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Lost in Translation

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メディアの誤報や日本社会が根本的に中華圏に対して勘違いしている点、日本ではまったく知られていない現地の声などをご紹介しています。ご理解の参考になれば嬉しいです。
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記事一覧

死者を冒涜してでも稼ぎたい?:Yahoo!「エキスパート」による、デマ情報の垂れ流し翻訳記事について

死者を冒涜してでも稼ぎたい?:Yahoo!「エキスパート」による、デマ情報の垂れ流し翻訳記事について

先日yahoo!ニュースが配信した記事を読んで驚いた。ある中国人留学生の死について触れた記事だが、中国のネットで流れた噂やデマを漁ってまとめて日本語に翻訳しただけの酷いものだったからだ。

というのも、記事に書かれた留学生のバックグラウンドも、生まれも、家族構成も、その他すべての情報が、中国のネット上で練り上げられた想像とデマによる報道を情報源にしており、書き手氏はそれをまるで自分が調べ上げたもの

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230701 【Asia Frontline】出演:「国安法は香港をどう変えたか」

ジャーナリスト舛友雄大さんが案内役を務めるポッドキャスト「Asia Frontline」に出演して、わたしが香港や中国をどう伝えてきたか、そして特に香港の主権返還後、そして国家安全法制定後の様子をお話ししました。

収録は今年GW明けだったので、今年3月に香港を訪れた後の2ヶ月ほど前の見聞が中心です。今の香港を理解するための参考にしていただけるとありがたいです。

アップルポッドキャストやSpot

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バイデンが先か、習近平が先か、それが問題

中国語がすっごく便利だな、と思う一因に、簡単に漢字で短縮語が作れることがある。

日本語でも中英会談などというが、それと同じように首脳同士の会談でも、たとえば習近平と安倍晋三の会談だと「習安会談」でわかるようになっている。

おかげで過去、なかなかおもしろい例も出現した。

強烈に覚えているのが、当時の胡錦濤・国家主席と麻生太郎・首相の会談は「胡麻会談」と表現され、「胡麻」かよ、小せぇなぁ、と思わ

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上海ロックダウン「4月の声」(日本語字幕付き)

【日本語字幕版に差し替えました】4月1日から完全ロックダウンされた上海。当初政府関係者はロックダウンをどう説明していたのか。そして、庶民がどんな苦境に立たされ、どんな不満を抱いているのか…美しい上海の映像とともに、今の上海の人たちの心の声が描かれています。WeChatでシェアされまくり、コピーされまくり、削除されまくった動画です。(字幕をつけてくださった方に感謝)

220403 「毎日新聞政治プレミア」寄稿:1日5万人!大パンデミックの脅威から見えた香港のいま

220403 「毎日新聞政治プレミア」寄稿:1日5万人!大パンデミックの脅威から見えた香港のいま

毎日新聞のオンラインページ「政治プレミア」に、香港の新型コロナ感染事情がなぜここにきてここまで悲惨な状況になったのかを分析、説明しています。

正直、この視点で理解するのはここ数年「しか」見ていない人には出来ないと思います。わたしも日々の流れに乗るばかりでうっかりしていたのですが、現地での政府の空回りを見ていて、わたしがかつて香港に暮らし始めて気がついた香港の制度を思い出し、「あ、原因はここや」と

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211004 キャサリン・タイ米国通商代表による対中貿易政策方針講演@CSIS

 10月4日に戦略国際問題研究所(Center for Strategic & International Studies, CSIS)で行われた、キャサリン・タイ米国通商代表の講演の日本語版がないようなので翻訳してみた。バイデン政権になって初めての対中貿易政策方針の発表であり、関心のある方には一読をお薦めする。
 オリジナルの講演原稿は米国政府の通商代表オフィスに掲載された文字原稿を使った。なお

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210806 「ダイヤモンド・オンライン」寄稿《「愛国」圧力強まる香港のいま、民主派区議が200人以上辞職の異常事態 香港の選挙制度はどう変わったのか》

香港はこれから下半期、「選挙イヤー」に入ります。10月に選挙委員会、12月に立法会議員、そして来年3月には行政長官の選挙が行われます。

「立法会」は最高議決機関、「行政長官」はトップ行政担当者、じゃあ選挙委員会ってナニ…? 

そうなんです、そこがミソなんです。そして、今後の香港の選挙を牛耳る新たな鍵ともなっています。どこからどうみても民主選挙から大きく後退してしまった今後の香港選挙の行方を、こ

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半年前の自社記事を塗り直してスクープにする珍妙さ/中国の「千人計画」念頭、外国の研究資金に申告義務(読売新聞)

これを読んで一番に思ったのは、日本って科研費取る時に研究者側がよそから重複して研究費をもらってるかどうかを申告する制度なかったの?ということでした。で、日本人研究者にたずねてみたところ、「日本では海外か国内かを問わず、とっくに科研費申請の際にほかからの科研費受領を申告するよ」と言われました。

…じゃあ、なにこの報道?

たぶん、最近のムードで「なんかやらなきゃ…とにかく、やってますよ」というポー

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「香港の涙」(2009年4月9日JMM配信)

先日のライブトークでご一緒した大久保さんが、村上龍さん主宰のメルマガ「Japan Mail Media」(JMM)にわたしが連載していた「大陸の風-現地メディアに見る中国社会」のうち、2009年4月9日に配信した香港に関する記事をサルベージしてくださいました。

中国に新天地を見つけようと移住した香港時代の友人の話と絡めて書いた記事ですが、読み返してみると、なんと今年2020年に「上海を国際的金融

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