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おとうが死んじゃう7

おとうが死んじゃう7

小さいころから父の手が好きでした。でっかくて熱いくらいあったかくて世界のすべてから守ってくれるようなそんな手。

この手は世界で最強だと思っていました。そんな父の手を今度は私が包み込みます。

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おとうが死んじゃう6

おとうが死んじゃう6

父の治療というか延命というか、何とも言えない危うい時間がはじまった。

胃の摘出により食道と小腸がつながってない状態。分断された体。

どこかで体が分断される手品を思い出してしまう。

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おとぅが死んじゃう4

未来がつながったのか、悲しみが先延ばしになっただけか、何とも言えない安堵と不安とが入り混じった時間を共有し始めました。まさに共有。家族全員がこんなに同じ感情になるときってあるのでしょうか?

誕生~死。短いようで長くて脆いようで永遠で。掌に掴んだ重みのあるものは砂の粒のようにどんどん零れ落ちてしまうのではないかというとりとめのない感情。むき出しの牙のような怯えた小鳥のような。

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おとぅが死んじゃう3

疲れました。こんなにも気持ちの変動がある日を経験したことがかつてあったでしょうか。

しかし、どんなに疲れていても眠れません。思い出とかそんな生優しいものじゃなく、細胞自体がなにかに浸食されていくような別世界の得体の知れぬ未体験の感情が押し寄せてきます。母の想い、妹の想い、私は家族をきちんと導けたのだろうか。

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