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文章の基本は、あちこち応用可能。『新人賞の獲り方おしえます』久美沙織


久美さんといえば、私の世代なら『丘の家のミッキー』が大人気になった頃でしょうか。私も3巻くらいまでは読んだ記憶があります。『花とゆめ』でマンガを連載していた、めるへんめーかーさんのイラストがすごくかわいかったです。

さて、この本は、『丘ミキ』の作者久美沙織さんが、小説家を目指す人の「作文術」を教えてくれる本です。あちらこちらで評判がいいので、手にとってみたけれど納得の内容です。「小説」というところを、いろんな文章に置き換えても、かなり応用がきく具体性をもっていて、有名作家やジャーナリストの下手な文章読本よりもずっと役立ちそうです。

実際、カルチャースクールの講義を元に編集されているので、何も考えずに読むだけでも充分おもしろい。まず、文章を書くときの視点の持ち方、言葉の選び方、構成の仕方、目標のたてかたなどなど。

小説を終わらせるときの文章の作り方なんかを、「釣り」に例えているあたりは、本当に上手いなあと感心しました。最後には応募「作法」のレクチャーまで付いていて、それを読むと、いかに非常識な応募が多いかもわかります。鉛筆書きの原稿とか、完結していない小説とか。

逆に言うと、当たり前のことをちゃんとできる人が少ないことを教えてくれます。「新人賞の応募小説」を「大学生のレポート」に置き換えても、充分に通じる内容で、それは結構笑えました。

そして、意外なのですが、作文が苦手だった娘に読ませたら、その後、めきめきと腕をあげて、書くのが楽しくなったと言い出したこと。頭の中にあるいろんな感想をまとめて、アウトプットするコツをつかんだようです。

以後、娘は作文コンクールとか、夏休みの宿題でも、賞をもらったり褒められていたので、読書好きだけど文章を書くのが好きじゃないお子さんにも、おすすめできるかもしれません。


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