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外国語と異文化のおもしろさが満載。『翻訳できない世界の言葉』エラ・フランシス・サンダース


以前ネットで評判になったとき、自分用と娘用に入手しました。かわいい絵がなかなかいいです。作者のエラさんは翻訳家ではなく、イラストレーターさんで、当時はまだティーンエージャーだったとか。いろんな国に住んで仕事をしている方のよう。すごく素敵な感性です。

エラさんは、いろんな国でその国独特の、他の国の言葉にはない表現を集めて、それをイラストにしています。たとえば、マレー語の「ピザンプラ(PISAN ZAPRA)」という言葉は、「バナナを食べるときの所要時間」。1,2分の短い時間をいうようです。日本語に無理やり当てはめると「朝飯前」的な?というか、バナナを1,2分で食べちゃうなんてもったいない。もっと味わって食べたいです。

『翻訳できない世界の言葉』より

フィンランド語の「ポロンクセマ(PORONKUSEMA)」は「トナカイが休憩なしで、疲れず移動できる距離」を指す言葉。雪国育ちの私は、なんとなくわかる気がします。砂漠にも、「らくだが休憩なしで、疲れずに移動できる距離」とかの言葉がありそう。

サンスクリット語の「CARPA(カルパ)」は、宇宙的なスケールで、時が過ぎていくこと。さすが仏教や数学のゼロの概念を生み出した国の言葉です。どんなときに使うんでしょう?

日本語では、「侘び寂び(わびさび)」は想定内でしたが、「木漏れ陽」が意外。そういう状況を表現する言葉が他の国ではなかなか見つからないなんて驚きです。あと、「積読(つんどく)」は大笑いしました。これは、本好き以外の日本人でも知らない人がいるかも。

翻訳的な仕事に少し関わっている身としては、こういう「どうやって翻訳したらいいの!」的な言葉は、他人がまとめてくれる分には楽しいですが、自分が遭遇したら辛いです。「白い足袋」と「白い手袋」じゃないですけど、文化の違いを考えて、日々翻訳して、海外の貴重な情報や芸術を私たちに紹介してくださる方々には本当に敬意を評します。本当にありがたいです。

ちなみに、娘がもし気に入ったら、英語の原著を買ってあげてもいいかもなと思ったのは、中学生になってちょっと英語に苦手意識があるみたいだったから。でも、娘はこういう方面には興味が薄いようで、反応も普通に「かわいい、ステキ!」で終わってしまいました。

そのかわり、私を真似てラジオの英語講座を毎日聞く習慣を採用したようです。私はNHKのラジオアプリで料理するときとか、自分の都合のいい時間に一週間遅れでラジオ番組を聞いているのですが、娘の場合、ラジオで決まった曜日と時間に強制的に勉強するのが性格に合うようです。塾に行くことを考えたら、NHKのテキスト代は安くて助かりました。


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