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〈オトナも役立つ!〉 作文の宿題が得意になる6つのコツ 【後編】

宿題を早めに終わらせるタイプのひとになりたい、株式会社エクシングのコピーディレクター・高沼です。

前回の記事では多くの「スキ」をいただき、ありがとうございました!

引き続き、春休みにあわせて、作文が得意になるコツをご紹介します。


※【オトナの方へ】
小学生の作文を例に話を展開していきますが、中高生やオトナにも役立てていただける内容になっています。
「洗練された文章を書きたい」「研修の感想文や社内報で何を書けば良いのかわからない…」といった方も、ぜひいちど読んでみてください!


▼ 前編はこちらから☺️




✏️ コツ4 「うれしかった」 「たのしかった」を言い換えてみる


前編を読んでいただいた方、あらためて、忙しい時間を割いてご覧いただきありがとうございます!

前回の記事では3つのコツをお伝えしたのですが、誤解してほしくないことが一つあります。
それは、「『おしゃれな言い回しをしろ』と言っているのではない」ということです。

身の丈に合わない表現は、文字どおりお父さんのジャケットを子どもが着ているようで、読んでいて気恥ずかしくなることもあります。


ボーダーのカットソーとズボン、スニーカー、ノートが床に置かれている画像
服も文章も、自分に合うのがいちばんです。
(Photo by Toa Heftiba


だいじなのは背伸びせず、書き手の率直な想いを表現すること。

とはいえ、「うれしかった」「たのしかった」ばかりでは退屈な文章になってしまうのも事実。

その場合は、比喩を使ってみたり、ある「瞬間」を切り取って具体的に描いてみましょう。

たとえば、こんなふうに。


一等賞をとることができて、うれしかったです。
      ↓
一等賞をとることができて、心ぞうが踊っているようでした。


運どう会はたのしかったです。
      ↓
運どう会の帰り道、気づいたらいつもよりお母さんに話しかけていました。


これはコピーにも言えることなのですが、面白い文章には「具体性」があります。
状況やシーンを詳しく描くことで、想像がふくらむ
からです。

もちろん「うれしかった」「たのしかった」でも伝わりますが、ちょっぴり漠然としています。
よっぽど親しいひとでない限り、文章を書いた子の笑顔までは思い浮かばないでしょう。

ですが、上で挙げた例のように、「心ぞうが踊っているようでした」とか、「気づいたらいつもよりお母さんに話しかけていた」と書くとどうでしょう?

その子の表情や様子まで、ありありと目に浮かんできませんか?

とある出来事が、自分の身体や行動にどういう影響をもたらしたのかを具体的に描く。
そうすれば、表情まで思い浮かぶ立体的な文章になるはずです。


たくさんの風船と青空。風船にはスマイルが描かれている。
「うれしかった」や「しあわせだった」を使わずに、
うれしい気持ちを表現できたら200点です!
(Photo by Madison Oren


✏️ コツ5 文章のリズムに注意する


エピソード自体は悪くないのに、つまらないと感じてしまう文章には共通点があります。
それは、「文章のリズム」に問題があるということ。

たとえば、こちらの文章を読んでみてください。


グラウンドで、校長先生のメガネがまぶしいくらいはんしゃしていました。走るのがにがてな私にとっては、運どう会を中止にしない太陽がいちばんのライバルでした。立っているだけなのに、背中が汗を流れていきました。


書いてあること自体は悪くないはずですが、ぜんぶが「〜ました / 〜でした」で終わっていて、間延びした印象を受けます。

これが、文章のリズムが悪いということです。

では、次のようにリズムを整えてみるとどうでしょう。


グラウンドで、まぶしいくらいはんしゃしていた校長先生のメガネ。走るのがにがてな私にとっては、運どう会を中止にしない太陽がいちばんのライバルです。立っているだけなのに、背中が汗を流れていきました。


名詞で文を終わらせる「体言止め」を使うほか、「です」調をまぜるなど、語尾のバリエーションを増やすことで冗長な印象がなくなります。


カラフルなグラフィティアートが描かれた壁とヴィンテージの赤いラジカセ。
音楽はわかりませんが、文章のリズム感は鍛えられます。
おすすめなのは音読。
自分で書いた文も、声に出して読んでみると新たな気づきがあるはずです。
(Photo by Joecalih


文章のリズムで重要なことをもう一つ!
同じ単語が重複しないようにも気をつけましょう。

詩や絵本、広告のボディコピーなどにおいては、あえて同じワードを反復することで印象付けるというやり方もあります。
ただ、通常の文章では、できる限り同じ単語は重複させない方がスマートです。

たとえば、こんな具合に。


お弁当箱がレジャーシートの真ん中に置かれていました。お弁当箱は、大好きなキャラクターが描かれたものです。お弁当箱のふたを取ると…
      ↓
お弁当箱がレジャーシートの真ん中に置かれていました。大好きなキャラクターが描かれたものです。ふたを取ると……


落ち着いて読むと、「変な文章!」と思うかもしれません。
けれども、こういった文章は(大人の書いたメールなどでも)案外多く見かけます。

たとえば、こんな文章。


「〇〇さんからご連絡がありましたら、すぐにご連絡いたします。」


「ご連絡」という単語が一文のなかで重複し、すこし野暮ったい印象です。

さらに問題は、洗練されていないことだけではありません。
「ご連絡」が2つ出てくることで、それぞれが「誰から誰へ」の行為なのかが分かりづらくありませんか?

