懲罰は何も変えられない
こんにちは。あすぺるがーるです。
Twitterのタイムラインに、こんなツイートが流れてきました。
三葉さんは小学校の時、真面目ながらもADHDの特性で忘れ物や不注意を数多く指摘されていました。
挙句の果てに担任の先生に「私は忘れものばかりする悪い生徒です」と書いた画用紙を胸に貼り、校庭を走る罰を与えられたそうです。
三葉さんはこれによって委縮し、自信を無くし、自尊心を低下させてしまいました。
これはもっともな話で、罰は根本的な問題の解決には何も寄与しません。
しかし、罰を与えられた本人の自信と自尊心しか犠牲にならないと、多くの悪しき大人は行動を変えないようです。
では他に、何が犠牲になれば変わるのでしょうか。
例えば──
人命、とかですか?
懲罰が起こした大事故
以下の画像が、何の事故か知らない方はいらっしゃるでしょうか。
⚠️注意: ショッキングな画像⚠️
(写真: https://mainichi.jp/articles/20200329/ddm/010/040/047000c より)
ご存知の方には言わずもがなですが、これは2005年4月25日に起きた、福知山線脱線事故の写真です。
この事故に限らず、事故の要因は複数あるものです。
しかし、その中でも最も大きな割合を占めているのが 「日勤教育」、もとい無意味な懲罰です。
日勤教育という名の「無意味な懲罰」
日勤教育は本来、ミスを起こした運転士の再教育です。
普段、運転士は不規則な時間の雇用形態ですが、この再教育の間は、朝から夕方までの 「日勤」 の勤務形態になります。
しかし、当時のJR西日本の日勤教育は、とても再教育とは言えないものでした。
■ トイレに行くために席を離れるにも上司の許可が必要
■ 着発する列車の運転手全員に「ごくろうさまです。気を付けて下さい」と言わされる
■ 点呼の際、点呼者がミスを犯した運転士のミスを読み上げ、点呼を受ける側の運転士に「あなたならどうしますか」と尋ね、答えさせる
■ 指示されたテーマについてレポートを書かされるも、指導教員に何回も書き直させられる
■ 賃金、手当の減少
(福知山線脱線事故・事故調査報告書より)
これが、当時のJR西日本の「日勤教育」の実態でした。
事故を起こした列車の運転士も、合計3度にあたって日勤教育を受けていました。
無意味な懲罰が事故を起こすまで
事故当日、運転士は伊丹駅でオーバーランを起こしてしまいました。
運転士は日勤教育を恐れ、車掌にオーバーランしてしまった距離を少なく報告してほしい旨の連絡をしていました。
しかし、その電話は車掌に乗客が声をかけたため唐突に切られてしまいました。
運転士は車掌の事情を知りません。
寸分の余裕もないダイヤ運行の中、伊丹駅でのオーバーランによる遅延を取り戻すため、運転手は制限速度より速く列車を走らせました。
車掌との交信。
遅延の回復。
日勤教育から逃れるための、言い訳。
それらに気を取られた結果、運転士は急カーブでのブレーキをかけるのが遅れ──
9時18分、事故は起こりました。
107人の命と、562人の健康が奪われたのです。
どうしたら事態は変わる?
では、誰かがミスを犯してしまったとき、その上に立つ者たちは何をすれば更なるミスを防ぐことができるのでしょうか?
答えは、たったひとつ。
相手に最善な解決策を探し求め、実行することです。
どうしたら運転士が同じミスを起こさないかをJR西日本の指導者たちが真剣に考えて日勤教育を行っていれば、福知山線事故は防ぐことができたかもしれません。
三葉さんが忘れ物をしなくても済む方法や、忘れ物をしても困らなくて済む方法を先生が考えていれば、三葉さんは傷つかずに済んだでしょう。
それは決して、簡単なことではありません。
しかし、その努力が実った時、それは自己満足の懲罰よりもはるかに素晴らしい結果をもたらすことでしょう。
参考動画
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