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【ショートショート】中国で日本酒を飲み、日本で黄酒を飲む

 海外赴任先に日本料理店があるのは本当にありがたい。拙くとも店員と日本語で会話をし、多少なんちゃってではある日本料理だけど、それをつまみながら酒を飲むと、異国の地であることを忘れさせてくれる。もちろん飲む酒は日本酒か焼酎だ。日本で飲むより五倍は高い値段なので、焼酎も庶民の味方のお酒ではなくなってはいるけれど、日本を味わえると思うと美味しく飲める。

 帰国すると今度は中華料理でも食べながら、黄酒(紹興酒)などを飲む。ビールであっても青島ビールがあれば飲む。しかもぬるい常温の青島ビールが飲みたくなる。値段は中国で買うより十倍はするけれど。

 中国の田舎に出張に行って、こんなところにも日本人がいるのか! と思うところで日本人に出会うとお互いにホッとする。

 帰国して、居酒屋や飲み屋に行って、中国人が働いているとホッとして話しかけてしまう。コンビニで働いている中国人を見かけるだけで、ホッとして親しみが湧いている自分がいる。

 中国では日本の歌を聴き、帰国すると中国の歌をついつい聞いてしまう。

 結局、住めば都で、一旦住んでしまうと忘れられない街になるのだろう。

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