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ムカサリ絵馬と初音ミク

初めに


こんにちは。田渕 創ノ介です。Note投稿 第5作目はムカサリ絵馬と初音ミクについてです。



個人的に聞いたことがある「死生観」にまつわるトピックは、山形県の村山地方などの一部地域で行われている「ムカサリ絵馬」という「死者との結婚」の民間信仰による風習の1つです。もともと東アジア(中国・台湾)でみられる死者の婚礼「冥婚」に由来すると言われており、青森県の津軽地方では人形で供養するらしいです。ホラーゲームの『零 ~濡鴉ノ巫女~』に登場する「幽婚」はこのムカサリ絵馬がモデルになっているようです。

『零 ~濡鴉ノ巫女~』
『零 ~濡鴉ノ巫女~』での「幽婚」
https://gamesuperreview.com/zero6-21

ムカサリ絵馬は、未婚のまま亡くなった人が、あの世で意中の相手と結ばれるように絵馬には正装の故人と「架空の」婚礼相手との婚礼の様子が幸せそうに描かれます。画用紙にクレヨンで書かれた素朴な絵や、プロ絵師によるハイレベルな絵、合成写真など、様々なヴァリエーションが存在します。

このムカサリ絵馬が誕生した起因には、夭折してしまった子供があの世で寂しい想いをしないように、という死者への供養・親心が強く表れています。
結婚は生きている間にするべきもの、と考えて切羽詰まって恋愛や結婚を真剣に考える現代の方が少なくなった今日の時代の中で、交通事故や病気などの不幸により若くして亡くなった方が「あの世」で見繕われた相手と結ばれるのを見ると、まだ「結婚=幸せ」という価値観が死生観の中に残っているのだと感じました。

一見、ムカサリ絵馬は少しホラーな感じはありますが、親よりも先に亡くなられた方が寂しい思いをしないようにと、新郎(あるいは新婦)を見繕ってあげて(例え絵馬の中だけだとしても)一緒にさせてあげようという「親心」が垣間見える文化にはとても温かみを感じるのではないでしょうか。

近年、VOCALOIDの「初音ミク」と結婚して大きな話題と賛否両論を巻き起こした男性がいらっしゃいましたが、個人的には、あれも「冥婚」や「ムサカリ絵馬」に似たようなものだと感じます。

結婚できずに人とのつながりが無くなることへの恐れから、全人的存在の無い「無」に対して結婚する、という観点からみれば、初音ミク(技術的な進歩はあるにしても)もムカサリ絵馬も双方とも似たようなものかと思います。

ページ上部の絵はムカサリ絵馬に描かれた新郎新婦で、新婦側はさも当然のように初音ミクが鎮座ましましています。この作品では、初音ミクという二次元のキャラクターとVR装置をつけた新郎を、絵画空間に落とし込むことで、VRの中だけで終わらない「架空の結婚式」を成立させています。

https://yamagatako.jp/mogaumi/05/aoyama.htmlより文章を一部抜粋しました)

初音ミクに限らず、昨今は「推し」と呼称し、2次元・3次元(2.5次元も?)に関わらず、好きなキャラクターやアイドル、俳優・女優などを愛でる文化が隆盛を極めております。中には「推しと結婚したい!」と熱烈で強烈な愛を魅せてくれる方も(私の周りには)いらっしゃいます。

なので、普段から「〇〇が推しなんだ!」「〇〇と結婚するのが夢!」と家族や友人に熱烈に愛を伝えていると、万が一の不慮の事故で若くして亡くなった際に、家族や友人によって推しキャラや推しアイドルの写真や画像などと一緒に埋葬され、同じ墓で眠る未来がくる…のかもしれません…?


参考サイト

画像サイト

https://yamagatako.jp/mogaumi/05/aoyama.html
https://www.irasutoya.com/2021/06/blog-post_16.html


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