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「あの雑誌、絶対欲しかったのに〜」

娘がとても悲しそうな顔をしていた。

娘はSnowManという、

アイドルグループが大好きだ。

ただ、受験が近づいていて、

最近はそれどころではなくなっている。

夏ごろは、

毎日情報をチェックしていたようだが、

今は週に1回くらいの頻度で、

気分転換に情報を見るくらいであった。

そんな中で、

SnowManが表紙になっている回の、

TVガイドという雑誌が、

発売されることを、

忘れてしまっていたらしい。

すでに発売から4日が過ぎていた。

慌ててネット等で検索したり、

近所の本屋さんに行ったりしたが、

どこも完売で、

次の入荷も見通しがたっていないとのこと。


娘が泣きそうな顔で呟いた。

「あれだけが、楽しみやったのに…」

正直、

TVガイドでそこまで悲しむなんて、

少しおどろいた。


「よしっ!」

父は立ち上がる。

無駄だと言われてもいい。

父として、

できることをしたいと心に火がついた。


次の日、

仕事の昼休みに、

食事は後回しにして、

職場近くの本屋さんを巡った。

しかし、

どこも売り切れ、売り切れ。

現実は厳しい。

父はやはり無力だ。

しかし、

娘の悲しそうな顔を、

おどろきで笑顔に変えたいのだ。

「あと、3軒だけ、

 コンビニを回ろう」

1軒目の、緑と白のお店、

完売。

2軒目の、青のストライプのお店、

完売。

そして3軒目の、数字を足すと18のお店。

えっ、

うそっ、

ある。

1冊だけ、

一番下の棚に置いてある〜。

ほんまに?、

3軒目に見つかるなんて、

なんか、ネタみたいやんっ。

えっ、なんでっ。

もう一度、

落ち着いて雑誌を確かめる。

それは紛れもなく、

欲しかった、

あの雑誌だった。

ウホォ〜〜〜〜〜〜〜ッ!!

おどろきだった。

まるでゴリラのドラミングのように、

心の叫び声が響きそうになる。

「はやく帰って、娘をおどろかせたい」


仕事が終わり、

心を落ち着かせながらも、

速足で自宅へと向かう。

そして玄関を開け、

「ただいま〜」

と穏やかに叫ぶ。

誰も反応がないので、

まずは手を洗い、

そのまま2階の娘の部屋に直行した。

ドアを軽快にノックし、

そして娘とご対面。

「はい、TVガイド、

 見つけてきたでっ✨」

笑顔で伝えた。

さあ娘よ、

おどろくがよい。


すると娘が答えた。

「あ、そこらへん置いといて、

 今勉強で忙しいねん…」

娘のノールックの姿が目に焼き付く。




「・・・・・・・・・・・」


今日一日で、

一番おどろいたのは、

どうやら私だったようだ。

もはや、なんの感情もわかない…



<スタエフライブの告知です!>


12月22日(金)21時〜。

さぼ姉&アークン&コジさん&うりも

ふ・き・だ・す・か・もライブ!

今年最後の集まりです🎙️✨。

来年の方針もお伝えしますね😊。







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