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物語『桜の花びら・スワミ』(『桜の花が咲き乱れる川原で』の進化バージョン)

 心の安らぎを感じることができる物語。ネガティブな感情から自由になれる!・・・桜の花びら・スワミは気づきます。
「本当の自分は、目には見えないエネルギーなのだ。すべての動植物の体の中に流れ込んでいる『大いなるいのち』が、自分の中にも流れ込んでいる。自分は聖なる力を持つ存在だ」と・・・。
 スワミは、生きる勇気を取り戻し、「結果など気にせずに、今この瞬間に全力で咲き誇るぞ」と誓います。

 春、四月。河原には数えきれないほどたくさんの桜が咲いていました。スワミは、そうした桜の花びらの一つでした。
スワミは右どなりの桜のカフキに言いました。
「カフキ。僕の体の色と形を見てよ。僕みたいにかっこいい桜はいないだろう?」
 カフキが答えました。
「君の言うとおりです。私は年寄りの花びらで、色も形もみにくいです」
 カフキはさみしそうに泣きました。
 しばらくして、スワミの左どなりの若い桜プーゲルが威張って言いました。
「やあ、スワミ。俺の体の色と形を見てよ。誰よりも美しいだろう?」
 スワミは舌打ちして、言いました。 
「プーゲル。確かに君の方が僕よりも、色も形もいかしているよ」
 それからしばらくして、風が吹きました。年老いた桜のカフキは地面に散っていきました。カフキはスワミに言いました。
「スワミ、さようなら。私は先にあの世へ行きます。お元気で」
 スワミは恐れでふるえました。
「ああ。僕もカフキのように、いつか死んでいくんだ。死ねば、僕はおしまいだ」
 その時、白い老犬バルーフが、スワミが咲く木の下に立ちました。バルーフはスワミに言いました。
「スワミ。まわりをよく見るんだ。お前は、まわりにある数えきれない桜と同じ、目に見えない『いのち』なんだよ」
 スワミはバルーフに向かって言いました。
「いいや。僕は他の桜びらとは違う。僕は色も形も段違いに素晴らしいよ。確かに、左どなりのプーゲルには負けてしまうけど」
 バルーフは言いました。
「お前は単なる肉体なんかじゃない! 皆と同じ、目に見えない『いのち』だ! そして、ここに咲いている、すべての『いのち』は、やがて『大いなるいのち』へ帰っていく」
 スワミは震えながら言いました。
「僕もいつか死んでしまうんだ」
 バルーフは頭を縦に振って、言いました。
「お前だけじゃない。すべての肉体は死んで行く。しかし、お前の中の『いのち』は続いていくんだよ」
「いやだ。僕は死にたくない!」
 バルーフは静かに言いました。
「スワミ。曇りなき眼で、『本当の自分』が何かを見極めるんだ。そうすれば、お前は苦しみから解放される」
 バルーフはそう言うと、歩き去りました。
 スワミは自分に問いました。
「『本当の自分』って、何だろう?」
 それから毎日、スワミは考えました。
「僕は今まで『自分とは肉体だ』と思ってきたけれど、違うんだ。肉体は単なる衣のようなものなんだ。本当の自分は、肉体の中に流れている、見えない『いのち』のエネルギーだ。見た目の良し悪しは重要ではないんだ!」
 スワミはその後も考え続けました。
「僕は今まで『自分とは心だ』と思ってきたけれど、違うんだ。まわりの人と自分を比べて、優越感を感じて喜んだり、劣等感を感じて落ち込んだりしてきた。でも、本当の自分は、『小さな自分』の心を意識できる、『いのち』のエネルギーだ。頭の中の考え・感情・自我意識は、僕ではないんだ」
 スワミは叫びました。
「自分の中には、『いのち』と呼ばれる、見えないエネルギーが流れているんだ。だから、生きていられるんだ。すべての動植物の中に流れているエネルギーと同じものが、僕の中に流れている。つまり、宇宙の生命体すべてに流れているエネルギーの一部が僕の中に流れている。自分は『大いなるいのちの一部』であり、本質は『大いなるいのち』と同じものなんだ! 僕の中には聖なる力が秘められている。小さな自分を忘れて、自分の中に流れている聖なる力を発揮するんだ」
 さらに、スワミは叫び続けました。
「なぜ僕は桜の花びらという肉体を与えられたのか? なぜ僕に『大いなるいのち』のエネルギーの一部が流れ込んだのか? それは僕に果たすべき使命があるからだ。そして、僕の肉体が滅ぶ時、自分の中の『いのち』は、宇宙に流れている『大いなるいのち』のもとへ帰っていく。死ぬことはこわいことではなく、本当の自分に帰ることだ。喜びなんだ!」
 その時、老犬バルーフがスワミのもとへやって来ました。スワミは言いました。
「バルーフ。僕は自分の使命をはっきりさせて、その実現のために百パーセントの力を注ぐよ。結果など気にせずに、今この瞬間に全力を集中させるよ」
 スワミは自分の持てる力をすべて発揮して、綺麗に咲き誇りました。


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