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【詩】明るみが罪


明るみが罪 そう思うことにした
ひかりが水晶宮に反射した

身をさらすことに疲れた
石の裏に集まる虫のように
日陰で休もうじゃないか

時間がきみをみじん切りにして
時給換算したって
コーヒー代くらいにしかならない

わたしはもう
なにも失いたくないよ

ライトを消して 明かりを灯して
湿った土が歓ぶ 暗がりの世界へ
自分を差し出して 全部差し出して

きみは今の今まで
自分の持ってるものを献上してきた
おかげでなにも
手元に残っていないじゃないか

明るい世界 白い世界
一点の曇りもない
それはきみが考えるほど
生きやすい水じゃあないぜ

きっときみは酸素が足りなくて
水槽のなかを
仰向けに腹を見せて泳ぐ

暗くて含みを持たせた世界が
わたしは
たまらなく恋しい
 
 




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