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祖母の遺した日記にある「戰爭終結」とは

祖母が他界して何年も経つ。遺品の中から古い古い日記が見つかっていたのをやっと少し読み始めた。そこには私の全く知らない祖母の姿があった。

この日記は10数ページしか現存していない。昭和17年、戦況悪化により学校の先生たちが戦場に駆り出されたせいでピンチヒッターとして祖母は何の準備もなく教壇にたった。そんなところから始まるこの日記。この白黒写真は戦中当時の学校の風景。最後の2ページは終戦後、昭和20年8月15日から2ヶ月経過した時点で書かれたものらしい。

二十歳そこそこの祖母が感じた終戦。

価値観が180度変わる、その瞬間を体感した祖母が遺した「深刻な反省」という言葉が現代に生きる孫の私に突き刺さる。

祖母の生きた証をここに記す。

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戰爭終結に関する詔書を拝してから早くも二ヶ月
大詔のまヽに整然と再建の生活を開始した
見知らぬ運命の道を歩み始めた深刻な反省を通じて
限りない苦腦をのり越え私らしい生活を開始する

あヽ敗戰國の全女性よ如何に暮す

終戰後の婦人生活をかへりみると 
そこは依然として食糧難をはじめいろいろな困難がつきまとってをり
歩む路 身のふり方さへ迷って居る
然しわたしだけかも知れない……

たヾ絶望して大きな光明をとりにがしてはならぬ
婦人参政権を私達女性の手にやうやく與えられた

今日の大多數の女性はその日その日をゆっくりと
政治のことを考えたりなどをしてゐる餘裕はない
政治とは何かさへ考える暇もなくその機会もなく過ごして未だ
それほど今までの一般婦人の立場は低く餘裕や恵まれない生活
そこへ今突如として婦人参政権が與えられた



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