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企業が成長するために欠かせない根源 #103 経営資源

企業は、その目的を果たすために、経営理念に基づいた戦略を立案し、それに沿って事業活動を推進します。
そして、それらの活動には、資金調達、販売、人材管理、経営管理などの諸々の力の集合体である経営資源が不可欠となります。

経営資源を提唱したエディス・ペンローズによれば、企業の成長に限界が来るのは物理的な制約からではなく、相対的に経営資源が不足するからと示しています。

その経営資源ですが、一般的には、ヒト、モノ、カネといった有形資産と知識や情報といった無形資産の総称となります。

経営戦略では、多くの良質な経営資源を確保することが重要です。
また、確保ばかりしても活用しなければ宝の持ち腐れです。
故にマネジメントでは、それらの経営資源を如何に活用して、コアコンピタンスともいえる独自の価値を創造して、それを活用した提案で顧客ニーズに応えることが重要視されます。

その上で、経営資源の筆頭であるヒト、つまり人事の重要性が高まっています。

従来型の人事とは、労務・法務などの制度やマニュアルなどのオペレーション業務ばかりに固執した保守的、定型的で、場合によっては、マックジョブともいえる前例主義がほとんどでした。
対して、現代では、労働力不足が深刻化していることや、それを補う意味での機械化の技術革新によって、人材には、よりクリエイティブ性のある能力が求められるようになっています。

反面、従来の経営戦略では、戦略的に人事を捉える意識が低かったといえます。
故に、今後は、人材と組織の側面から変革をリードしていく戦略的人的資源管理(戦略人事)が重要視されています。

また、企業が成長し続けるためには、顧客に提供する価値を生み出し続ける必要があります。
製造業の場合の価値とは、まずは、モノである製品となります。
しかし、製品は、何もないところから生まれることはありません。
開発するための研究設備、製造するための製造設備、関連するソフトウェアや施設・土地(有形固定資産)などもモノとなります。

つまり企業は、これらのモノである資産に、カネである資金を投資して、製品やサービスの販売を通じて利益を得ます。
利益は、新たな投資へ循環的に活用されると共に、社員の給与・福利厚生などの固定費や予測できない将来のリスクに対する備えでもあります。
そのため資金の調達は、販売からだけではなく、金融機関などからの借入れによる調達も含めて、如何に適時に確保し、有効に活用するかが重要となります。

最後に、そもそもの企業の社会における存在意義です。
その存在意義を果たすために、企業は、他社なはない独自の価値であるコアコンピタンスを創造します。
また、そのコアコンピタンスを如何にして顧客に価値のあるカタチで提案および提案が重要となります。
そして、その糧となるのが、過去から蓄積された知識や社内外から収集した情報となる訳です。

近代経営においては、DXの重要性が高まっている通り、デジタルテクノロジーの飛躍的な進化を受け入れる必要があります。
そのため従来からの経営資源であふ有形資産のヒト、モノ、カネだけでなく、無形資産の重要性が高まっています。
無形資産は、知的財産、知的資産とも称され、技術、人材、組織力、顧客とのネットワーク、ブランドなど企業の所有する顧客データ、社会、地域、業界、顧客などとの関係やノウハウなど全般を指しています。

それだけに知識や情報は扱い方により、多大な利益や損失を生み出す可能性もあるため秘密保持契約を締結するなど慎重な取り扱いが不可欠となります。
具体的には、既に価値のある特許や商標、特定のノウハウに限らず、将来的に経営する上で強みと成り得るすべてを対象として捉える必要があります。

ヒト、モノ、カネ、知識、情報、etc.

今後も環境の変化により経営資源のあり方が変わってくる可能性があることは容易に想像することができます。

そもそも、如何なる企業であっても、経営資源は有限なものです。
企業は、その事業別、あるいは市場別などにターゲティングを行い、どこに、どの経営資源を、如何なる割合で投じて行くかを見極めながら、有効に活用して行くことが求められます。
経営資源のポートフォリオ(Portfolio)とは、それらの経営資源の組み合わせることを意味します。
企業が、それぞれの収益性、安全性、成長性などを加味して、このポートフォリオを策定することになります。
経営資源を無駄にすることなく、有効に活用することで、事業価値は拡大します。

また、忘れてならないのは、短期的に全てを投じるだけではなく、予測できない将来のリスクに対する備えや将来の投資に向けて経営資源を蓄積することも重要であることです。
企業の成長とは、経営資源を投入と利益の獲得のサイクルを継続することとも捉えられるかもしれません。

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