では、どう改善したら良いのか?

解決策はカンタン!
二つ目の「ご連絡」を別のことばに変えてみましょう。


「〇〇さんからご連絡がありましたら、すぐに共有いたします。」


「ご連絡」を「共有」という単語に変えるだけでも、スマートな印象になりますし、内容が分かりやすくなりますよね。

別の単語で言い換えたり、場合によっては省略したりして、できる限り同じ単語は使わないように工夫してみましょう。


ノートパソコン。画面にはGメールの読み込み画面が表示されている
おかしな文章を見つけたら、むしろ学びのチャンス!
自分ならどう直すかな?とこっそり考えてみましょう。
(Photo by Solen Feyissa


✏️ コツ6 冒頭で心をつかむ


さいごに、考え方というよりは表現的なテクニックを一つ。
それが「冒頭にこだわる」です。

世の中には、文章を読むのが大好きなひともいます。
この記事を読んでくださっている方も、その一人かもしれません。(ありがとうございます!)

けれども、そんなひとが陥りがちな落とし穴が一つあります。

それは、「文章を読むのが苦手」なひとの存在が頭から抜け落ちてしまっていることです。


白い布の上に本とメガネとカフェオレが置いてある画像
さみしいですが、現代において
“読書だいすき!”という方は少数派な気がします。
(Photo by Sincerely Media


「なんでも良いから活字を!」というほど読書が好きなひとがいる一方で、長い文を目にしただけで腰が引けてしまうひとがいるのもまた事実。

特に現代は情報過多の時代です。
面白いコンテンツがあふれるなかで、「読む」ことに時間を割いてもらわなくてはならない。

そこでだいじになるのが、冒頭。
1行目で心を掴み、「続きを読みたい!」という気持ちにさせられるかが勝負
です。

たとえば、次の文章を読んでみてください。


【A】
ときょうそうのゴールテープが目前にせまってきたとき、ぼくの頭のなかに浮かんだのはピカチュウの顔でした。
いっとうしょうをとったら、ぬいぐるみを買ってもらう約束をお母さんとしていたからです。
しかし、そのときでした。ぼくの足がきゅうに軽くなったのです。わけもわからず下を見ると、くつがぬげてしまっていました。


【B】
「いっとうしょうをとったら、買ってあげるね」。
ときょうそうのゴールテープが目前にせまってきたとき、ぼくの頭のなかに浮かんだのはピカチュウの顔でした。お母さんに、ぬいぐるみを買ってもらう約束をしていたからです。
しかし、そのときでした。ぼくの足がきゅうに軽くなったのです。わけもわからず下を見ると、くつがぬげてしまっていました。


どちらのほうが、続きを読んでみたいという気持ちにさせられましたか?

多くの方が、「B」と答えるのではないでしょうか。

Aも決して悪くはないと思うのですが、状況描写からはじまるぶん、やや説明的な印象を受けます。
一文目が長いのも、続きを読むのがおっくうになる原因かもしれません。

対するBは、短いセリフからはじまります。
「?」と思わせる簡潔な文を冒頭に持ってくることで、続きを自然に読ませるのです。

※このことからも、前編の「コツ2」でお伝えした「いきなり原稿用紙に書かない」ことの重要性がお分かりいただけるかなと思います。

私が働いている広告業界で言えば、「キャッチコピー」が同じ役割を果たします。
興味を惹く言葉で文字どおり「心を掴み」、必要な情報を生活者に届けるのです。


手で小さなハートの飾りを持っている画像
文章もひとも、第一印象はだいじなもの。
素敵な一文目で、読み手のハートを掴んでみてくださいね。
(Photo by Pin Adventure Map



〜おわりに〜

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

かく言う私も、幼い頃は作文で何を書けば良いかわからず、原稿用紙の前で途方に暮れる子どもの一人でした。

そんなとき、「プログラムみたいに羅列しないで、自分が『面白い!』と感じたことをたった一つで良いから思い出して、それを書いてごらん」と言ってくれたのが(もともと編集の仕事をしていた)母でした。

アドバイスのおかげか、運動会の作文で賞をもらったのは良い思い出です。(今は昔、ですが…)

今回の記事でご紹介した内容は、そんな母から教わったコツと、コピーライターとして働くなかで得たノウハウを織り交ぜたものです。

どれくらいお役に立てるかわかりませんが、文章を書くことをすこしでも「たのしい!」と思ってもらえたら幸いです。

宿題、早く終わりますようにー!!


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