」や「リアリティ」とほぼ同じ意味で使われています。読者が作品の描写を「ふつう」にあり

          短歌の「生々しさ」について

          ファンタジー短歌の方法③異世界論

          前回のおさらいと今回のテーマ前回は「魔法的レトリック」について考えました。魔法的レトリックとは、短歌の中で魔法を使っているようなイメージを発生させるレトリック(修辞)のことでした。未読の方は以下をご一読ください。 今回は「異世界」を表現する際の方向性とその意味について検討します。「異世界」とは現実世界とは異なる世界のことです。 異世界表現の方向性現実世界を基準にすると、異世界の方向性は以下の三つに分けられます。それぞれにどんな特徴があるのか見ていきましょう。 ①現実よ

          ファンタジー短歌の方法③異世界論

          ファンタジー短歌の方法②魔法的レトリック

          前回のおさらいと今回のテーマ前回の記事は、ファンタジー短歌を作る際には、語彙レベル、レトリック(修辞)レベル、一首の情報レベルで考慮すべきという内容でした。 今回はファンタジー短歌で使えるレトリックを検討します。前回の記事が未読の方は以下のリンクからご一読ください。 魔法的レトリックSNSでは生活を詠んだ短歌が目に付きやすいので、短歌は現実世界(私たちが活動する生活世界)についての描写が得意な印象があるかもしれません。 しかし、短歌では魔法を使っているかのような表現も

          ファンタジー短歌の方法②魔法的レトリック

          【短歌】読みの外部要因と内部要因

          はじめに 同じ短歌のテクストを読んでいるはずなのに、他の人と別の解釈をしていることはありませんか?解釈に個人差が出るのは自然な話と思うかもしれませんが、その前提について考えてみましょう。読者は短歌を解釈する際に、テクスト以外からも影響を受けています。今回はその要因を「外部要因」と「内部要因」に分けて検討します。 外部要因について 外部要因とは「テクストの文字以外で読者の解釈に影響を与える、読者にとって外的な要因」と定義できます。具体的には以下のような例があります。 外

          【短歌】読みの外部要因と内部要因

          ファンタジー短歌の方法①心象の発生段階

          先日の課題の続き 先日書いた記事の課題(3)について検討を進めます。課題(3)は「短歌だけで新たなファンタジーの世界観が創れるか」でした。 いきなり世界観の構築をテーマにすると扱う内容が大きすぎるため、いくつかの段階を踏んで検討します。まずは短歌の表現が読者の心象(頭の中のイメージ)の発生段階で、どのような影響を与えるかを考えます。 本記事を要約すると、ファンタジー短歌を作る際には、一首における語彙レベル、レトリックレベル、歌全体の情報レベルは考慮しましょうねという話

          ファンタジー短歌の方法①心象の発生段階