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Origin:飛騨の匠から飛騨の家具、そして飛騨市広葉樹のまちづくりへと連なる土地の系譜
縄文時代の話 遡ること縄文時代、飛騨地域は現代をはるかに上回る豊かな森林を抱えていたことと想像されます。北アルプスや乗鞍岳まで垂直に延びる標高差や日本海性の気候が生み出す、落葉広葉樹林帯らしい多彩な樹種構成が、縄文人たちの生活のまわりに溢れていました。考古学調査によると、当時の竪穴式住居の遺跡からは、大小様々な木工用の石器が出土されており、彼らが木と共に生活を営んでいたことがわかっています。雪が
Mission「知」:土着の知恵と技術をつなぐ
製材所の継業から考えたこと 必要とわかっているモノがなくなっていく、地方ではこんな光景が徐々に増えてきているのではないでしょうか。そこには、多数派から漏れ落ちていく、ミクロな少数派の存在が浮かび上がります。
たとえば、地方で限界集落といわれる地域では、地域商店が立ちゆかなくなり、買い物の手段が徐々に失われています。生活に欠かせないインフラ機能である一方で、損益分岐点となる母数もまた確かに存在し
Mission「時」:旬を活かす流通へ、木という素材のもつ時間軸と向き合う
木の時間軸 木という素材は、自然素材らしい時間の流れを抱えています。数十年単位での森林の時間軸から、数年単位での経年変化、そして季節単位での旬の移り変わりなど、木には本来独自の時間軸が流れているものです。
工業的な素材として年中流通している、現代の木材感覚では、それは非常に見えにくいものとなっていますが、それは変わらず現代においても受け継がれているものです。時期の良い秋冬には、良質な素材が出回
Value「川」:古来より山と町を結ぶ川
かつての川の風景 その土地固有の自然風土を色濃く反映し、かつて山と町を繋いでいた象徴的なものが川でした。陸運より水運が中距離輸送の主役だった時代では、川上で伐採された素材は、川の流れによって町中へと運ばれ、町の流通へと乗せられていきました。筏による運搬や修羅出し、大井川の川狩など、地域風土に合った水運方法が各地で花開き、山と町、そして川上と川下は、川を通じて自然と繋がっていたのだとおもいます。水
Origin:かつての材木通りに、再び灯火を
とある材木通りの話 岐阜県飛驒市古川町宮城町の、とある通り。住宅街のなかを通る1本の太い道。一見するとなんてことのない、住宅の建ち並ぶこの通りは、かつての飛驒市の材木通りで、木材関係の事業者が軒を連ねる工業区画でした。
ほんの20~30年前までは、製材所が何軒も連なり、チップ工場から大工さんの作業場、建具屋さんなど、幾多もの木材関係事業者が人々の暮らしのなかに溶け込むように存在していたそうで